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憲法改正について

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今回は、物議を醸している、憲法改正についてです。
少し長くなりますが、主張の異なる産経・東京両紙の社説を見てみます。


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☆3日付「産経新聞」『本紙「国民の憲法」要綱 戦後体制との決別を急げ』

『憲法をようやく日本人の手に取り戻せる。自らの力で立ち、国の命運を決し、切り開いていく。この当たり前のことが、本紙の「国民の憲法」要綱の意味である。

 まず現行憲法を正視しよう。国家と国民の主権が認められていない連合国軍総司令部(GHQ)の占領期に制定された「占領憲法」であり、日本の無力化も企図されていた。主権回復から61年を迎えるのに、その憲法を不磨の大典のごとくに崇(あが)め、手を加えようとしていない。

 制定以来、改正が行われていない憲法としては世界でも最古であり、現実との乖離(かいり)は広がる一方だ。自らの安全と生存を「平和を愛する諸国民」に委ねるとの前文が、それを象徴する。

 本紙が「国民の憲法」起草委員会を立ち上げたのも、憲法を根幹から見直さない限り国は衰弱するとの危機感による。要綱作りでは変えてはならないものと、現実に即して変えていくものとを見極めた。

 前者の中心は天皇であり、立憲君主国や元首の明記は、日本の本来の国柄を明確にするものだ。国民主権、平和主義、基本的人権の尊重なども踏襲した。

変えねばならないものは、いま目の前で起きている数々の国難を見れば明らかだ。「国家機能の不全」が次々と危機を招いている。その最たるものが尖閣諸島に侵略の歩を公然と進める中国である。

 驚くべきは、日本の抑止力がないも同然なことだ。日本領海内で無害でない行為を行う中国公船に対し、国連海洋法条約は取り締まりを認めているにもかかわらず、必要な措置を取ろうとしていない。

 「退去要請」しかできない理由は、強制措置が警察権を超え、軍事力の行使になるためだ。

 憲法9条は軍の保持を禁じ、政府解釈は自衛権の行使も「必要最小限度の防衛のため」としている。領海内での不法行為を排除する軍事力の行使は国際常識なのだが、日本は憲法上認められないとの立場だ。

 周辺国は、この「思考停止」を熟知し、つけ込んでくる。日本固有の領土である竹島と北方領土を、それぞれ不法占拠している韓国とロシアにもあてはまる。

 国民の憲法要綱は「軍の保持」と「領土」保全を明記しており、抑止力は強まる。挑発や不法行為の芽も摘むことができよう。

軍はまた、憲法第9条1項の「侵略戦争はしない」との趣旨を引き継ぎ、国際社会の平和と安定に協力する。受け身ではなく、真の「平和の守り手」として、「独立自存の道義国家」を世界に示していく。

 戦後の日本は、「経済重視・軽武装」路線を突き進んだ。結果として米国への過度の依存心や甘えが生じた。さらには個人重視の風潮がはびこった。権利を重視するあまり、国家や地域のために尽くす義務を疎(おろそ)かにしてきた戦後民主主義の残滓(ざんし)はなお色濃い。こうした戦後体制との決別を要綱は強く求めている。

 国を守る義務を負うとの精神規定も権利偏重を見直す延長線上にあり、国家を「国民の共同体」とみる基盤を広げる意味を持つ。

 今夏の参院選では、憲法改正の発議要件を衆参両院の「3分の2」から「2分の1以上」に緩和する憲法96条改正が争点になる。国民投票が実施され、一人一人が判断を求められるときもそう遠くない。

 この要綱は、全国民が憲法に向き合い、いかに是正するかを考える羅針盤である。明日以降も要綱の個別課題を取り上げ、憲法論議を深める契機としたい。』


☆3日付「東京新聞」『憲法を考える 歴史がつなぐ知恵の鎖』

『憲法改正を叫ぶ勢力の最大目的は、九条を変えることでしょう。国防軍創設の必要性がどこにあるのでしょうか。平和憲法を守る方が現実的です。
 選挙で第一党になる、これは民主的な手法です。多数決で法律をつくる、これも民主的です。権力が憲法の制約から自由になる法律をつくったら...。
 ワイマール憲法当時のドイツで実際に起きたことです。国民主権を採用し、民主主義的な制度を広範に導入した近代憲法でした。ヒトラーは国民投票という手段も乱発して、反対勢力を壊滅させ、独裁者になりました。憲法は破壊されたのです。
◆熱狂を縛る立憲主義
 日本国憲法の役目は、むろん「権力を縛る鎖」です。立憲主義と呼ばれます。大日本帝国憲法でも、伊藤博文が「君権を制限し、臣民の権利を保障すること」と述べたことは有名です。
 たとえ国民が選んだ国家権力であれ、その力を濫用する恐れがあるので、鎖で縛ってあるのです。また、日本国民の過去の経験が、現在の国民をつなぎ留める"鎖"でもあるでしょう。
 憲法学者の樋口陽一東大名誉教授は「確かに国民が自分で自分の手をあらかじめ縛っているのです。それが今日の立憲主義の知恵なのです」と語ります。
 人間とはある政治勢力の熱狂に浮かれたり、しらけた状態で世の中に流されたりします。そんな移ろいやすさゆえに、過去の人々が憲法で、われわれの内なる愚かさを拘束しているのです。
 民主主義は本来、多数者の意思も少数者の意思もくみ取る装置ですが、多数決を制すれば物事は決まります。今日の人民は明日の人民を拘束できません。今日と明日の民意が異なったりするからです。それに対し、立憲主義の原理は、正反対の働きをします。
◆9条改正の必要はない
 「国民主権といえども、服さねばならない何かがある、それが憲法の中核です。例えば一三条の『個人の尊重』などは人類普遍の原理です。近代デモクラシーでは、立憲主義を用い、単純多数決では変えられない約束事をいくつも定めているのです」(樋口さん)
 自民党の憲法改正草案は、専門家から「非立憲主義的だ」と批判が上がっています。国民の権利に後ろ向きで、国民の義務が大幅に拡大しているからです。前文では抽象的な表現ながら、国を守ることを国民の義務とし、九条で国防軍の保持を明記しています。
 しかし、元防衛官僚の柳沢協二さんは「九条改正も集団的自衛権を認める必要性も、現在の日本には存在しません」と語ります。旧防衛庁の官房長や防衛研究所所長、内閣官房の副長官補として、安全保障を担当した人です。
 「情勢の変化といえば、北朝鮮のミサイルと中国の海洋進出でしょう。いずれも個別的自衛権の問題で、たとえ尖閣諸島で摩擦が起きても、外交努力によって解決すべき事柄です。九条の改正は、中国や韓国はもちろん、アジア諸国も希望していないのは明らかです。米国も波風立てないでほしいと思っているでしょう」
 九条を変えないと国が守れないという現実自体がないのです。米国の最大の経済相手国は、中国です。日中間の戦争など望むはずがありません。
 「米国は武力が主な手段ではなくなっている時代だと認識しています。冷戦時代は『脅威と抑止』論でしたが、今は『共存』と『摩擦』がテーマの時代です。必要なのは勇ましい議論ではなく、むしろブレーキです」
 柳沢さんは「防衛官僚のプライドとは、今の憲法の中で国を守ることだ」とも明言しました。
 国防軍が実現したら、どんなことが起きるのでしょうか。樋口さんは「自衛隊は国外での戦闘行為は許されていませんが、その枠がはずれてしまう」と語ります。
 「反戦的な言論や市民運動が自由に行われるのは、九条が歯止めになっているからです。国防軍ができれば、その足を引っ張る言論は封殺されかねません。軍事的な価値を強調するように、学校教育も変えようとするでしょう」
 安倍晋三首相の祖父・岸信介氏は「日本国憲法こそ戦後の諸悪の根源」のごとく批判しました。でも、憲法施行から六十六年も平和だった歴史は、「悪」でしょうか。改憲論は長く国民の意思によって阻まれてきたのです。
◆"悪魔"を阻むハードル
 首相は九六条の改憲規定に手を付けます。発議要件を議員の三分の二から過半数へ緩和する案です。しかし、どの先進国でも単純多数決という"悪魔"を防ぐため、高い改憲ハードルを設けているのです。九六条がまず、いけにえになれば、多数派は憲法の中核精神すら破壊しかねません。』


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個人的には、憲法を見直すこと自体には反対しませんが、96条を変えることには少し躊躇します。

特に最近の「小泉"郵政"選挙」や「民主党の政権交代」、「安倍自民党の圧勝」など、その時の空気で簡単に大きく票が動いてしまうような状況を見ていると、憲法もその時の空気でころころと変わってしまうのではないかという危機感があるからです。

もっと意地の悪い見方をすれば、
・96条を変えて議員の過半数で改憲できるようにする
・その時の政権にとって都合のいい憲法に変えてしまう
・再び改憲規定を変えて改憲へのハードルを高くする
そんなこともできてしまいそうです。

よく、「憲法は国を縛るもの」「法律は国民を縛るもの」と言われます。
時の権力を縛る憲法を、安易に変えることができてしまうというのはいかがなものでしょうか。


ところで、本来ならば産経紙とおそらく対極にあるであろう朝日紙の社説を紹介しようと思ったのですが、朝日紙はバックナンバーを読むのが有料となるため、掲載しませんでした。

社説は、その新聞社がどのような価値観を持ち、日々起こる出来事をどのように考えているのかを知ることができるもの。
それは、新聞購読を決める判断材料にもなるものと思います。

個人的には、過去1ヶ月分くらいの社説は無料で読めるようにしたほうがいいのではと思うのですが...。

ちなみに、今回については朝日紙よりもむしろ東京紙の社説のほうが、産経紙の対極にあるという印象を受けました。


それでは、また。
あなたに素敵なことがいっぱいありますよう...。


【国内主要6紙リンク】

【朝日新聞】 トップ 社説

【産経新聞】 トップ 社説

【東京新聞】 トップ 社説

【日経新聞】 トップ 社説

【毎日新聞】 トップ 社説

【読売新聞】 トップ 社説


【新聞コラム社説リンク】

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新聞コラム社説リンクより


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「公明党」機関紙 【公明新聞】

「日本共産党」機関紙 【赤旗】


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