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日本には厳しい韓国が、なぜ中国には弱腰なのか

昨日首都圏は、久々の大雪に見舞われました。
車が動かなくなったり電車が止まったりと、東京及びその周辺は本当に雪に弱いです。
私も外出する用事があったため、大変な思いをしました。
「8センチの積雪で大雪?」と、雪国の方には笑われそうですが。


さて今回は、少し前の記事ではありますが、韓国の靖国放火犯引き渡し拒否についてです。

まずは、日韓双方の主張から。
6日付「読売新聞」、及び5日付「朝鮮日報」の社説をご覧ください。


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☆6日付「読売新聞」
『靖国放火容疑者 韓国の引き渡し拒否は不当だ』の社説。

『日韓関係を損なう韓国司法の不当な決定だ。

 東京の靖国神社の神門に放火した疑いで日本政府が韓国政府に身柄引き渡しを求めていた中国人容疑者について、ソウル高裁が「政治犯」と認定して引き渡しの拒否を決定し、容疑者は中国に帰国した。

 容疑者の身柄引き渡しを巡っては、中国が政治犯としての処遇を求めて強制送還を公然と要求していた。日本より中国への配慮が強くにじみ出た決定と言えよう。

 安倍首相が「韓国の対応は日韓犯罪人引き渡し条約を事実上、まったく無視したものだ。極めて遺憾で、強く抗議したい」と述べたのも当然である。

 この容疑者は、昨年1月にソウルの日本大使館に火炎瓶を投げ込んだ罪で韓国で懲役10月の実刑判決が確定し服役した。取り調べ中に、一昨年12月の靖国神社への放火についても自供していた。

 日本の施設を連続して狙った犯行の動機について、容疑者は、祖母がいわゆる従軍慰安婦で、日本政府の歴史認識や対応への怒りからだと供述していたという。

 ソウル高裁は、靖国神社について、「侵略戦争を主導し、有罪判決を受けた戦犯が合祀(ごうし)」され、閣僚らが参拝するなど国家施設として使用されている「政治的象徴性がある」と指摘した。

 そのうえで、放火は日本の政策変更を狙った政治的な目的による犯行で、引き渡しを拒否できる「政治犯罪」にあたるとした。

 驚くべき判断だ。これでは、過去の歴史と絡めて、放火という重大な犯罪に"政治的大義"を認め、放免したに等しい。靖国神社には何をしても許されると言ったも同然ではないか。

 同種の犯罪を誘発しないかと危惧せざるを得ない。

 日本と韓国の間に過去認識を巡って大きな溝が存在するのはまぎれもない事実だ。だが、放火という犯罪に政治的な意味合いを持たせるのは明らかにおかしい。

 歴史問題に絡んだ韓国の司法当局の判断は他にもある。

 一昨年8月に憲法裁判所は、韓国政府が元慰安婦の賠償請求権について解決に努力しないのは憲法違反にあたると判断した。

 昨年5月には最高裁が、第2次大戦中に日本企業に徴用された韓国人元労働者の個人の賠償請求権は有効とする判断を示した。

 請求権問題は国交正常化の際の協定で「完全かつ最終的に」解決されている。その立場を、日本政府は今後も堅持すべきである。』


☆5日付「朝鮮日報」
『日本は靖国放火犯引き渡し拒否の意図を読み取れ』の社説

『靖国神社に放火した容疑で日本から引き渡しを求められた中国籍の劉強・元受刑者について、韓国の裁判所はこれを拒否する決定を下し、劉・元受刑者は4日に中国へ帰国した。今回の裁判所の決定について中国政府は歓迎の意を示したが、日本の安倍晋三首相は遺憾の意を表明し「強く抗議したい」などと発言した。

 今回の決定は、大韓民国司法の独自の判断に基づくものだ。韓国が日本の裁判所の判断を尊重するように、日本も韓国の判断を尊重すべきなのは言うまでもない。もちろん、中国と日本の双方が互いに引き渡しを求めた劉・元受刑者の事案は、3カ国の歴史問題が絡む微妙な問題だということは間違いない。しかしだからこそ、各国の指導者は法的な手続きに沿って粛々と処理すべきであり、それが国家間の無用な摩擦を避ける懸命な方法だということを忘れてはならない。

 2011年12月、靖国神社に火炎瓶を投げつけ、昨年1月にもソウルの在韓日本大使館に火炎瓶を投げつけたとして身柄を拘束された劉・元受刑者は、その後韓国で懲役10月の刑を宣告され服役していた。中国籍を持つ劉・元受刑者の祖父は抗日闘争中に戦死、韓国人である外祖母は日帝強占期に日本軍の慰安婦となり、中学校教師だった母方の曽祖父は生徒に韓国語を教えたとして、拷問を受け死亡したという。日本は犯罪人引き渡し条約を理由に劉・元受刑者の引き渡しを求めたが、劉・元受刑者は裁判で家族が受けてきた苦しみについて語り「軍国主義に戻ろうとする日本に警告がしたかった」と主張。裁判長も「劉・元受刑者の犯行と政治的目的には関連性がある」と判断した。韓日犯罪人引き渡し条約は、その犯罪が政治的問題に由来し、引き渡し後に犯罪人が政治的迫害を受けることが予想される場合、引き渡しを拒否できることになっている。

 日本の一部政治家の間からは「放火犯が政治犯か」「韓国は中国の圧力に屈した」などと韓国政府や裁判所を非難する声が相次いでいる。しかし大韓民国の裁判所は「劉・元受刑者の認識と見解は大韓民国憲法の理念や国際機関、大多数の文明国が目指す普遍的価値と一致している」との判断を下した。劉・元受刑者の行動を単なる放火と見なす日本人は、裁判所がこのような判断を下した背景について、まずは考えなければならない。

 日本は1995年の「村山談話」で政府として植民地支配を謝罪しており、また93年の「河野談話」では従軍慰安婦に対する強制動員への介入を認めている。ところが日本の政界では最近、両談話を否定する発言が相次いでおり、安倍首相は両談話の見直しも示唆している。日本が劉・元受刑者を単なる放火犯と見なし、犯罪人引き渡し条約を盾にしようとすればするほど、軍国主義時代の日本による反文明的な罪状が浮き彫りになるだけだ。』


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読み比べてみて、どうお感じになったでしょうか。

さて、今回はこの他にもう一つ。
こちらは社説ではありませんが、昨年8月に同じ朝鮮日報紙に掲載されたコラムをご紹介します。


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☆2012年8月19日付?「朝鮮日報」
『日本に厳しい韓国、なぜ中国には弱腰なのか』のコラム。

『4年前、北京五輪の聖火リレーの際、ソウル市内は大混乱に陥った。中国によるチベット弾圧と脱北者送還に抗議するデモ隊に向かって、韓国に住む中国人は集団暴力に及んだ。約6500人の中国人や投石にとどまらず、鉄パイプや金属切断機を暴力に及び、ホテルロビーに乱入し、警察官にけがまでさせた。

  当時、北京五輪をきっかけとして反中デモが起きたのはソウルだけではない。サンフランシスコ、ロンドン、パリ、ベルリンなど聖火リレーのルートのあちこちでチベット弾圧に抗議するデモが行われた。しかし、中国人が集団暴力に出たのはソウルだけだった。首都のど真ん中で外国人によって公権力が無力化されるという前代未聞の事件だった。

  治安主権が脅かされるという初の事態を受け、韓国政府は首相が厳正な対応を約束した。徹底した現場検証で暴力関与者を割り出し、強制送還させると公言した。しかし、その後の北京五輪の盛り上がりに埋もれ、事件への関心は薄れていった。それでも暴力への関与者が韓国の法律に従い、応分の代償を支払ったことを疑う人はいなかった。

  実際はどうだったのか。事件から4年たち、確認したところ、確信は裏切られた。騒動を起こした中国人のうち、実刑はおろか、何らかの処罰を受けた人はゼロだった。強制送還もなかった。韓国国民に精神的なダメージを与えた事件だったにもかかわらず、何事もなかったかのようにうやむやになった。

  韓国政府は最初から尻込みしたわけではなかった。事件直後、警察は現場で撮影した動画映像に基づき、中国人2人の身元を特定して立件した。このうち、罪状が重い留学生のJ氏(当時20)については、逮捕状も請求した。しかし、逮捕状は「本人が反省している」という理由で裁判所に請求が却下された。警察が動いたと言えるのはここまでだった。

当時の動画を見ると、暴力に加わった中国人は少なくとも数十人いる。しかし、警察はうち2人を捕まえただけで、それ以上容疑者を摘発しようとしなかった。立件した2人についても、処理を引き伸ばし、時間を稼ごうとするのが見て取れた。2カ月後に世論が収まると、警察はひそかに事件に終止符を打った。不起訴決定が出て、容疑者は「免罪符」を得た格好となった。

  当時事件を担当した警察、検察関係者は例外なく「外交的配慮があった」と振り返った。中国を刺激しまいとする外交サイドの求めに従ったというのだ。政府だけを責めるわけにはいかない。最後まで監視すべきだったマスコミ、政界、市民団体も初め沸き立っただけで、すぐに事件を忘れてしまった。警察が暴力行為に及んだ2人を不起訴にしたという報道は全くなかった。それを問題視する政治家や市民運動家もいなかった。

  警察関係者は「司法処理は行わなかったが、問題の中国人を出国させたと聞いている」と語った。しかし、それも確認の結果、事実とは異なった。逮捕状を請求された留学生J氏は現在も地方のS大学に通っている。韓国人と韓国の警察官を暴行した外国人が何の制裁も受けずに、そのまま放免してしまったことになる。

  政府としては、韓中友好のために大局的な判断を下したと考えているはずだ。しかし、主権国家としての最低限の自尊心まで捨てる韓国の様子を見て、中国はさらに我々を軽視したようだ。最近、脱北者問題に取り組む人権活動家、金永煥(キム・ヨンファン)さんが中国公安当局による拷問を受けた事件は、中国が韓国を見下していることも背景にある。

  韓国の国民性は熱しやすく冷めやすいと言われる。全国が興奮した金永煥さん拷問事件も1カ月もたたずに忘れ去られようとしている。日本には厳しい我々はなぜ中国にそれほどまでも弱いのか。』


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同じ朝鮮日報紙というのが、興味深いです。

「様々な視点からの記事を載せる媒体」という見方もできますし、「数ヶ月前に載せた記事を忘れてしまう媒体」という見方もできるかもしれません。

それにしてもコラムの表題どおり、日本に厳しい韓国が、なぜ中国には弱腰なのでしょう。


それでは、また。
あなたに素敵なことがいっぱいありますよう...。


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