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日本人技術者の壮絶な自死

2015年3月31日(火)14時現在の各紙サイトより

国内主要紙一面トップ記事、及び社説・主張

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【朝日新聞】
「朝刊一面トップ」
『沖縄知事、国の姿勢批判 辺野古作業停止、農水相認めず』
「社説」
『南海トラフ 地震の備え常時更新を』
『秘密の監視 国会は責任を自覚せよ』

【産経新聞】
「朝刊一面トップ」
『辺野古「停止」取り消し公算 農水相、沖縄知事の指示「無効」』
「主張」
『露の戦勝式典 首相欠席の判断は妥当だ』
『イスラエル 和平への努力を再び示せ』

【東京新聞】
「朝刊一面トップ」
『休業補償 払わず混乱 死傷事故相次ぎ作業停止 福島第一』
「社説」
『アジア投資銀 国際金融秩序の転換か』
『辺野古工事 既成事実化は許されぬ』

【日経新聞】
「朝刊一面トップ」
『介護大手、相次ぎ賃上げ 深刻な人手不足改善』
「社説」
『普天間移設を法廷で争うのは筋違いだ』
『人口減見据えた国土計画に』

【毎日新聞】
「朝刊一面トップ」
『ヤフー、検索削除新基準 いじめ被害など』
「社説」
『辺野古移設 沖縄と敵対ばかりでは』
『マイナンバー制 「何のために」を丁寧に』

【読売新聞】
「朝刊一面トップ」
『南海トラフ地震 救助、14万人を派遣 政府計画 72時間内、10県に』
「社説」
『独旅客機墜落 二重三重の安全確保策が要る』
『生活困窮者支援 早期の対応で自立を促したい』


きょうの注目記事

「新成長戦略」の一環として国を挙げて受注を支援したトルコのイズミット湾
横断橋の建設工事で、現地時間の3月21日午後、吊り橋の主ケーブルを架設
するための空中足場(キャットウオーク)が海上に落下する事故がありました。

そして、この事故の責任を感じた1人の日本人技術者が現地で自らの命を絶った
のですが、日本ではほとんど報じられていないようです。

東京外国語大が運営するサイト『日本語で読む中東メディア』から、現地
トルコ語紙の記事を見てみたいと思います。


【24日付「Zaman紙」『イズミト湾架橋工事事故、日本人技術者が自殺「責任は自分に」』】

『日本人技術者キシ・リョウイチ氏(51)が、イズミト湾に建設中の吊り橋で
生じたロープの破断の責任は自分にあるとして自殺した。』

『日本人技術者の遺体は昨日の朝、ヤロヴァにあるアルトゥノヴァ市共同墓地
で発見された。リョウイチ氏が事故は自分のミスが原因だと記した遺書を残して
いたことが明らかにされた。』

『イズミト湾架橋工事では両端を一つにつなげるパイロットロープのうちの
1つが破断したために悲惨な事故が起きた。』

『技術者であるキシ・リョウイチ氏は滞在していた社員寮に「皆、非常に努力
していた。破断の責任は私にある」という遺書を日本語で書いた後共同墓地に
行った。キシ・リョウイチ氏は道を歩いているときに手首を、墓地で喉を切り
自殺した。』

『ゲブゼ-オルハンガーズィ-イズミル高速道路計画のイズミト湾架橋工事に
おいて、両端をひとつにつなぐ、2月に張り渡され、その上に一時的な通路
(キャットウォーク)の架設が開始されていた、150メートルの高さにある
パイロットロープのうち東側のものが、去る土曜日16時頃にヤロヴァ・ヘルセキ
岬の塔から外れた。』

『事故で死亡あるいは負傷した者はいなかった。』

『普段は軽い風雨の中でも作業が行われる湾架橋工事で、事故の日は作業が
行われるために気象予報が要求された。雨とともに海では激しい波を予想する
報告が来ると、完成まで残りわずかだったキャットウォークの架設作業が行わ
れないことが決定された。』

『こうして起こりうる大惨事が回避されたことが明らかにされた。』

『事故の後イズミト湾への船の出入りが禁止された。それより前にイズミト湾
に入った船のうち数隻は積み荷を降ろし、数隻は新しい積み荷を載せ、2日間
湾の決められた地点にある停泊所で待機した。問題が取り除かれた後、昨日の
朝からイズミト湾への船の出入りが可能になった。』


【25日付「Hurriyet紙」『日本人技師の自殺を招いたトルコ製部品の「ひび割れ」』】

『建設中のイズミト湾横断橋のロープ破損が自身の責任であるとし、日本人
技師のキシ・リョウイチさんは自ら命を絶った。彼は、他の数多くの秘密も
明かさないまま、この世を旅立ってしまった。』

『キシさんは、ロープの破損原因となったトルコ国内で製造された接続部品の
ひび割れを数日前に確認し、それを理由に土曜日に来るはずだった嵐に備え
工事を中断していたといわれている。』

『キシさんが自殺する理由となった、ロープ断裂の原因の接続部品のひび割れ
の写真が公開された。接続部分の下側に向けて走ったこのひび割れは、破損
事故の数日前にすでに現場の作業員によって写真で確認されていたことが明らか
となっている。』

『また事故後に撮影された写真からは、接続部分がロープの重さに耐えきれず、
紙のように裂けて破損したことが分かる。』

『架橋工事では、破損した接続部分を含め、一部の部品がトルコ企業によって
製造されているが、キャットウォーク架設に用いられたロープは国外で製造
されたものが使用されているという。』

『亡くなった日本人技師は、一本の重さが8トン、計14本のロープで架けられる
キャットウォークの接続部分で数日前明らかになったひび割れを見て、なすすべ
がなくなったのではないかと推測されている。』

『金曜、橋の工事現場の従業員に、「明日は大きな嵐になるらしいので、工事
は中止します。現場に来るのは控えて下さい」と呼び掛けたとされている。』

『完成すればイスタンブル・イズミル間の陸路がわずか3時間半で結ばれる、
全長377キロメートルの高速道路プロジェクトの目玉であるイズミト湾横断橋
は大きな注目を集めている。』

『世界第四位の大きさとなるイズミト湾横断橋の工事現場で起きた今回の事件は、
交通海事通信省を 始め請負企業に大きな衝撃をもたらした。』

『日本人技師キシ・リョウイチさんは、総重量8トン、計14本の鋼鉄製ロープ
で吊るす「キャットウォーク」足場がかけられることによる負担がより増す、
東側のロープへつながる、ヘルセキ岬接続部にひび割れがあるのを数日前に
見つけていたといわれている。』

『写真に納められたこのひび割れが、キシさんの所属する部署に知らされて
いたかどうかはまだ分かっていない。』

『事故を受けて有識者の行った技術調査では、ひび割れの写真と事故後の現場
の写真も提出された。しかし、日本人技師がこのひび割れを知らせていれば、
より広い対応が可能であっただろうし、何より本人が恐怖やパニックで落ち
着いて作業に当たることはできなかったはずだと見られている。』

『日本人技師キシ・リョウイチさんは、ひび割れを発見したあと、海抜およそ
150メートルで働く30~50人の作業員の命をリスクから遠ざけるため、天候
不順を理由として土曜日より作業を中止している。』

『天気予報によると、土曜日の天気は雨であると報じられただけで、嵐になる
との注意は出されていなかった。しかし金曜、作業員たちに「天気予報で明日
は嵐になるそうです、塔上で作業を行う作業員を乗せる船が塔に接近できない
可能性があり、また塔上で作業するのは危険かもしれません」と呼び掛け、
現場に来ないよう求めていた。』


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当日は強風のために工事を中止していたので、人的な被害はなかったようです。

にも関わらず自ら命を絶ってしまったということは、肉体的・精神的にかなり
追い込まれていたのでしょうか。

日の丸を背負った企業戦士が、日本人にほとんど知られることなく異国で壮絶な
死を遂げた、という記事。

亡くなられた方の心情を思うと、いたたまれない気持ちになります。

ご冥福をお祈りするとともに、関係者の方々にお悔やみ申し上げます。


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今回のテーマは、【あなたはAppleユーザーですか?】です。


編集後記

iPhoneでお馴染みの、Apple社。
リンゴのロゴマークが有名ですが、記憶だけで正確に描けますか?

アメリカの大学生にテストしたところ、正解したのは85人中1人だったそうです。

ロゴを少しずつ改変させたものを見せて、その中から選ばせるテストでも、
正解者は少なかったとか。

日常的で身近なものって案外、記憶がいい加減になるものですね。

ちなみに、こちらに12種類のロゴがあります。
どれが本物か、わかりますか
apple.jpg

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