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アジアインフラ投資銀行(AIIB)に対する中国の言い分

2015年3月20日(金)14時現在の各紙サイトより

国内主要紙一面トップ記事、及び社説・主張

*一部記事が有料なものや、無料会員登録が必要なものもあります。

【朝日新聞】
「朝刊一面トップ」
『襲撃、過激派テロと断定 ISが「犯行声明」 チュニジア』
「社説」
『地下鉄サリン20年 今も問い続ける社会の姿』

【産経新聞】
「朝刊一面トップ」
『チュニジア襲撃 3邦人死亡 「イスラム国」犯行声明 死者23人に 9人逮捕』
「主張」
『チュニスの襲撃 決して遠い事件ではない』
『地下鉄サリン20年 大惨事は防げなかったか』

【東京新聞】
「朝刊一面トップ」
『桂米朝さん死去 89歳 上方落語を再興』
「社説」
『地下鉄サリン20年 凶行の中に人間の弱さ』

【日経新聞】
「朝刊一面トップ」
『日生 M&Aに1兆円 海外保険など照準 中期経営計画』
「社説」
『中国が主導するインフラ銀に積極関与を』
『テロ拡散阻止へ連携深めよ』

【毎日新聞】
「朝刊一面トップ」
『過激派テロと断定 チュニジア 容疑者複数拘束』
「社説」
『チュニジア乱射 「春」への凶弾を許すな』
『センバツ開幕 球史に新たなページを』

【読売新聞】
「朝刊一面トップ」
『チュニジア襲撃 イスラム過激派関与か 当局9人拘束 死者計23人に』
「社説」
『チュニジア襲撃 「民主化モデル」を脅かすテロ』
『老朽原発の廃炉 円滑な実施へ環境整備を急げ』


きょうの注目記事

「アジアインフラ投資銀行(AIIB)」について、複数回に分けて見てみます。

まずは、設立した中国の「言い分」から。
人民日報の評論にて、何度か掲載されています。


【18日付『世界はAIIBを必要とし、AIIBは世界を必要としている』

『英国がアジアインフラ投資銀行(AIIB)への参加を申請したのに続き、フラ
ンス、ドイツ、イタリアも17日参加に同意した。まだ最終的に決定していない
ものの、AIIB参加に意欲的な国が増えていることは明らかだ。』

『AIIBの設立は習近平国家主席が2013年10月に東南アジアを訪問した際に
提唱したもので、アジア太平洋地域の国々のインフラ整備を支援し、コネク
ティビティ強化と経済統合を促進することが主たる目的だ。』

『AIIBは経済成長の原動力・エンジンであるインフラ整備を支えるだけでなく、
アジア資本の利用効率および地域発展への貢献水準を高める。』

『世界経済が依然低迷し、アジアのインフラ融資需要が大きい中、AIIBの設立
はこの地域にとって、コネクティビティの強化を加速し、自己発展能力を強化
し続け、経済発展の持久的原動力となるものだ。これは世界の総需要の拡大に
も寄与し、世界経済の回復を促進する。』

『位置づけと業務の重点が異なることから、AIIBは現有の多国間開発銀行と
競争関係ではなく補完関係にある。』

『AIIBの設立は現有の世界金融システムのアジアインフラ整備投資における
不足を補うものであり、大きな将来性がある。国際通貨基金(IMF)と世界銀行
(WB)の一層の改革を促すとともに、現在の世界銀行とアジア開発銀行(ADB)
のアジア太平洋地域における投融資・国際支援機能を効果的に補完するものと
なる。』

『アジア開発銀行の予測では、2010~2020年の10年間にアジア太平洋地域の
インフラ整備は8兆ドルを必要とするが、アジア開発銀行がインフラプロジェ
クトに提供する融資は年わずか100億ドルだ。』

『AIIBの設立は、アジアの発展途上国のインフラ投資分野に存在する大きな
不足を補い、アジア地域内の資金流出を減らし、アジアの「活力と成長」に
投資する。』

『AIIBも同様に世界各国の積極的な参加を必要としている。英仏独伊といった
先進国が参加すれば資金だけでなく、先進的な国際銀行の経営管理理念ももた
らすうえ、AIIBのガバナンス構造と国際的イメージを改善し、AIIBの今後の
健全で包摂的な発展に新たな活力をもたらす。AIIBは当初から開放・包摂の
原則を掲げ、世界各国の積極的な参加を歓迎している。』

『だが遺憾なことに、アジア各国のインフラ整備への貢献に尽力するこの多国間
協力銀行を米国はあれこれと妨害し、自らが参加しないだけでなく、同盟国が
発起国となることも様々な方法で阻止している。』

『ここ数年米国は一貫して中国に対して、高まり続ける力と見合った指導力を
発揮するよう促し、国際的目標の支持と発展のために一層のリソースを提供
するよう促している。』

『これは建設的な提案だ。だが中国がAIIBの設立を提唱して、アジアと世界の
ために一層の貢献をし、一層の責任を担おうと努力すると、米国はこれを阻止
しようとしている。これは近視眼的で不誠実だ。』

『世界経済の多極化、国際政治・経済ガバナンスの民主化は大きな趨勢であり、
AIIBはこの歴史的潮流に順応した必然的な産物に過ぎず、大きな趨勢を阻む
ことは誰であれ困難だ。』

『米国は矛盾して妨害するよりも、AIIBに積極的に参加し、国際銀行の経営・
管理経験を分かち合い、AIIBのガバナンス構造の一層の改善と運営効率の向上
に貢献した方がいい。これは米国にとっても、アジアにとっても、世界にとって
も間違いなくウィンウィンの良いことだ。』


【19日付『専門家「日本のAIIB不参加は短絡的」』

『日本の菅義偉内閣官房長官は17日の記者会見で、日本のアジアインフラ投資
銀行(AIIB)への参加について、「日本は慎重な態度を取る。今のところ参加
は考えていない」と述べた。この問題で、日本は「兄貴分」の米国のメンツを
立てなければならず、また自国の利害得失について慎重にそろばんをはじいて
もいる。』

『だが筆者が思うに、日本がAIIBを拒絶するのは理性的な選択とはいえない。
これは自国の発展のチャンスを部分的に放棄することを意味するからだ』

『中国がAIIBの設立を提唱すると、米国はまず日本に連絡を取り、参加しない
よう求めた。日本は米国の勧告に配慮せざるを得ない。日本が最も懸念する
のは、AIIBが発展して、日本と米国が主導するアジア開発銀行(ADB)が片隅
に追いやられること、AIIBがライバルになることだ。』

『そこで日本はAIIBを複雑な思いで見つめている。日本は中国がAIIB支援
など金融面での手段を用いて、アジア地域の金融の主導権を握るとともに、AIIB
をはじめとする金融機関をよりどころとして、アジア・太平洋地域における
影響力を拡大することを懸念する。』

『こうした考え方は日本の立場に立てば合理的なものだといえる。西側の現実
主義の論法では、新興国が急速に発展した結果、遅かれ早かれ経済など諸分野
を手始めに先進国から権限を奪うことは確実だからだ。』

『日本がアジアの金融分野での強い立場を維持するため、中国を牽制しようと
考えるのは当然の流れで、牽制する理由はいろいろ考えられる。日本はAIIB
を拒絶する理由を、融資の審査や組織運営に不安があるからだとしている。』

『中国はAIIBの設立を呼びかけた際、ます最初に世界で通行するルールに基づ
いて準備を進めることを明らかにし、参加を希望するすべての国にともに準備
に関わり、ともに運営に加わることを求めた。』

『中国は500億ドル(1ドルは約121.3円)を出資し、出資比率は50%に達する
が、参加する国が増え、多額の出資を希望すれば、中国の出資比率は下がる
ことになる。AIIBは理事会や取締役会の形で管理がなされ、参加各国は理事と
して会議に参加する。これは世界で共通する国際金融機関の管理モデルだ。』

『また欧州の多くの国が参加することも、日本が抱く中国がAIIBを密かに操作
するのではないかとの懸念を解消させる。』

『実際、日本を含めどの国であれ、AIIBに積極的に参加することが可能だ。
参加すればアジアにメリットをもたらすことができるし、自国の経済的なメリ
ットや国際環境における拡大発展にもつながる。AIIBは商業銀行であり、アジア
地域の発展促進、アジア地域のインフラ投資の促進を設立の主旨とし、営利性

という側面もあれば、公益性という側面もある。』

『現在、アジアの国・地域は毎年インフラ建設資金の圧倒的な不足に悩み、
東南アジアだけでも年間数千億ドル不足する。ADB、世界銀行、国際通貨基金
(IMF)はいずれもこうした問題を解決できていない。AIIBがアジアの発展に
関与することは、賢明な人であれば誰しもよいことだとわかる。参加国の国際的
な信望もAIIBとともに上昇するとみられる。』

『アジアは世界で最も多くの人口を擁する地域であり、最も大きな潜在力を
秘めた市場だ。アジアの発展は世界全体の発展につながることは確実だ。
日本紙「フジサンケイビジネスアイ」もこのほどAIIB参加をめぐり、日本政府
に「メンツより実際の利益が重要」と訴えた。』

『中国は、AIIBはいかなる国のギャンブル的行為にも関わらないし、政治にも
関わらないと明確に述べている。AIIBが行うのはアジアの経済運営を後押し
することだけだ。』

『日本がAIIBに参加しないのは短絡的な選択であることは間違いない。アジア
の共同発展のために、日本は流れに沿って正しい道を選択するべきであり、
自国のつまらないそろばん勘定にこだわるべきではない。』


【20日付『欧州諸国がAIIBに参加へ、韓国と豪州の行方は?』

『英国は3月12日に、「事後報告」のような形でアジアインフラ投資銀行(AIIB)
への参加を表明し、「兄貴分」の米国を憤らせた。米国はこの特殊な同盟国に、
珍しくも公然と憤りを表明した。キャメロン首相の「寝返り」は、偶発的な
ケースなのだろうか、それとも連鎖反応を起こすのだろうか?』

『今やすでにその答案が導き出されたようだ。ドイツ、フランス、イタリアも
17日、AIIBへの参加を確認した。これによりG7のうち4カ国が、AIIBに身を
投じたことになる。中東の富国・サウジアラビアも参加の意向を示している。』

『21世紀は「アジアの世紀」だ。世界経済の重心がアジア太平洋に移ることは
周知の流れ、異論なき事実となっている。欧州4強が沈黙を打破し、大胆にAIIB
への参加を表明したことは、アジア太平洋の未来への自信、AIIBによるユーラ
シア大陸の連結への期待、人民元国際化への承認を反映している。』

『欧州4強が加入を表明すると、米国も口調を和らげ、「各国が独自に判断
することだ」と表明した。この状況下、韓国やオーストラリアなどのアジア
太平洋諸国は、まだ他人の顔色を伺い続けるのだろうか?』

『中韓は長年に渡り経済・貿易交流が盛んで、二国間の貿易額は3000億ドルに
達している。中韓自由貿易区の交渉は、今年2月25日に終了した。中韓には、
良好な協力の基礎がある。韓国企業は今後AIIBを通じ、アジア太平洋に深く
浸透することができる。韓国の国際的な名声も、これによって高まるだろう。』

『同じように心を動かしているのは、オーストラリアだ。中豪の経済・貿易
協力は近年急速に発展している。中国はオーストラリア最大の貿易相手国で
あり、双方の協力には高い将来性がある。』

『また地域内の競争相手であるニュージーランドは、今年1月にAIIBへの参加
を表明していた。英・仏・独・伊が「チーム」を組みAIIBに加入したことで、
オーストラリアは加入の多くの理由を手にするようになった。』

『周知の通り、AIIBは政治集団などではなく、単なる融資の場にすぎない。AIIB
は世界各国に多くの協力のチャンスをもたらし、中国経済の持続的な発展の
ボーナスを分け与え、発展の成果を各国の国民に届ける。』

『米国の同盟国に対する脅迫と警告、AIIBに混乱をもたらそうとする行為は
腹黒く、心の狭さを感じさせる。これはどうすることもできない焦りと不安、
ゼロサムの色濃い思考を示している。』

『国際金融危機後、西側諸国の経済は低迷期を脱していない。急速に台頭する
アジアの新興市場は、発展のボトルネックに直面しており、インフラ整備の
巨額の資金を必要としている。』

『米国主導の世界銀行、日本主導のアジア開発銀行は現在、この需要を満たす
ことができない。従来の機構が新たな問題を解決できないのならば、新鮮な
血液を取り入れる必要がある。これは現在の時代の流れの、必然的な需要だ。』

『このグローバル化の時代において、米国という「兄貴分」は「弟分」たちの
発展の需要を無視し、さらには自国が手にできるはずの実益を蔑ろにしながら、
21世紀の世界経済のルールは誰が作成するかという問題について考えている。
現状に甘んじて進歩を求めず、ゼロサム思考にしがみつくならば、自滅する
のも自業自得だ。』


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アメリカが面白く思っていないというのは、その通りかもしれません。

ただ、参加を表明しない国々は、単に「嫉妬」しているアメリカの顔色をうか
がっていることだけが理由なのでしょうか。

中国に対する不信感も理由の1つのような気もしますが。


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今回のテーマは、【アジアインフラ投資銀行(AIIB)に対する中国の言い分について】です。


編集後記

東京、及びその周辺を生活域としている私ですが、街中を歩いているとき、
ほのかに沈丁花の香りが感じられるような気がします。

気のせいかわかりませんが、春の訪れを感じる今日この頃です。

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