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轟拳一狼さんからのメール

今日は、「轟拳一狼」さんからいただいたメールを紹介させていただきます。

轟さんのサイト「狼巣」は、私も時々拝見させていただいております。

私とは考え方が違う部分もありますが、どこか通底しているような気がします。


以下のブログ記事と併せてご覧になってみて下さい。

アフガンの瞳

のだまカンタービレ」(イチロー選手の記録についての記事)

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アフガニスタンの話です。

私はアフガニスタンには行ったことがありません。お隣のウズベキスタンには行ったことがありますが。
私は学生時代、古代中央アジア史を専攻しておりまして、現在ウズベキスタン領になっているサマルカンドが専門でした。
しかし、隣のアフガニスタン領についてももちろん興味があり、一応一通りの勉強はしました。

かつて『西遊記』というテレビドラマがありまして、そのエンディング・テーマでゴダイゴの「ガンダーラ」という曲が使われて、大ヒットしました。
その「ガンダーラ」のさびの部分では、英語で"They say, it was in India."と歌われています。
直訳すると、「インドにあると人は言う」ですが、ガンダーラはインドとはまったく違います。
ゼミでガンダーラのことを「インド文化」と発言した学生が、指導教官から強烈に怒鳴られたのを覚えております。
ガンダーラこそまさに、現在のアフガニスタンにありました。

私がこの地域の歴史を勉強していて感じたことは、結局人間の考えることは、時代が変わっても、さして変わるものではないんだなあということです。
それはいわゆる民族が変わっても、しゃべる言葉や宗教をはじめとする文化が変わっても、何も変わりはしません。
要するにこの地域は、大国の奪い合いの舞台であるという事実です。
その中で、ここに住む人々は、じっと耐えながら、暮らしを営んできました。命をつないできました。

9.11のテロで、よく「無実の人が多数殺された」ということを聞きます。事実そのことに、誰も何も異論はないのだろうと思います。
しかし私はあえて、異論を唱えてみたいと思います。あの日ワールド・トレード・センターにいて犠牲となった人々は、本当に「無実」なのだろうかと。

もちろん「自分は悪をなしている」と自覚している人は、一人もいなかったでしょう。
でもそれはビルに突っ込んだテロリストたちも同じで、彼らもそれが正義と信じて(信じ込まされて)いたわけです。
世界というのは常につながっています。いかなる文化もいかなる地域も、まったく孤立した状態で存続することはできません。
世界というのは、また文化というのは、緩やかなグラデュエーションを描きながら偏在しているわけでして、いついかなるときも、世界の裏側とでも、私たちはつながりを持っているわけです。

現在世界の富には限りがあります。だから世界中がつながっているという現実を重ね合わせると、次の事実が浮かび上がってきます。

儲ける奴がいれば、損する奴がいる。
誰かが儲ければ、その影で誰かが損している。
だから、先進国が謳歌している繁栄は、その他の地域の犠牲の基に成り立っている。

アフガニスタンをはじめ、中央アジアというと、われわれ日本人はどうしても、いわゆる「シルクロード」のイメージで、砂漠ばかりの厳しい自然の地域という先入観があります。
しかし、中国史を専攻していた妻が私と一緒にウズベキスタンを訪れて驚愕したのは、当地の大地の豊かさでした。
私にしてみれば別に不思議でもなんでもないわけですが、歴史を専攻していた妻がそうなのですから、一般の日本人にしたら、シルクロードの地に「豊かな大地」というイメージをなかなか描きづらいのかもしれません。
でも中央アジアは、豊かなんです。だから大国が目の色変えて奪い合うのです。日本なんか、これまで本格的な侵略をほとんど受けていないと威張ってますが、本気出して奪い取るだけの豊かさがその国土に認められないから、誰も侵略しなかったとも言えます。
元寇だって、相手が本気じゃなかったから撃退できたという面も絶対にあります。

そんな貧しい土地の日本がこれほどの繁栄を享受している影には、やはりその他の地域の多大なる犠牲があると見たほうがいいでしょう。
だからわれわれは、世界中の紛争に当事者であらねばならないのです。
その紛争によって争われる利権は、いったい誰のためのものなのか。
その利権から生み出される富は、結局は回りまわって先進国を潤す原資となっているのではないでしょうか。

話を元に戻しますが、ワールド・トレード・センターは、その名の通り、世界中のビジネスマン、それも選び抜かれたエリート中のエリートが集い、日夜巨大なマネーを動かし続けている場だったはずです。
びっくりしたのは、私が聞いたこともなかったような日本の小さな銀行の出先機関までが、このビルの中に入り、9.11のテロで犠牲者を出していたことです。
彼らが自分の会社、自分の国を潤すために奮闘しているという事実は、それだけ貧しい国から富をすくい上げているということではなかったかと、私は想像してみるのです。
「言いがかりだ!」と言われれば、確かにそうです。彼らにしてみれば、そんな意識は毛頭なかったでしょう。
ただ正当な経済活動をやっていたに過ぎないのでしょう。
でもアフガニスタンの一部の人、具体的にはタリバンだとかアルカイダとかにしてみれば、自分たちの犠牲の上に、彼らの経済活動と、それに基づく先進国の繁栄があると思ったとしても、あながち「はずれ」ではないように思うのです。

だからと言って、多くの尊い命を奪ったあのテロが許されるはずもありません。
でもあのテロがあったからこそ、世界中の注目がやっとアフガニスタンにむけられたという事実もあります。
こうなる前に、みんながアフガニスタンのことを当事者として考えていたら、また違ったのではないだろうかと思ったりもしますが、まあ、歴史にたらればはありませんから、こんなこと言ってもしょうがないのはわかっているのですけど。


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先日ご紹介した、「Cindy」さんからのメールと併せ読むと、とても興味深いです。


「先入観」というものはあると思います。

「アフガニスタンは砂漠ばかりの厳しい地域」
「アフリカの人たちはみんな飢えている」
など。

そして、それは遠い異国に限ったことではないと思います。

私たちが思う日本。
更には、自分自身のことについても、それは言えるのではないでしょうか。


だからこそ、できるだけ様々な視点から物事を捉えるようにしたいと思っております。


蛇足ですが、「サントリー オールド 騎馬民族編」という、4分近いCM(?)があります。
(ユーチューブより)

これは、中央アジアのどこかで撮影されたものと思っているのですが、どこの国なのでしょう。

とても素晴らしいです。

特に、後半登場する女性たちの、何と美しいこと!!

こんな素敵な眼をした女性たちが生まれ育ったところというだけでも、「当地の大地の豊かさ」が感じられます。


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