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安全保障法制の見直しについて

2015年3月18日(水)14時現在の各紙サイトより

国内主要紙一面トップ記事、及び社説・主張

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【朝日新聞】
「朝刊一面トップ」
『米軍に弾薬提供可能に 地理的制約なくす 日米防衛指針』
「社説」
『廃炉の決定 「脱原発」を見すえてこそ』

【産経新聞】
「朝刊一面トップ」
『安保法制 自公が実質合意 後方支援「事前承認を基本」』
「主張」
『クリミア併合1年 プーチン核発言に呆れる』
『中国主導の投資銀 恣意的運営を防げるのか』

【東京新聞】
「朝刊一面トップ」
『ひとり親手当の自治体HP 不適切記載 修正求める』
「社説」
『プーチン氏発言核での脅しに耳を疑う』
『免震不正信用の土台が大揺れだ』

【日経新聞】
「朝刊一面トップ」
『脱デフレ半歩前進 日銀総裁「物価、着実に改善」』
「社説」
『日銀は経済全体を見据えて政策運営を』
『国際秩序乱すロシアへの疑念』

【毎日新聞】
「朝刊一面トップ」
『安保法制 20日合意へ 与党 きょう枠組み提示』
「社説」
『免震ゴム不正 安全は二の次なのか』
『温暖化への備え 縦割りを排し体系的に』

【読売新聞】
「朝刊一面トップ」
『後方支援に恒久法 合意 安保法制 自公が原案』
「社説」
『プーチン発言 「核準備」の恫喝は認められぬ』
『社外取締役 攻めの経営にどう生かすか』


きょうの注目記事

安全保障法制の見直しについて、産経紙と毎日紙から見てみます。


【15日付「産経新聞」主張『安保法制 国守る全体像に理解得よ』

『日本の守りや国際社会の平和と安全を確かなものにする上で欠かせない多く
の内容が盛り込まれている。与党は十分機能する法制を目指し、最終調整を
進めてほしい。』

『留意すべきは、多国籍軍への後方支援を行うために自衛隊を海外派遣する
恒久法など、一部の内容に国民の理解が深まっていない点である。』

『産経新聞とFNN(フジニュースネットワーク)の2月下旬の世論調査では、
集団的自衛権の行使を容認するために安保法制の関連法を国会提出すること
自体には、57・7%が賛成している。』

『その一方で、多国籍軍の後方支援を随時可能にする恒久法への賛成は2割に
とどまり、従来通り、そのつど特別措置法で対応すべきだとの回答が7割を
超えた。』

『日本が国際平和に貢献するため、適切なタイミングで自衛隊を派遣できる
ようにしておく恒久法の意義は大きい。派遣に関する国会同意の仕組みも組み
込まれており、文民統制は損なわれない。』

『法制の仕組みの複雑さが国民の理解を妨げている面は大きい。』

『政府は自衛隊の海外派遣について、3つの法制で位置付けようとしている。』

『「国際社会の平和と安定」のための後方支援は恒久法で、「日本の平和と
安全に重要な影響を与える事態」は周辺事態法の抜本改正、国連平和維持活動
(PKO)や人道復興支援活動にはPKO法の改正である。』

『一本化も考えられたが、派遣に対する歯止めを重視する公明党の意向もあって
実現しなかった。』

『安倍晋三首相や政府与党は、法制の準備と並行し、国民への説明に一層力を尽くすべきだ。』

『わかりにくさを生じる根本原因として、自衛隊は対外的には「軍隊」だが、
国内的には「軍隊」より「警察予備隊」に近い性格を残していることがある。』

『このため、「これはしてもよい」というポジティブリスト(根拠規定)方式
ですべての活動を定めている。自衛隊の役割が増せば増すほど、法制は細かく
なる。』

『世界の標準に合わせ、「してはならないこと」をあらかじめ決めておくネガ
ティブリスト(禁止規定)方式に改めることが、今後の大きな課題となろう。
それには、自衛隊を憲法上、正式に軍と位置付けることが必要だ。』


【16日付「毎日新聞」社説『安保法制の見直し 先走らず慎重に一歩を』

『集団的自衛権以外にも論点が多岐にわたる安保法制について、私たちの基本的
な考え方を示したい。』

『安全保障環境は変化している。米中のパワーバランスの変化や軍事技術の
進展により、離れた地域での脅威が日本の安全保障に影響を及ぼし得る。これ
に応じて安保法制の見直し議論をすることは必要だろう。』

『しかし、だからといって米国の力の低下を補うように自衛隊の海外活動を
地球規模に広げていいわけではない。』

『与党協議で最大の焦点になったのは、戦闘中の他国軍への後方支援や人道
復興支援など国際貢献分野で自衛隊を海外派遣するための法整備だった。
中でも最も懸念するのが周辺事態法の抜本改正だ。』

『政府の提案では、法改正により、日本の平和と安全に重要な影響を与える
事態として「重要影響事態」を新設する。事実上の地理的制約とされてきた
「周辺事態」は廃止する。』

『政府が重要影響事態と認定すれば、中東の紛争でも自衛隊が他国軍に後方
支援できるようになる。戦場に近い場所でも活動できるようになり、弾薬の
提供も認める。』

『地理的制約は、恣意(しい)的な認定を防ぐ歯止めとなってきた。これを
廃止する改正には反対だ。政府が目指す「切れ目のない法整備」は、従来の
安保論議の積み重ねを飛び越えて歯止めのない法整備になってしまう。』

『日本の平和と安全は憲法9条と日米安保条約の均衡の上に成り立っている。』

『周辺事態法の抜本改正は、日米安保をグローバルな安保協力へと質量ともに
大幅に拡大するものだ。日米安保条約の枠組みを越えて対米軍事協力がなし
崩しに拡大することを認めるわけにはいかない。』

『政府は周辺事態法の抜本改正によって何をしたいのだろうか。狙いは南シナ海
の海洋権益をめぐる紛争への備えではないか。』

『中国とフィリピンの間で直ちに衝突が起きるなどと考えてはいないだろう。
だがそういう事態に後方支援する構えを示すことで抑止力を高めようとして
いるように見える。』

『米国は日豪など同盟国同士の安保協力を強化し、アジアでの米国の負担を
肩代わりさせる方向性を鮮明にしている。その戦略にも沿うことになる。』

『周辺事態法の改正だけでも、これだけの背景を持つ大がかりな変更になる。
それなのに何のための抜本改正かという理由を政府はほとんど説明していない。』

『恒久法の制定や国連平和維持活動(PKO)協力法の改正も、それぞれの
法律だけで一回の通常国会を通して議論すべきテーマである。』

『恒久法は、有志国連合などを想定して、国際社会の平和と安全のため戦闘中
の他国軍に対し、自衛隊が後方支援できるようにするものだ。』

『政府は人道復興支援や治安維持活動もできるようにするつもりだったが、
公明党の反発で、恒久法は後方支援に限定し、その他の活動はPKO法を改正
して盛り込むことにした。』

『これらの活動は、従来はその都度、特別措置法を制定して対応してきたが、
恒久法ができれば随時、自衛隊の派遣が可能になる。』

『インド洋での海上自衛隊による給油支援活動は、ねじれ国会のもとで混乱
した。テロなどの脅威に対抗するため国際貢献を求められる場合を考えれば、
自衛隊の活動に厳格な前提条件をつけたうえで、与野党の広範な合意にもと
づく恒久法を整備しておくことは一定の理解ができる。』

『問題は活動の正当性だ。国連決議にもとづく活動ならば正当性の度合いは
高まるが、政府は国連決議がなくても国際機関の要請などがあれば派遣を可能
にしたいと提案している。慎重に議論する必要がある。』

『こうしたことを踏まえれば、まずは20年以上の実績を積み重ね、国際社会
からも活動が高く評価されてきたPKOから議論していくのが適切ではないか。』

『政府はPKOの任務の拡大と、それに伴う武器使用権限の拡大を提案して
いる。現場の声をよく聞きながら、提案のうち必要な見直しとそうでないもの
を見極めたい。南スーダンでは現在も陸上自衛隊のPKO部隊が活動しており、
PKOの見直しこそ最優先すべきだ。』

『自民、公明両党は20日にも与党の考え方をまとめ、政府が具体的な法案化
作業に入ることを了承する見通しという。先走りせず一歩ずつ議論を進めて
ほしい。』


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参考までに、毎日サイトに掲載されていた「政府が示した国際貢献にかかわる
安保法制の枠組み」の表を、こちらに転載させていただきました。

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ちなみに、本日の産経サイトには以下のような記事があります。

『朝日、毎日両新聞は社説で大々的に反対論を掲げました。意見は反対であって
も論理的、政策的な主張ならばいいと思いますが、両紙の主張は集約すれば
「急ぎすぎだ」という情緒論とどまっており、疑問を提起するばかりで集団的
自衛権の行使なしにどのようにして日本の平和と安全を守るのかという「対案」
は何らありません。』

新しい安保法制は『日本の守りや国際社会の平和と安全を確かなものにする
上で欠かせない』ものなのか、或いは「暴走」なのか...。

いつもながら、意見の分かれるところです。


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今回のテーマは、【「きょうの注目記事」で共感したのはどちら?】です。


編集後記


今回は、記事の更新を休ませていただきます。

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