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防衛省設置法改定案について

2015年3月9日(月)15時現在の各紙サイトより

国内主要紙一面トップ記事、及び社説・主張

*一部記事が有料なものや、無料会員登録が必要なものもあります。

【朝日新聞】
「朝刊一面トップ」
『被災地、続く人口減 沿岸39市町村、9.2万人』
「社説」
『安保法制の与党協議 立ち止まって考えること』

【産経新聞】
「朝刊一面トップ」
『自民「改憲原案を作成 党大会採択 首相 安保法制に意欲』
「主張」
『自民党 政策実現には自己改革も』
『群馬大病院問題 再発防止の基本忘れるな』

【東京新聞】
「朝刊一面トップ」
『開戦回避 沈黙守る 陸軍「米英強大」詳細に分析』
「社説」
『東日本大震災四年 福島の苦しみ正面から』

【日経新聞】
「朝刊一面トップ」
『トヨタ、災害時の情報網 部品供給、復旧すばやく』
「社説」
『課題克服し与野党が政策を競う政治へ』
『石炭の功罪踏まえた議論を』

【毎日新聞】
「朝刊一面トップ」
『福島原発 20キロ圏ボランティア3万人 除染2500回 被ばく管理外』
「社説」
『苦悩続く福島 事情の違い超え支援を』

【読売新聞】
「朝刊一面トップ」
『東京五輪で地方創生 70首長連合発足 6月 特産品・観光共同PR』
「社説」
『自民党大会 1強に慢心せず改革断行せよ』
『東北の産業復興 自立支える官民連携が必要だ』


きょうの注目記事

「防衛省設置法改定案」について、見解が両極に位置すると思われる産経紙と
赤旗紙から見てみます。


【7日付「産経新聞」主張『制服組と背広組 自衛隊の力生かす運用を』

『内局官僚が自衛官に指示・監督する「文官統制」の弊害を是正する措置が、
ようやく取られることになった。』

『政府は防衛相を補佐する上で防衛省の内局(背広組)と自衛隊の各幕僚監部
(制服組)を対等に位置づける同省設置法改正案を閣議決定した。』

『自衛隊の実際の部隊運用について、制服組のトップである統合幕僚長が防衛相
を直接補佐する仕組みが整う。これまでは、部隊を動かす専門家ではない文官が、
陸海空の自衛隊の運用などに指示・承認を行うことが認められていた。』

『法改正で、自衛隊が日本の平和と国民の安全をより実効的に守れるように
なる意義は大きい。防衛出動はもとより、尖閣諸島や原発が襲われるなど、
猶予なしに訪れるグレーゾーン事態にも対応できる。実現を急いでほしい。』

『現行法(12条)は、内局の官房長、各局長の「補佐」を受ける防衛相が
陸海空の各幕に指示、承認を行うと規定している。』

『本来、文民統制は政治が軍を統制する仕組みだが、この規定は内局官僚が
自衛官に指示・監督する「文官統制」の事実上の根拠となってきた。』

『陸海空の自衛隊は、主要国の趨勢(すうせい)にならって運用を統合幕僚
監部へ一元化してきた。ただ、内局にも運用企画局という部署が存在するため、
機能が重複し、報告や計画作成の際に時間的なロスが生じることが指摘されて
いた。』

『改正案は運用企画局を廃止し、運用機能を名実共に統幕に一元化することと
した。』

『これまでの「文官統制」を評価する立場から、今回の見直しは文民統制を
弱めるとの指摘もあるが、それはおかしい。』

『有権者が選んだ政治家が、実力組織である自衛隊をコントロールし、政治が
軍事に対する優位を保つ。文民しか就けない首相や防衛相が自衛隊を指揮監督し、
国会は予算や法制面からチェックする。こうした原則は、法改正後もまったく
変わらない。』

『内局の文官も自衛隊員であり、文民統制の対象である。』

『政治家自身が軍事の問題を遠ざけ、「文官統制」に任せておけば事足れり、
としてきたきらいもある。国会で統幕から自衛隊の運用などについて直接、
説明を受け、真の文民統制を確保するための知見を磨くべきだ。』


【8日付「赤旗」『「文官統制」の廃止 歴史に背く戦争体制づくりだ』

『軍部に強大な権限を持たせ、暴走を許した戦前・戦中の反省から生まれた
シビリアンコントロール(文民統制)を掘り崩す重大な法案です。集団的自衛権
行使容認の「閣議決定」の下で進む「海外で戦争する国」づくりの危険な動き
の一環でもあります。』

『現行の防衛省設置法12条は、防衛相が制服組トップの統合幕僚長や陸海空
各幕僚長に指示や承認をしたり、陸海空自衛隊や統合幕僚監部の監督をしたり
する際、背広組幹部の官房長と局長が防衛相を補佐するとしています。これは
1954年の防衛庁・自衛隊発足時からある規定で、「文官統制」の仕組みの
一つとされてきました。』

『改定案は、「文官優位」の根拠とされてきた現行法12条の規定を変え、
官房長と局長は統合幕僚長や陸海空各幕僚長と同等の立場で防衛相を補佐する
としました。』

『また、自衛隊の運用を担当する内局の運用企画局も廃止し、統合幕僚監部に
一元化します。部隊の作戦行動などの問題について「文官統制」の枠を外し、
各幕僚長が直接、防衛相を補佐することになります。』

『中谷元・防衛相は、「文官統制」について「私は(同規定ができた)その後
生まれたわけで、当時どういう趣旨(で作られた)かどうかは分からない」と
述べつつ、軍部の独走という過去の反省から生まれたとは「思わない」と断言
しています(2月27日)。これほど無責任な発言はありません。』

『「文官統制」の規定が戦前・戦中の教訓から生まれたことは、これまでの
政府統一見解や国会答弁からも明らかです。』

『シビリアンコントロールに関する政府統一見解(65年)は「旧憲法下に
おいて、いわゆる(陸海軍の)統帥権が独立し、軍の作戦用兵に関する事項が
天皇大権に属する」など「軍に関する事項について、内閣の統制の及び得ない
範囲が広かった」ことが「不当に国政に影響を与えた」と指摘しています。』

『その上で、現在の自衛隊は「旧軍の時代の体制と全く異なり、...政治優先
ないし文民統制の原則の下にある」とし、これを保障する体制として現行法
12条の規定と同じ仕組みを挙げています。』

『54年の防衛庁設置法を改進党(当時)代表としてまとめた中曽根康弘氏も
防衛庁長官時代、「軍事と政治がばらばらになったのが大東亜戦争の悲劇」
などと述べ、シビリアンコントロールでは「いろいろ部隊、各幕に対して指示
を与えるときも内局が審査」するなど「内局を通してやるというシステム」が
「非常に大事な要素だ」と述べています(70年4月15日、衆院内閣委員会)。』

『中谷防衛相は、今回の改定でシビリアンコントロールは「より強化される」
とうそぶきましたが、制服組の影響力が逆に増大するのは明白です。』

『中谷氏が明言しているように、狙いは自衛隊の作戦行動の「迅速性」(2月
24日)を高めるためであり、海外派兵などへの即応体制の強化です。自衛隊
を「海外で戦争する軍隊」にする体制づくりは許されません。』


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『今回の見直しは文民統制を弱めるとの指摘もあるが、それはおかしい』
とする産経紙と、『「文官統制」の廃止』とする赤旗紙。

法改正は、
『自衛隊が日本の平和と国民の安全をより実効的に守れるように』(産経紙)
するためのものなのか、
『海外派兵などへの即応体制の強化』と『自衛隊を「海外で戦争する軍隊」に
する体制づくり』(赤旗紙)
のためのものなのか。

意見が分かれています。


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今回のテーマは、【「防衛省設置法改定案」について】です。


編集後記

先日「きょうの注目記事」コーナーで紹介した「中小型原発」について、
小林さんという方からメールをいただきました。
(本のリンク部分以外、原文ママ)


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韓国の原子力関連技術はまったく信用できませんが、
日本の超小型原子炉は既に実用化のレベルに達しており、
IAEAのお墨付きもあるようです。それが何故話題にならないのか。
日本海側のメタンハイドレートと同じく、日本の産学官の面子が
邪魔をしているようなです。困ったことです。
ODA予算でもつぎ込んで、貧しい国々にプレゼントすることは
日本の国益にもなると思うのですが。

下記の本が参考になります。


大下英治 著
「超小型原子炉」なら日本も世界も救われる!
ヒカルランド 発行 


尚、ビル・ゲイツの会社も東芝と協力して
小型原発を開発しています。

以上、ご参考までに


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小林さん。
メールいただき、ありがとうございました!
とても参考になりました。

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