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バンドン会議での安倍首相演説について

2015年4月24日(金)13時現在の各紙サイトより

国内主要紙一面トップ記事、及び社説・主張

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【朝日新聞】
「朝刊一面トップ」
『温室ガス削減「25%程度」 政府原案提示へ 2030年目標』
「社説」
『官邸に無人機 悪用の防止を急げ』
『JR事故10年 教訓を安全の礎に』

【産経新聞】
「朝刊一面トップ」
『ドローン 今国会で法規制 航空法改正 免許制を検討』
「主張」
『官邸にドローン 規制と活用に工夫こらせ』
『スカイマーク再建 「空の競争」維持に努めよ』

【東京新聞】
「朝刊一面トップ」
『「ひとり親手当」基準見直し 事実婚、生活実態で判断』
「社説」
『官邸にドローン 目的が分からぬ怖さ』
『精神保健指定医 「性善説」では立ち行かぬ』

【日経新聞】
「朝刊一面トップ」
『従来型携帯の生産終了 国内各社、17年以降』
「社説」
『ドローン生かすためにも悪用の道ふさげ』
『日中関係改善の流れを確実に』

【毎日新聞】
「朝刊一面トップ」
『弾道ミサイル迎撃明記 日米防衛指針 機雷掃海も』
「社説」
『ドローン事件 速やかにルール作りを』
『無投票当選 なり手増やす改革急げ』

【読売新聞】
「朝刊一面トップ」
『抑留死名簿 樺太、大連も 旧ソ連作成188人分』
「社説」
『ドローン侵入 官邸警備の盲点を突かれた』
『株価2万円台 今こそ成長戦略を強化したい』


きょうの注目記事

安倍首相のバンドン会議での演説について、昨日、各紙が社説・主張を掲載
しています。

「朝日新聞」『70年談話へ 未来への土台を崩すな』
「産経新聞」『首相バンドン演説 「未来志向」を評価したい』
「東京新聞」『侵略とおわび 自身の言葉で語らねば』
「日経新聞」『アジアの人々の心に響いたか』
「毎日新聞」『バンドン会議 日中は原点を忘れるな』
「読売新聞」『バンドン演説 首相70年談話にどうつなげる』


まずは、安倍首相の演説に対して肯定的な産経紙の主張を抜粋してみます。

『未来に軸足を置いた訴えを評価したい。』
『首相演説でもうひとつ重要だったのは、「強い者が弱い者を力で振り回す
ことはあってはならない。法の支配が、大小に関係なく国家の尊厳を守ると
いうことだ」と強調したことだ。』
『10年前の記念会議で、当時の小泉純一郎首相は「植民地支配と侵略」への
「痛切な反省と心からのおわび」を表明した。』
『安倍首相は今回、そうした表現を直接、踏襲しなかった。大戦への深い反省や、
侵略や武力行使で他国の領土を侵さないことを明確にした。』
『文言の変化を、反省や謝罪姿勢の後退などと決めつけるのは、公正な態度と
はいえまい。問われるのは関係諸国との絆を強められるかである。』


それに対して、他紙では以下のような否定的な見解を載せています。

『(村山談話を:編者注)引き継いでいるからいいだろうとやり過ごせば、
疑念は確信に変わるだろう。表立って批判されなくとも、国際社会における
信頼や敬意は損なわれる。』
『首相はごまかしのない態度で過去に向き合う必要がある。「植民地支配と
侵略」「おわび」を避けては通れない。』(以上、朝日紙)

『「植民地支配と侵略」への「反省とおわび」は歴史認識の根幹だ。全体と
して引き継ぐのだから、その都度言及しなくても国際社会の理解は得られると
考えるのは、あまりにも独善的である。』
『平和国家としての立脚点が先の大戦への反省にあることを忘れてはなるまい。』
『一国の歴史には誇るべきも反省すべきもあるだろうが、負の歴史も受け入れて
こそ、国を愛するということではないか。未来志向に魂を入れるためにも、
首相自身の言葉で「侵略」「おわび」を語るべきだ。言葉を省いて国際社会の
誤解を招く愚は犯すべきでない。』(以上、東京紙)

『ひとと話をするとき、持って回った言い回しでは、意図は上手に伝わらない。
安倍晋三首相の言葉はアジアの人々の心に響いただろうか。』
『「侵略戦争」「心からのおわび」などの表現を一言一句引き継ぐ必要はない。
しかし、そうした要素がなくてよいわけではない。戦後日本が大事にしてきた
平和主義が変質したと国際社会で誤解されては、新談話を出す意味がない。』
『先の大戦の評価はひとそれぞれだが、アジアに多大な被害をもたらしたこと
は否定できない。』
『玉虫色の表現は国内では通用しても、外国人にもわかってもらえるだろうか。』
(以上、日経紙)

『物足りなかったのは、首相の歴史認識への言及である。約6分間の演説とは
いえ、侵略の否定などバンドン会議の原則に触れたものの、先の大戦については
「深い反省」を示すにとどめた。』(読売紙)


読売新聞は、22日付社説『戦後70年談話 首相は「侵略」を避けたいのか』
でも、
『侵略の定義について国際法上、様々な議論があるのは事実だが、少なくとも
1931年の満州事変以降の旧日本軍の行動が侵略だったことは否定できない。』
『談話が「侵略」に言及しないことは、その事実を消したがっているとの誤解
を招かないか。』
として、「侵略」の言葉にこだわりを見せています。

これは少し意外でした。

意外といえば毎日紙は逆に、安倍首相のバンドン会議演説について、あまり
否定的な見解を載せていません。

『安倍晋三首相は「先の大戦の深い反省」を表明し、バンドン会議で確認された
「侵略によって他国の領土保全や政治的独立を侵さない」という原則を守って
戦後を歩み、アジア、アフリカ諸国の発展の手助けをしてきたことを強調した。』
と、書いています。

また、
『日中が角を突き合わせていては地域の平和、繁栄にはつながらない。昨秋に
続く首脳会談で、両国が戦略的互恵関係に基づき、世界の安定と繁栄に貢献する
必要性を確認したことは歓迎できる。』
『中国や新興国には先進国主導の国際秩序への不満がある。戦後、アジアと
欧米の橋渡し役を続けてきた日本には両者の対立を深めないという役割もある。
難しい課題だが、その努力を怠ってはならない。』
と、「未来志向」もうかがえます。


ただし、毎日紙は「侵略」という言葉については、22日付社説『侵略という
言葉 「枝葉の議論」ではない』
で、
『本質にかかわる問題であり、盛り込むことはやはり必要だと重ねて主張したい。』
『「先の大戦の反省」とは、国際的には侵略の事実を認めることと同義だと
言ってもいい。』
『70年談話に入れる入れないは枝葉末節どころか、日本の国際社会での立ち
位置を左右する問題ということになる。』
『首相が談話で侵略の事実を曖昧にしたと受け取られれば、過去の日本の行為
が侵略ではなかったかのような議論が国内で蒸し返される懸念がある。』
として、70年談話には盛り込むべきとしています。


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今回のテーマは、【先の大戦は「侵略戦争」か】です。


編集後記

ドローンが首相官邸で見つかったことで、かなりの騒動となっています。
法整備や運用規制の必要性も言われています。

ドローンについては、既に弊誌では2ヶ月前に『「ドローン」の普及は自動車を上回る?』
という記事で取り上げ、日中韓各紙の社説を紹介しつつ、
「将来的に自動車を上回るほど普及するのではないか」
「安全性やプライバシーの侵害に関する規制が必要」
「飛行禁止区域を設ける必要もあるのでは」
「法整備を急ぐべき」
といった問題提起を行いました。

今国会中に法規制を検討するとも言われていますが、結局、何か起こらないと
動かないようですね。

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