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日本はドイツに見習うべきか?

2015年3月12日(木)14時現在の各紙サイトより

国内主要紙一面トップ記事、及び社説・主張

*一部記事が有料なものや、無料会員登録が必要なものもあります。

【朝日新聞】
「朝刊一面トップ」
『祈る、大好きな人へ 動けぬ母に最後の言葉 東日本大震災4年』
「社説」
『18歳選挙権 教育がカギを握る』
『国籍法 時代に合ったルールを』

【産経新聞】
「朝刊一面トップ」
『東日本大震災4年 お食い初めの日 夫は津波にのまれた 「涙見せず生きていく」』
「主張」
『復興予算 不安招かぬ負担の議論を』
『メルケル首相発言 単純な比較は慎むべきだ』

【東京新聞】
「朝刊一面トップ」
『東日本大震災4年 追悼式』
「社説」
『メルケル独首相 語られた二つの反省』
『北陸新幹線 個性ある「かがやき」を』

【日経新聞】
「朝刊一面トップ」
『トヨタ、ベア過去最高3700円軸に 一時金は満額回答』
「社説」
『世界に挑戦する日本の鉄道』
『マイナンバー普及へ利用範囲の拡大を』

【毎日新聞】
「朝刊一面トップ」
『東日本大震災4年 忘れない でも前へ』
「社説」
『再生エネルギー 世界の潮流に遅れるな』
『日本とドイツ 戦略的な連携の強化を』

【読売新聞】
「朝刊一面トップ」
『鎮魂の日 誓う復興 東日本大震災4年』
「社説」
『大震災追悼式 重い教訓を防災に役立てたい』
『防衛装備庁 一元管理で調達の効率化図れ』


きょうの注目記事

先日、韓国の「朝鮮日報」から、『日本で「戦犯国家の真の反省」を語った
独首相』という社説を紹介しました。

この件について中国の「人民日報」、及び日本国内主要紙の社説・主張でも
いくつか取り上げられています。

人民日報の評論と、国内紙の該当部分を抜粋してみます。


【「人民日報」『メルケル首相の穏やかな忠告を安倍首相は聞き入れるだろうか』

『メルケル首相は日本到着当日に自ら歴史問題に言及。第2次大戦後のドイツ
と被侵略国との和解実現に触れて、戦争の歴史に誠実に向き合うよう日本に
促した。』

『メルケル首相には日本の安倍首相に忠告する資格がある。第2次大戦後から
現在までに、ドイツは被侵略国の許しを得て、国際社会の信用と尊敬を勝ち
取った。ドイツ高官は泰然と歴史に言及し、自国の経験を他国の模範とする
ことができる。』

『ロイター通信や英紙ガーディアンなどはこのニュースを報じる際「メルケル
首相訪日、日本に歴史の直視を促す」「メルケル首相が『戦争に言及する』
よう日本に促す」といった類似の文言を多く用い、メルケル首相の発言を丁寧
に促したとして、肯定的に評価している。』

『メルケル首相には安倍首相に忠告する必要もあった。最近、安倍首相の準備
している戦後70周年談話が注目されている。安倍首相は戦時中の歴史に対して
懺悔を表明する必要性を表明しつつも、「侵略」「植民地支配」といったキー
ワードは使用しないことを示唆している。その姿勢はすでに近隣国の不満を
招いており、中韓などの関係をさらに傷つける恐れもある。』

『メルケル首相は穏やかに忠告したが、安倍首相が聞き入れるとは限らない。』

『安倍首相に歴史問題の話題を拒む気持ちがあるのは明らかだ。メルケル首相
訪日前にドイツメディアは「安倍政権はドイツ側が第2時大戦の反省の問題に
言及することを懸念している。安倍政権に代表される日本保守勢力は同国の
第2次大戦の問題に対する姿勢への外部の批判に非常に敏感だ。したがって、
たとえ善意の忠告であっても、安倍首相は歓迎しない」と断言している。』

『安倍首相に忠告したのはメルケル首相が初めてではない。実際には、日本
国内には歴史の直視を呼びかける声がいくらでもある。日本はまだ戦争の歴史
を正しく扱っていないとの見解は中韓だけでなく、東南アジア、米国、欧州の
知識階級にも何年も前から幅広く存在する。』

『日本の元高官は、過去の過ちを認めることは反対に国の道義的立場を揺るぎ
ないものにすると指摘した。だが安倍首相を含む一部の人々は、歴史と向き
合うことをあくまでも「自虐史観」と誹謗する。』

『実は日本は国際社会の立場をよく分かっている。第2次大戦終結50年の際に、
当時の村山富市首相は談話を発表。前半部分は反省と謝罪に集中し、「植民地
支配」などの表現を用いて、体外拡張政策が他国の国民を深く傷つけたことを
認め、日本がかつて加害者であったという歴史的事実を認めた。』

『この談話を米国の大統領は「非常に勇気ある声明」とし、国際社会も積極的
に応じた。誠意あるおわびをしたうえで、村山談話は後半部分で戦後日本の
過去と決別した新しい生き方について説明し、国際協力、平和、民主主義に
対する約束を確認した。戦後60年の小泉談話も村山談話の内容を基本的に
踏襲し、やはり反省を基調とした。』

『メルケル首相は日本での講演で、「(ナチスドイツの)過去に目を閉ざす者
は現在にも盲目となる」ということを明確に指摘した、故ヴァイツゼッカー
元大統領の1985年の演説に言及した。安倍首相は忠告を聞き入れないことを
選択できるが、懸命に推し進めるいわゆる「積極的平和主義」はそれによって
絵空事となる。』

『日本は加害者であり、中韓などは被害者だ。被害者に相手を許し、受け入れる
心がないわけでは決してないが、加害者はそれ以上に誠意を示し、行動に移す
必要がある。』


【「産経新聞」『メルケル首相発言 単純な比較は慎むべきだ』

『来日したドイツのメルケル首相の歴史問題に関する発言を捉え、国内外で、
日本に「反省を促した」と牽制(けんせい)する動きがでている。
発言を都合良く解釈していないか。日本をおとしめる政治宣伝に乗るべきでは
ない。』

『メルケル首相が9日の安倍晋三首相との共同会見で「過去の総括が和解の
前提」と述べた。韓国紙は、安倍首相に歴史の反省を促した、と報じた。
メルケル氏は首脳会談に先立つ都内での講演で、「和解は隣国の寛容な振る
舞いがあったから可能になった」とも語った。』

『こうした発言を受け、韓国外務省報道官は「誠意ある反省が先になければ、
寛容を示すことはできない」と述べた。』

『メルケル氏の発言は、戦後の自国とフランスなどとの関係改善の経験について
語ったものだ。日本も近隣諸国との過去に向き合うよう求めたとの見方も出て
いる。しかし日本とドイツは同じ敗戦国だが、戦時の状況や戦後処理の進め方
など、経緯が異なる。』

『民主党によると、メルケル氏は、10日の岡田克也代表との会談で、慰安婦
問題の解決を促した。岡田氏が「中国や韓国との間で和解が成し遂げられたとは
いえない状況だ」と述べたのに対し、メルケル氏は「常に過去と向き合って
いかなければならない」と応じたという。』

『戦後補償の問題は、日韓では昭和40年の日韓請求権・経済協力協定に基づ
いて法的に解決済みである。慰安婦問題でも、アジア女性基金を通じた元慰安婦
への償い金支払いや、歴代首相が慰安婦の境遇について深い同情を表明する
など、できる限りのことを行ってきた。』

『岡田氏はこうした日本政府の取り組みについてきちんと説明できたのだろうか。』

『中国、韓国は安倍首相が8月に発表する戦後70年談話への警戒を強めて
おり、メルケル首相の発言を持ち出し、安倍政権をさらに牽制する懸念もある。』

『メルケル氏の発言にからみ、岸田文雄外相は「多くの国々とりわけアジア
諸国の人々に多大な損害と苦痛を与えた認識は歴代内閣と同じだ」と述べると
ともに「日独両国を単純比較するのは適当ではない」とした。』

『その通りであり、戦後補償や戦後の一貫した平和貢献などの取り組みに
ついて、適切な発信に努めてもらいたい。』


【「東京新聞」『メルケル独首相 語られた二つの反省』

『ドイツは欧州連合(EU)の一員として、近隣諸国との強い信頼関係を築いて
いる。これに対し、日本と中国、韓国との間には不協和音が目立っている。』

『メルケル首相は来日講演で、近隣諸国との関係について「ナチスの時代が
あったにもかかわらず、ドイツは国際社会に受け入れてもらえた。過去ときちん
と向き合ったからだ」と説明した。』

『戦争の「過去」をめぐる欧州と東アジアの事情は違う。ドイツはナチスに
よる侵略と大虐殺の事実を認め、欧州は共通の歴史認識づくりに大きな成果を
挙げてきた。これに対し、日中韓の間では歴史認識での隔たりは極めて大きい。』

『しかし、その中で、戦後五十年の村山富市首相談話で表明した「植民地支配
と侵略」に対する反省とお詫(わ)びは、日本外交の基盤である歴史認識の
根幹となってきた。戦後七十年談話でも、これを曲げることなく明確に表明し、
周辺国の理解を得た上で、歴史認識の溝を埋めていきたい。』

『メルケル首相はまた「独仏の和解はフランスの寛容な振る舞いがなかったら、
可能ではなかった」と述べた。』

『「東シナ海、南シナ海における海上通商路の安全が海洋領有権をめぐる紛争
によって脅かされている」とも発言して中国をけん制、解決のため、二国間
対話のほか、東南アジア諸国連合(ASEAN)の活用を呼び掛けた。日本の
周辺国にも寛容さや自制を促したのは注目される。ASEANの活用はEUに
学ぶ点が多い。』


【「毎日新聞」『日本とドイツ 戦略的な連携の強化を』

『第二次世界大戦に敗れ、その責任を負って再出発した日本とドイツはともに
平和国家の道を歩み、経済成長を遂げた。戦後70年の今日、両国はその経済力
に見合った地域大国として指導的役割が求められている。』

『日独には、環境対策など経済力や技術力を生かして世界の発展に協力できる
分野が多くある。また、アジアと欧州でそれぞれ安定した秩序を維持すること
が両国にとっての国益であり、戦略的な連携を強めるべきだろう。』

『その点で、最近はドイツの外交が国際的に注目されている。』

『ウクライナ東部で激化した政府軍と親ロシア派武装勢力との戦闘をめぐって、
メルケル首相は先月、ロシアのプーチン大統領やウクライナのポロシェンコ
大統領らと17時間近い徹夜交渉の末に停戦合意をまとめた。欧州をけん引
する国としてドイツが地域で信任を得ていることが積極外交の大きな支えに
なっている。』

『一方、日本は期待に応えられているだろうか。安倍首相は「地球儀を俯瞰
(ふかん)する外交」を掲げて世界を飛び回っているが、隣の中国や韓国との
関係は改善されず、国際社会から懸念の声も上がっている。ここが日本とドイツ
の違うところだ。』

『むろん、日本だけの責任とは言えない。メルケル首相は来日中の講演で
「ドイツは幸運に恵まれた」と語り、隣国フランスの寛容さが独仏の和解を
促進し、欧州統合という平和の土台を作ることができたと指摘した。東アジア
には戦後、こうした土壌が生まれなかった。』

『だが欧州で和解が実現したのは、過去と向き合おうとするドイツの姿勢が
周辺国に理解されたからでもある。』

『1月に死去したワイツゼッカー元大統領の「過去に目を閉ざすものは現在も
見えなくなる」との演説に象徴されるように、指導者と国民が苦しみながら
ナチスの犯罪行為の責任を受け止め、国際社会に受け入れてもらおうと努力を
重ねてきたのが戦後ドイツの歴史でもある。』

『メルケル首相は訪日中、繰り返し「平和的な解決を模索してあらゆる努力を
続けなければならない」と説いた。日本とドイツを単純に比較することは妥当
ではないが、日本も近隣国との和解の努力を重ね、世界の平和と安定に一層
貢献できる国でありたい。』


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「東京新聞」社説の以下の部分。

(メルケル首相は)『「東シナ海、南シナ海における海上通商路の安全が海洋
領有権をめぐる紛争によって脅かされている」とも発言して中国をけん制、
(中略)日本の周辺国にも寛容さや自制を促したのは注目される。』

この点が他紙でスルーされているのが気になります。
決して日本だけに注文をつけたわけではないんですね。

「人民日報」は、"まぁ、そう言うだろうな"
「産経新聞」は、"ちょっと説得力に欠けるかな"
「毎日新聞」は、"日本だけに努力義務があるの?"

個人的には、そんな印象を受けました。


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今回のテーマは、【【きょうの注目記事】で最も共感した主張は?】です。


編集後記

11日にマラソンの世界選手権代表選手の発表がありましたが、選考を巡って
物議を醸しているようです。

マラソンの代表選考は、昔からモメることが多いですね。

条件や出場選手の異なる複数のレース結果から誰を選ぶのか決めるというのは、
確かに難しいものがあると思います。

門外漢の的外れな発言だとしたら申し訳ないのですが、例えば「世界選手権に
出たい選手は皆さん日本選手権に出場してください」というように代表選考
レースを1つに絞って、その順位のみで決めてしまうというわけにはいかない
のでしょうか。

「興行」的な意味合いから、難しいんでしょうかね。

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