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労働組合をもっと使おう?

【国内主要6紙の本日の社説】

2009年5月2日

(以下、掲載順は日々変更)

【日経新聞】
『銀行・証券の再編を危機脱却の糸口に』
『変革怠ったクライスラー』
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【毎日新聞】
『草なぎさん事件 建前論乗り越える機に』
『クライスラー破綻 再建は容易ではない』
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【読売新聞】
『感染者情報 結果シロでも迅速対応が良い』
『クライスラー 破綻後も続くいばらの道』
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【朝日新聞】
『クライスラー オバマ流の「静かな破綻」』
『危機とメーデー 労働組合をもっと使おう』
(詳しくはこちらへ)

【産経新聞】
『クライスラー破綻 連鎖倒産回避で終わるな』
『時効殺人賠償判決 被害者救済につなげたい』
(詳しくはこちらへ)

【東京新聞】
『高速1000円 大渋滞は覚悟の上だが』
『クライスラー再建 環境車の開発がカギだ』
(詳しくはこちらへ)


独断と偏見はご容赦!【最近の社説の、ここに注目】

2日付「朝日新聞」
『危機とメーデー 労働組合をもっと使おう』の社説。


この社説は、『労働組合をもっと使おう』と主張している。

労働組合利用のメリットについては、ここに書かれているとおりだ。
必要であれば、使えばいいと思う。

ただ、労働組合の活動は絶対的に「善」かというと、少々疑問に感じる。

以下、私が直接見聞きした話だ。
少し違った視点として、紹介しておきたい。


とある零細派遣会社にアルバイトとして入社したA君。
派遣先の企業では、同じ派遣会社から派遣されたアルバイトが、20数名働いていた。

A君は入社間もないが、アルバイトの中には、もう10年以上も勤務している人もいる。

その派遣会社は昇給に関しては良心的で、最も古いアルバイトの人は、入社時よりも時給が400円ほどもアップしている。

社会保険や厚生年金には加入できない。
しかし、手取り収入が多いことを重視するアルバイトが多いため、その点についての不満は出てこない。

定常的に超過勤務も発生している。
多い人では、超過勤務が月100時間近くにもなろうか。

有給休暇なども、アルバイトの人たちは特に欲していない。
有給休暇を使ってしまうと、休んだ日については、超過勤務分の収入が減ってしまうからだ。
余った有給休暇の買取などもしていないので、なおさらである。

結果、ベテランのバイト勢には、月収40万円近くになる人もいる。


そんな中、派遣先の企業が、その派遣会社との契約を打ち切ると通知してきた。
今働いているアルバイトについては、全て自社直接雇用のアルバイトとして引き取るとのことだ。

その会社のアルバイトは、保険や年金にも加入し、有給休暇も付与される。
残業もずっと少なく、なにより大手企業なので安定性も大きい。
真面目に勤務していれば、契約社員などへの登用の道もある。

ただし、時給については、零細派遣会社入社時とほぼ同じになってしまう。

目先の手取り収入にはさほどこだわらないA君にしては、いい条件だ。

勤務場所も、仕事内容も、給料も、ほとんど変わらない。
天引きされる金額は増えるが、その分福利厚生が充実する。
それに、安定性だって増す。

しかし、ベテラン勢にとっては、たまったものではない。
元々、手取り収入の多さにこだわる人たちだ。
月収にして、約10万円少なくなってしまうのである。

この通達に激しく抵抗したベテラン勢が頼ったのが、社説にも紹介されている『個人加入型の「ユニオン」と呼ばれる組織だ』。

残業が減り、福利厚生が充実し、同一労働同一賃金が実現するのを阻むためにユニオンを利用したのだ。

ユニオンは、これを拒むことなく、後押しした。

ベテラン勢は、A君にも加入を強要した。
加入はしたくなかったが、断れば、とても仕事を続けられるような雰囲気ではなくなるであろうことは目に見えていた。

A君は窮状を、ネットを通じて当該ユニオンに訴えた。
他の人たちにバレるのを恐れ、実名は明かさなかったが、こういう目的のためにユニオンを利用できるものなのか、疑問をぶつけた。

最初の1、2回は返事がきたが、その後、ユニオンからの連絡はなくなったそうだ。

悩んだA君は、入社したばかりのその会社を退社した。

結局、ごく一部の高給取りアルバイトが派遣会社に残り、他の大半が退社した。
そして、残った数名が、引き続き同じ条件で派遣従業員としての勤務を続けた...。


以上、もちろんこれは極めて稀なケースなのだろう。

しかし、労働者のためというよりも、「入会金」と「毎月の組合費」のため、加入を勧めているように感じてしまうことも、個人的には少なくない。


今日の雑感

規模の大小を問わず全ての会社が、労働基準法などの法律を遵守していれば問題ないのですが、実情はそうではありません。

特に零細企業など、アルバイトについては旧態依然とした考え方をしているところも少なくないようです。

また、注目社説コーナーで書いたように、アルバイトの人が、必ずしも法に定められた条件による勤務を望んでいないケースも、少なからずあることと思います。

そこに、派遣などの条件が絡んでくると、更にややこしい事態となります。

本当に難しいです。


【本日、あなたが最も共感しなかった社説は?】


2009年5月2日




























締切:2009年05月03日22時00分

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