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産経新聞前ソウル支局長の帰国について

2015年4月21日(火)14時現在の各紙サイトより

国内主要紙一面トップ記事、及び社説・主張

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【朝日新聞】
「朝刊一面トップ」
『デジタル教科書、検討へ 来年度中に結論 文科省』
「社説」
『言論の府で 異論への異常な圧力』
『放送法 権力者の道具ではない』

【産経新聞】
「朝刊一面トップ」
『町村衆院議長が辞任 軽い脳梗塞 後任、大島氏選出へ』
「主張」
『人民元の国際化 金融改革の断行が前提だ』
『SS幹部拘束要請 暴力を排し正当な主張を』

【東京新聞】
「朝刊一面トップ」
『99年辺野古同意の稲嶺元知事「受け入れ前提 崩れた」 軍民共用使用期限 条件守られず』
「社説」
『辺野古基金 傍観者でいていいのか』
『安保法制考(4) 治安維持で撃ち合いも』

【日経新聞】
「朝刊一面トップ」
『安保法制、与党協議決着へ 自衛隊の後方支援 全て国会事前承認 国際貢献活動』
「社説」
『人口減を見据え多様な人材生かす社会に』
『スマホ時代の怖さを教えよう』

【毎日新聞】
「朝刊一面トップ」
『日米TPP 瀬戸際の攻防 コメ・自動車 交渉未明まで』
「社説」
『地球温暖化対策 世界に貢献する目標に』
『地中海密航事故 難民対策の強化を急げ』

【読売新聞】
「朝刊一面トップ」
『自衛隊派遣、事前承認で 自公が最終調整 恒久法「例外なし」』
「社説」
『過労死防止大綱 働く人の健康を守れる職場に』
『精神保健指定医 不正の常態化は見過ごせない』


きょうの注目記事

少し前の話題ですが、産経新聞の前ソウル支局長の出国禁止措置が解除されて
帰国した件について、産経新聞と韓国・東亜日報の主張・社説から見てみます。


【15日付「産経新聞」『前支局長帰国 重ねて起訴撤回を求める』

『産経新聞の加藤達也前ソウル支局長が帰国した。韓国法務省が前支局長に
対する出国禁止措置を解除したことを受けたものだ。出国禁止は期限の延長を
繰り返して8カ月を超え、15日に新たな期限が迫っていた。』

『措置の解除は遅きに失したが、ようやく当然の判断が行われたことになる。
前支局長に出国を禁じられる理由はなかった。重ねて韓国の検察当局に求めたい。
前支局長への起訴も撤回すべきである。』

『前支局長は、朴槿恵大統領に関するコラムをめぐり、名誉毀損(きそん)で
在宅起訴され、公判中だ。帰国後もソウル中央地裁で行われている公判に出廷
する。』

『これまでの公判でも前支局長は誠実に対応してきた。争点はコラムの公益性
の有無にあり、隠蔽(いんぺい)すべき証拠はなく、逃亡の恐れはなかった。
8カ月を超える出国禁止は、不当な措置だった。』

『そもそも報道に対し、公権力の行使で対処する起訴に正当性はあったのか。
言論の自由を憲法で保障している民主国家としては極めて異様な判断だったと
いえる。』

『外務省は3月、韓国との関係を紹介するホームページから、「基本的な価値
を共有する」との文言を削除した。』

『共有できなくなった「基本的な価値」とは「法の支配」「言論、報道の自由」
のことであり、前支局長の起訴や出国禁止でこれに疑問が生じたということ
だろう。』

『日本だけではない。』

『前支局長の問題については国際ジャーナリスト組織「国境なき記者団」や
世界の報道機関の会員組織「国際新聞編集者協会」などが抗議の声明を出し、
米紙ウォールストリート・ジャーナルやワシントン・ポストなども韓国当局の
措置を批判する記事を掲載した。』

『ソウル駐在の外国メディアでつくる「ソウル外信記者クラブ」も出国禁止の
解除を求める書簡を朴大統領に送ったばかりだった。』

『出国禁止措置の解除と同様、起訴の取り下げも、行政庁である検察当局の
判断でできる。朴大統領は、その最高責任者としても、いまだに被害感情や
処罰意思を明らかにしていない「被害者」としても、起訴の撤回に影響力を
行使できる立場にある。』

『前支局長に対する起訴の撤回により、韓国は、真に自由と民主主義の基本的
な価値を共有するグループに回帰すべきではないか。』


【16日付「東亜日報」『産経前ソウル支局長を英雄のように迎える安倍首相』

『朴槿恵(パク・クンヘ)大統領に対する名誉毀損容疑で起訴され、8ヵ月ぶり
に出国禁止措置が解除され、14日に日本に帰国した産経新聞の加藤達也・
前ソウル支局長が英雄同然の接待を受けた。』

『安倍晋三首相は15日、加藤氏と首相官邸と面会し、「ご苦労様でした。裁判
が続くようなので体に気をつけて」と激励した。』(原文ママ)

『加藤氏は、昨年8月のセウォル号沈没事故の当日、朴大統領がチョン・
ユンフェ氏と一緒にいたという疑惑を提起して2人が男女関係にあるように
表現し、在宅起訴された。』

『先月30日、ソウル中央地裁は、「記事の内容が虚偽であることが証明された」
と判断し、これに対して加藤氏は「異議を申し立てるつもりはない」とした。
しかし、加藤氏は14日、日本で「表現の問題」という主張を曲げなかった。』

『世界的な判決傾向に照らして、検察が加藤氏を有罪にすることは容易でない
という見方がある。しかし、裁判所も指摘したように、加藤氏が事実関係を
把握せずに不正確な記事を書いたことは明らかだ。』

『日本では、韓国が米国に韓日関係改善の努力を示すために今回の措置を取った
とする見方が強い。この問題が韓日関係の足かせになることは両国にとって
望ましくない。今回の措置が葛藤を克服する転機になるよう今度は日本が誠意
を見せる番だ。』


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もしも日本国内で、他国紙の支局長が安倍首相に関して『事実関係を把握せず
に不正確な記事を書いた』としたら、どうなるでしょう。

出国禁止や起訴まではしないのではないでしょうか。
国内紙の記者なら、自民党から呼び出しくらいはあるかもしれませんが。

東亜日報の結びの一文、
『今回の措置が葛藤を克服する転機になるよう今度は日本が誠意を見せる番だ』
が、興味深いです。

要するに、「帰国させてあげたんだから日本もそれ相応のお返しをしろよ」と
いうことのようです。

また、産経紙の、
『外務省は3月、韓国との関係を紹介するホームページから、「基本的な価値
を共有する」との文言を削除した。』
『共有できなくなった「基本的な価値」とは「法の支配」「言論、報道の自由」
のこと』
『韓国は、真に自由と民主主義の基本的な価値を共有するグループに回帰すべき
ではないか。』
との一節。

昨今の政府・自民党の対応を見ていると、「う~ん...」という感じもしますが。


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今回のテーマは、【産経紙ソウル前支局長の記事について】です。


編集後記

『これで世の中が見える!「主要5紙 本日の社説」』というタイトルで弊誌
を創刊して、はや10年。

その後、海外紙まで掲載するようにして、現在のメルマガ名となりました。

メルマガ名を変更した頃は、毎日コンスタントではないにしろ、延べにすると
実際に日本語で社説等を紹介することができた新聞が100紙くらいはあったの
ですが、現在は激減しました。

また、有料のものや、無料でも読者登録を必要とするサイトなども激増しました。

『世界の新聞』と銘打っておきながら、実際には日中韓の新聞がほとんどと
いう状況に、忸怩たる思いがあります。

表題を再び変更するということも考えなくもないのですが、配信スタンド
「まぐまぐ」でのタイトル変更についてはちょっとした手続きが必要なことと、
何より現在のメルマガ名で「まぐまぐ殿堂入り」しているということもあり、
そうしたことも出来かねています。

いずれにしましても、今後とも各新聞への「エントランスマガジン」として
弊誌をご愛顧いただけると幸いです。

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