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産経紙と韓国紙から見る「安倍談話」懇談会

2015年2月27日(金)14時現在の各紙サイトより

国内主要紙一面トップ記事、及び社説・主張

*一部記事が有料なものや、無料会員登録が必要なものもあります。

【朝日新聞】
「朝刊一面トップ」
『環境相側に寄付140万円 2013年、補助金交付の企業 規正法違反の可能性』
「社説」
『衆院選挙制度 アダムズと「朝三暮四」』
『ドローン ルールと法の整備急げ』

【産経新聞】
「朝刊一面トップ」
『生体認証 混雑・テロに威力 「顔パス」五輪に安心運ぶ』
「主張」
『戦後70年談話 未来志向の発信が大切だ』
『年金抑制見送り 改革への腰が定まらない』

【東京新聞】
「朝刊一面トップ」
『セクハラ発言「処分妥当」 最高裁「管理職が不適切」』
「社説」
『言葉のセクハラ 男の"甘え"は通じない』
『統一地方選 女性議員を増やしたい』

【日経新聞】
「朝刊一面トップ」
『ヤマハ発、欧州で四輪車事業 19年めど工場』
「社説」
『中国と対話を深め独禁政策に透明性を』
『遺族も納得の医療事故調に』

【毎日新聞】
「朝刊一面トップ」
『船舶検査 活動範囲を拡大 自民は強制・武器使用容認主張』
「社説」
『70年談話の論点 教訓をあいまいにせず』
『汚染土搬入容認 地元決断復興に生かせ』

【読売新聞】
「朝刊一面トップ」
『言葉のセクハラ懲戒妥当 最高裁 企業の厳格対応支持』
「社説」
『年金制度改革案 将来世代守る視点を忘れるな』
『言葉のセクハラ 厳格な処分を支持した最高裁』


きょうの注目記事

前回、戦後70年の「安倍談話」懇談会について、産経紙以外の各紙社説を紹介
しました。

本日、その産経紙が主張を載せています。
また、毎日紙が新たに、そして韓国の「朝鮮日報」がこの件について主張を
掲載しています。

それぞれの主張を見てみたいと思います。


【「産経新聞」『戦後70年談話 未来志向の発信が大切だ』

『戦後70年談話に向けた有識者会議が発足し、安倍晋三首相は「これからの
日本がどのような国を目指すのか考えていきたい」と、未来志向の談話を出す
考えを示した。』

『談話を構想するにあたり、有識者から意見を聞くのは順当な手法といえよう。
談話はあくまでも首相の責任で作成されるが、示唆に富んだ論点が提示される
ことが期待される。』

『留意すべきは、政府が特定の歴史観を打ち出すような談話は望ましくないと
いうことだ。』

『戦後50年の村山富市首相談話は、過去の「侵略」や「植民地支配」を
一方的に謝罪した。その弊害が極めて大きかったことを、忘れてはなるまい。』

『村山談話は日本が「過去の一時期」に国策を誤ったと断罪したものの、時期
は特定しなかった。閣僚への十分な説明がなく、「終戦の日」に唐突に閣議へ
提出されるなどその内容、手順ともに問題があった。』

『にもかかわらず、村山談話に反する言動をしたと見なされた閣僚や政府関係者
は強い批判を受けてきた。こうした日本国内の情勢から、中国や韓国は「歴史
問題」が日本に対する効果的な外交カードになるとみて利用してきた。』

『与野党には、村山談話にある「侵略」や「植民地支配」をキーワードと断じ、
70年談話に書き込むことが重要だとの意見がある。だが、その表現にこだ
わりすぎれば、中韓の歴史戦、宣伝戦にからめとられかねない。』

『歴史にはさまざまな見方があることを無視する態度はおかしいし、特定の
見方が入り込む懸念がある。西室泰三座長が初会合後、「キーワードを談話に
入れろと指示するつもりは全くない」と語ったのは当然である。』

『むしろ、戦後に日本が果たしてきた役割、未来へ向かう道筋をうたうこと
こそ、建設的な談話に必要な要素といえよう。』

『若い世代を含め、自虐的な歴史観を迫られ、国民が萎縮するような内容の
談話が、いつまでも受け継がれるべきではない。』

『首相は「中韓をはじめとするアジアの国々との和解」を論点の一つに挙げた。
反日に傾く中韓に限らず、アジアの多くの国と築いた関係にも目を向けてほしい。』


【「毎日新聞」『70年談話の論点 教訓をあいまいにせず』

『安倍晋三首相が戦後70年の首相談話に盛り込もうと考えているテーマの
輪郭が見えてきた。有識者会議(21世紀構想懇談会)の初会合で示された
5項目の論点がそれである。』

『第1に「20世紀の経験からくむべき教訓は何か」。第2、第3は、その
教訓を踏まえて「戦後日本の歩みをどう評価するか」「戦後日本が欧米やアジア
の国々とどのような和解の道を歩んできたか」。』

『そして第4は「21世紀のビジョンをどう描き、日本がどのような貢献を
すべきか」。最後に「戦後70周年にあたって日本が取るべき具体的施策とは」
という構成だ。』

『敗戦までと、戦後の70年間にたどった日本の歩みを総括したうえで、未来
志向に力点を置く談話にしたいという首相の狙いがうかがえる。』

『注意したいのは、最初に挙げられた「20世紀の教訓」という論点のくくり
方だ。』

『20世紀は戦争の世紀だった。2度にわたる世界大戦は、局地戦が主体だった
それまでの戦争とは異なり、国家間の総力戦となった。加えて兵器の近代化に
より、おびただしい数の戦死者を出した。』

『その背景には、19世紀に本格化した列強の帝国主義政策がある。世界規模
で始まった植民地の拡張競争に、日本など後発の帝国主義国が参入し、軍事
衝突に発展した。』

『このため、20世紀の教訓という形で論点を一般化すると、日本の朝鮮半島
支配や中国大陸への軍事侵略などが、帝国主義の一形態として相対化され、
くみ取るべき教訓が曖昧になってしまう恐れがある。』

『そもそも戦後70年談話が国内外の注目を集めるようになったのは、安倍首相が
1995年の村山富市首相談話にある「植民地支配と侵略」という歴史認識
に否定的な姿勢を見せてきたからである。』

『もしも、村山談話の核心的な表現を薄めるために、20世紀の教訓が語られる
としたら、70年談話は日本の国際的な立場を強めるどころか、無用な反発を
招き寄せてしまう。』

『安倍首相は有識者会議の初会合で「未来への土台は、過去と断絶したものでは
あり得ない」と語った。その言葉通りに過去に対する認識を揺るぎないものに
すべきである。』

『国連で中国の王毅外相は「いまだに過去の侵略の罪をごまかそうとする者が
いる」と演説した。中国が歴史を過度に政治利用し、自国の利益に結びつけ
ようとするならば、日中の関係を傷つけるだけだ。』

『日本は中国の挑発に乗ることなく、欧米や東南アジアの各国を味方につける
ような国際世論の形成に努めるべきだろう。その役割を担い得る70年談話で
あってほしい。』


【「朝鮮日報」『「安倍談話」、日本の良心を立証せよ』

『日本政府は第2次大戦終結から50年を迎えた1995年にいわゆる「村山談話」
を、60年を迎えた2005年には「小泉談話」を発表し、過去の日本の侵略に
対する反省の意思を示してきた。』

『村山談話は初めて「植民地支配と侵略」という表現を用い「痛切な反省」や
「謝罪」の意思を表明した。小泉談話もまた「植民地支配」「侵略」「痛切な
反省」といった村山談話の中心的な表現をそのまま用いた。』

『この両談話は1993年、慰安婦動員の強制性を認め謝罪した「河野談話」と
ともに、日本が過去の過ちを比較的前向きに認め、謝罪したものとして評価
された。』

『安倍首相も2006年から07年の第1時政権当時は「村山談話を継承する」と
いう意向を明らかにしていた。A級戦犯を合祀(ごうし)している靖国神社へ
の参拝も行わなかった。』

『ところが、首相を辞任した後「実は村山談話に代わる新たな談話を発表する
つもりだった」と胸の内を明かし、「(首相在任中に)靖国神社に参拝しな
かったことを最も後悔している」と発言した。そして2012年12月、首相の
座に返り咲くと、新たな談話の必要性に言及し、1年後には靖国神社への参拝
も強行した。』

『安倍首相はこの2年余りの間、歴史を否定する言動を繰り返してきた。2013年
には「侵略の定義は定まっていない」と述べた。』

『国連総会は1974年、侵略について「国家によるほかの国家の主権、領土保全
もしくは政治的独立に対する武力行使」と定義した決議を行っている。安倍首相は
このような国際的な基準にまで異を唱えたことにほかならない。』

『また昨年6月には河野談話の検証結果を発表し、慰安婦動員の強制性を認めた
のは「日韓両国政府の政治的な妥協の産物」と結論付けた。安倍首相と関係が
深い極右の政治家や論客は、戦犯の存在すら否定する発言をしている。』

『安倍首相はこれまで、村山談話や小泉談話についての考えを表明するよう
求められるたびに「全体的に継承している」と発言してきた。』

『その上で「(以前の談話で)用いた表現にこだわれば、細々とした議論に
なりかねない」とも主張した。安倍首相の周辺では「植民地支配」「侵略」
「痛切な反省」といった(以前の談話の)中心的な表現を除去すべきだという
声も相次いでいる。』

『36年間の植民地支配の結果、70年にわたって民族分断の苦痛にあえいでいる
隣国のことは少しも意識していないというわけだ。』

『日本が経済的に躍進していた1980年代までは、政府レベルでこのように謝罪
の意思を表明することはなかった。90年代に入り、河野談話や村山談話が相次
いで発表されたのは、冷戦終結後に東アジア諸国との関係を重視せざるを得なく
なったという事情が背景にあるといえる。』

『だが、中国が経済的・軍事的な急浮上、韓国の経済成長などによって東アジア
の環境が急激に変化すると、日本は再び変化を見せ始めた。安倍首相が日本を
「戦争のできる国」に変えようと東奔西走していることとも無関係ではない。』

『今年は韓日国交正常化から50年を迎える年でもある。たとえ安倍首相が新たな
談話で、以前の談話の中心的な表現をそのまま用いたとしても、韓日関係が
急に改善するのは容易ではないだろう。』

『だが、以前の談話に盛り込まれた基本精神に傷を付けたり、無視するような
ことがあれば、韓日関係は取り返しのつかない状況に陥る恐れもある。』

『村山談話は「杖(よ)るは信に如(し)くは莫(な)し(信義が一番大事)」
という言葉で結ばれている。安倍首相が新たな談話の基準に盛り込まなければ
ならないのはまさにこの部分だ。』

『日本が平和や人権、善隣友好といった国際的に通用する普遍的な基準に従い、
加害者としての歴史を率直に反省し懺悔(ざんげ)しなければ、いつか必ず
その対価を支払うことにならざるを得ない。』


前回紹介した各紙社説ではそれほど大きな差異はありませんでしたが、今回は
まさに主張が真っ二つに分かれました。

「読み比べごたえ」があります。


編集後記

本日の日経新聞一面でも取り上げていますが、ヤマハ発動機が2019年にも
欧州で四輪車を発売する方針のようです。

関係筋によると、まずは小型車需要や環境意識の高い欧州に投入する。専用
工場を建設して生産するとのこと。

車の名前は「MOTIV(モティフ)」。
13年11月の東京モーターショーで、既に公開されています。
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2人乗りで排気量1000ccのガソリン車と電気自動車の開発を進めている
そうです。

販売は欧州を皮切りに、日本、アジアでの展開も視野に検討しているとのこと。

乗ってみたいですか?

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