新聞の社説から世の中を見る【世界の新聞「101紙」の視点】

世界の新聞の社説・TOP記事をあなたに

戦後70年の「安倍談話」懇談会について

2015年2月26日(木)14時現在の各紙サイトより

国内主要紙一面トップ記事、及び社説・主張

*一部記事が有料なものや、無料会員登録が必要なものもあります。

【朝日新聞】
「朝刊一面トップ」
『安倍談話、未来志向の論点 首相、国際貢献など提示 有識者懇が初会合』
「社説」
『戦後70年談話 未来を語るのならば』
『ギリシャ支援 ユーロ安定につなげよ』

【産経新聞】
「朝刊一面トップ」
『米慰安婦像撤去訴訟 判事発言 「日本なぜ意見表明しないのか」』
「主張」
『国連70年 平和への貢献堂々と説け』
『ギリシャ支援延長 改革を着実に具体化せよ』

【東京新聞】
「朝刊一面トップ」
『汚染水漏れ1年以上前報告 規制委、対策指示せず』
「社説」
『戦後70年談話 自省の姿勢揺るぎなく』
『汚染水が海へ 全ての情報を公開せよ』

【日経新聞】
「朝刊一面トップ」
『自動運転車の技術を共通化 トヨタやホンダ、東大など』
「社説」
『内外に誤解を生まない戦後70年談話に』
『公的年金の組織改革を怠るな』

【毎日新聞】
「朝刊一面トップ」
『恒久法 武器使用を拡大、PKOと同様 政府・与党調整』
「社説」
『汚染水外洋流出 データは常時公開せよ』
『ギリシャ支援 長続きする再建策を』

【読売新聞】
「朝刊一面トップ」
『制服組と背広組、対等に 法改正へ 文民統制変わらず 防衛装備庁を創設』
「社説」
『戦後70年懇談会 21世紀の世界を構想したい』
『ギリシャ改革案 実効性のある具体策が肝心だ』


きょうの注目記事

昨日、今日と、戦後70年の「安倍談話」懇談会について、産経以外の各紙が
社説を載せています。
以下、抜粋してみます。


【「朝日新聞」『戦後70年談話 未来を語るのならば』

『戦後70年の「安倍談話」について意見を交わす有識者懇談会がきのう、
初めての会合を開いた。(中略)国内外から評価される談話づくりに向け、
バランスのとれた議論を期待したい。』

『戦後70年だからといって、必ずしも首相談話を出さねばならないわけでは
ない。それでも安倍氏は2012年に首相に再登板してから、「安倍政権と
して未来志向の談話を出したい」と繰り返してきた。』

『首相はかねて村山談話への違和感を漏らしてきた。06年に初めて首相に
就任したころから「その精神を引き継いでいく」としながらも、「国策を誤り」
「植民地支配や侵略」といった村山談話の根幹部分への評価は明確にしてこな
かった。』

『いったい何のために新しい談話を出すのか。有識者の議論が始まるにあたり、
この原点に立ち返ってみたい。』

『日本のさらなる貢献をうたうことに異論はない。だが、その基礎となるのは、
戦前の日本の行為についての明確な認識と反省である。それをあいまいにした
まま未来を語っても、説得力は生まれない。』

『全体として引き継ぐと掲げながら、植民地支配や侵略といったキーワードを
村山談話もろとも棚上げにしてしまうのが新談話の目的ならば、出すべきでは
ない。そうした意図があればすぐに見透かされ、「過去に目を閉ざす者」と
世界に受けとられるのが落ちであろう。』

『先の国連安保理の討論会で、中国の王毅外相が「真実を認めることをためらい、
過去の侵略の犯罪をごまかそうと試みる者がいる」と演説した。』

『王毅氏は演説後、「だれかに照準を合わせることはない」と述べたが、植民地
支配や侵略を否定するかのような日本政界の一部の発言を牽制(けんせい)
する意図があったのは明らかだ。』

『首相はきのう、懇談会の委員に「未来への土台は、過去と断絶したものでは
あり得ない」と語った。その通りである。』

『談話を出すならば、国連での王毅発言が的外れであることを首相自身の言葉で
はっきりとさせるべきである。』


【「東京新聞」『戦後70年談話 自省の姿勢揺るぎなく』

『戦後七十年の首相談話はどうあるべきか。安倍晋三首相は村山、小泉両首相
談話を「全体として引き継ぐ」としているが、先の大戦への反省を明確にしな
ければ、国内外で誤解を生みかねない。』

『戦後七十年の首相談話に盛り込む内容を議論する有識者懇談会の初会合が
昨夕、開かれた。いわゆる「二十一世紀構想懇談会」。首相の私的諮問機関で
ある。』

『委員は、歴史や外交・安全保障専門の学者や財界人、新聞記者、国際支援
活動に関わるNPO代表ら十六人。座長の西室泰三日本郵政社長は七十九歳で、
その人生は戦後日本の歩みと重なる。中国要人との交流も深い。』

『西室氏は国会で「戦前と戦中の苦しい時期を体験した。積み上げてきた経験は
それ以外にも広範囲なので役に立てる」と述べた。その経験を生かし、戦後
七十年の節目にふさわしい談話づくりに向けて議論をリードしてほしい。』

『談話の内容を決めるのは首相であり、答申がそのまま反映されるわけでは
ない、という。懇談会が、広く意見を聞いたというアリバイづくりに使われては
ならない。』

『首相は談話に盛り込む内容として、先の大戦への反省、戦後の平和国家と
しての歩み、今後、アジア太平洋や世界にどう貢献するかを挙げた。この骨格
は妥当だ。』

『問題は表現である。』

『植民地支配と侵略への反省とお詫びは、外交の基盤となってきた歴史認識の
根幹だ。全体として引き継ぐと言いながら、核心部分を変えることがあっては
ならない。』

『歴史修正の意図ありと受け取られれば、国益を害するだけだ。』

『戦後七十年という節目に、アジアや世界の平和と発展に貢献してきた平和
国家としての歩みと、この先もこの道を歩み続ける決意を世界に誇らしく訴え
たい。』

『負の歴史であっても、過去と誠実に向き合うことこそが、未来志向を堂々と
語る基礎となる。』


【「日経新聞」『内外に誤解を生まない戦後70年談話に』

『日本が今後、世界とどうかかわっていくのかを示す重要な文書となる。国内外
に無用なあつれきを生んでは出す意味がない。誤解を招かない談話にしなくては
ならない。』

『村山富市首相の戦後50年談話、小泉純一郎首相の戦後60年談話は過去の
反省に重きを置いた。』

『首相は持論の積極的平和主義の観点から、これからの日本がどんな国際貢献
を進めていくのかを談話に盛り込みたい考えだ。意気込みは「20世紀を振り
返り21世紀の世界秩序と日本の役割を構想するための有識者懇談会」という
会議の長い正式名称から読み取れる。』

『メンバーは首相と親しい北岡伸一国際大学長や中西輝政京大名誉教授ら保守
論客が入った一方、リベラルな考えの人も含むおおむねバランスの取れた人選
となった。』

『菅義偉官房長官は「談話を検討するにあたって意見をうかがう意味で設置
した」と述べたが、ガス抜きに終わらせず、広範な声をしっかりくみ取って
ほしい。』

『談話は首相が国を代表して出すもので、個人的な思いを吐露する場ではない。
与党の公明党と丁寧に擦り合わせるなど幅広く民意に耳を傾け、どの政権でも
通用する着地点を探るべきだ。』

『安倍談話は中韓など周辺国との関係に大きな影響を及ぼすだけではない。
戦後の世界秩序を否定する歴史修正主義者と見られれば、日米関係も損ない
かねない。』

『首相の支持基盤である保守派は「村山談話は自虐史観である」として「痛切
な反省」や「心からのお詫(わ)び」などのくだりをやり玉にあげることが
ある。過去の日本の行為を考えれば、これらの表現が行き過ぎとはいえない。』

『山口那津男公明党代表が「意味が変わるものにならないようにすべきだ」と
力説するのはもっともである。新しい表現にする場合でも、それが「痛切な」
よりも意味が強いか弱いかで激論になるような愚は避けねばならない。』

『小泉談話は国連平和維持活動(PKO)などを例示して「世界の平和と繁栄
のため物的・人的両面から積極的に貢献してきた」と強調した。過去の反省を
巡りあつれきを生まなかったから、こうした姿勢が評価されたのだろう。積極的
平和主義だけが突出した安倍談話にしないようにすべきだ。』


【「毎日新聞」『戦後70年談話 国際理解を得るために』

『政府は戦後70年の首相談話を検討する「21世紀構想懇談会」の有識者
メンバー16人を発表した。』

『座長には西室泰三日本郵政社長、座長代理には北岡伸一国際大学学長を充てる。
西室氏は「新日中友好21世紀委員会」日本側座長、北岡氏は「日中歴史共同
研究」の日本側座長などを務めた経験があり、対中関係に配慮した様子がうか
がえる。米国にパイプを持つ人材も起用された。』

『紛争地の武装解除に取り組む瀬谷ルミ子日本紛争予防センター理事長らも
入った。日本の国際貢献を念頭においた人選と見られる。』

『慰安婦問題、靖国問題などの歴史問題は、日本外交の最難関の課題になって
いる。』

『戦後一貫して安全保障や経済問題などに注力してきた政府は、歴史問題に
正面から取り組んだ経験に乏しい。(中略)文言に留意すべき談話作りにおいて
多様な背景を持つメンバーの議論は重要な意味を持つことになろう。』

『16人には戦争責任にふれた過去の首相談話を踏まえ、国際理解を得るよう
知恵を絞ってもらいたい。』

『歴史的な評価を得るのは容易ではなく、政権が代わるごとに新たな談話を
出すのは本来得策ではない。』

『新談話は有識者による議論を経ることで、作成過程が公開され、検証可能な
形になるよう努めてほしい。戦後生まれの世代は、今や約8割を占める。政府
は、8月にも出す談話を与党はもちろん幅広い支持を得る内容に仕上げなけれ
ばならない。』

『安倍首相は戦後70年談話に、先の大戦への反省、戦後の平和国家としての
歩み、今後アジア太平洋地域や世界にどのような貢献をするか-を書き込む
意向を示している。』

『一方で首相は村山談話や小泉談話を「全体として引き継ぐ」と述べるにとど
まる。今まで使った言葉の有無に着目することは「こまごまとした議論」と
いう趣旨の発言をしたこともあった。』

『だが、「植民地支配」「侵略」といった表現は歴代内閣が踏襲し、日本の
公式見解と受け止められている。こうした核となる文言は、はずすべきでは
ない。過去の反省をあいまいにしてはならない。』

『談話が首相個人の考えになっては広範な合意作りが損なわれる。「未来」を
重視するにしても、それだけでは中国、韓国はもとより欧米にも歴史修正との
誤解を招く。過去を見据えなければ未来は描けない。』


【「読売新聞」『戦後70年懇談会 21世紀の世界を構想したい』

『報告は、政府が談話の内容を検討するための参考にするものであり、談話は
あくまで首相の責任でまとめるという。』

『未来志向の談話の前提として、戦前・戦中への反省と戦後の歩みをきちんと
踏まえるのは、国際社会の理解を得るうえで重要だ。』

『アジアと世界の平和と繁栄を維持・発展させるため、日本がどのような役割
を担う覚悟があるのか。同盟国の米国をはじめ、国際社会とどう連携していく
のか。明確な理念と具体策を70年談話で打ち出すことが大切である。』

『戦後50年の村山談話や60年の小泉談話当時と比べ、日本を取り巻く国際
環境は大きく変化した。』

『中国は経済、軍事両面で台頭し、影響力を強めた。尖閣諸島や歴史認識を
めぐって日本との対立が拡大している。日韓関係も、慰安婦問題などで冷え
切っている。』

『戦後70年の今年、中国は反日宣伝を本格化させており、首相談話も歴史を
めぐる宣伝戦に組み込まれようとしている。そうした国際情勢も踏まえ、冷静
で戦略的な対応が安倍首相には求められる。』

『懇談会では、「日本は戦後70年、どのような和解の道を歩んできたか」
「20世紀の教訓を踏まえ、21世紀のアジアと世界のビジョンをどう描くか」
など、五つのテーマについて議論する予定だ。』

『初会合では、「日本と世界を切り分けずに捉えるべきだ」といった意見が
出たという。多角的な議論を展開してほしい。』

産経紙の主張が今のところありませんが、左右両派で意見が真っ二つという
ような感じはしません。

ただ、毎日紙の
『歴史的な評価を得るのは容易ではなく、政権が代わるごとに新たな談話を
出すのは本来得策ではない。』
の一節と、読売紙の
『戦後50年の村山談話や60年の小泉談話当時と比べ、日本を取り巻く国際
環境は大きく変化した。』
の一節。

及び、「過去の反省と誠実に向き合うべし」とするリベラル系新聞と、
『戦後70年の今年、中国は反日宣伝を本格化させており、首相談話も歴史を
めぐる宣伝戦に組み込まれようとしている。そうした国際情勢も踏まえ、冷静
で戦略的な対応が安倍首相には求められる。』
とする読売紙の主張あたりに、差異が感じられます。


編集後記

東京周辺は雨模様ですが、「低気圧になると体調が悪くなる」という方は
いらっしゃいますか?

私は天候が悪くなると、坐骨神経あたりが痛くなってきます。
気圧の低下によるものでしょうか。

気圧が低くなると、血流が悪くなったり自律神経に影響が及ぶなどして、
体調不良を招くと言われているようです。

今現在の私の痛み方からすると、東京周辺はこれから夜にかけて、けっこう
雨脚が強くなるように思うのですが、どうなるでしょうか。

メルマガ登録解除
バックナンバーpowered by まぐまぐ!
まぐまぐ殿堂入り
メルマガ購読
世界の新聞「101紙」の視点

読者登録規約
バックナンバー
powered by まぐまぐ!
サイト内検索
カレンダー
最近のブログ記事
カテゴリー
月毎アーカイブ
ホームページ作成 大阪

このページのトップへ