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辺野古移設は停止すべきか

2015年3月26日(木)14時現在の各紙サイトより

国内主要紙一面トップ記事、及び社説・主張

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【朝日新聞】
「朝刊一面トップ」
『不当解雇、金銭で解決 政府、導入検討へ 改革会議提言』
「社説」
『統一地方選 「消滅危機」をはね返せ』
『踏切事故 渡る人の視点で考えよ』

【産経新聞】
「朝刊一面トップ」
『敦賀・東通に「活断層」 「時間無駄」一方的打ち切りも』
「主張」
『首相米議会演説 戦後70年の歩み堂々語れ』
『エアバス墜落 不安払拭のため究明急げ』

【東京新聞】
「朝刊一面トップ」
『昨年衆院選「違憲」 一票の不平等訴訟で福岡高裁』
「社説」
『きょうから統一地方選 地域の英知集めたい』

【日経新聞】
「朝刊一面トップ」
『ハイブリッド車5割に トヨタ、国内販売増』
「社説」
『人口減踏まえた活性化策を競う地方選に』
『食品の機能性表示どう生かす』

【毎日新聞】
「朝刊一面トップ」
『昨年衆院選は「違憲」 「0増5減」不十分』
「社説」
『「1票の格差」違憲 国会の怠慢は許されぬ』
『統一地方選 地域の将来が問われる』

【読売新聞】
「朝刊一面トップ」
『「音声記録 取り出し成功」 独旅客機墜落 仏政府、解析へ』
「社説」
『アジア投資銀 中国の支配力が強すぎないか』
『再生エネ負担増 買い取り制の欠陥を改めよ』


きょうの注目記事

沖縄県の翁長知事が、防衛省沖縄防衛局に対して辺野古沿岸部での海底作業の
停止を指示しました。

産経・東京・毎日・読売各紙の主張・社説を見てみます。


【24日付「産経新聞」『辺野古移設 知事は停止指示の撤回を』

『米軍普天間飛行場の辺野古移設に反対する沖縄県の翁長雄志知事が、防衛省
沖縄防衛局に対して辺野古沿岸部での海底作業の停止を指示した。』

『従わなければ、1週間後には移設工事に伴う岩礁破砕許可を取り消すともいう。』

『この対応には問題があると指摘せざるを得ない。政府側は、知事の指示を
受け入れないことを表明した。作業は粛々と進めるべきだ。』

『辺野古移設が頓挫すれば、住宅密集地にある普天間飛行場の危険性を取り
除くという県民の願いはかなわない。今回の指示はそうした結果を招きかね
ないものだ。知事は撤回してほしい。』

『いったん認可した事業のどこが問題なのか。仲井真弘多前知事時代、県は
政府との交渉で、埋め立て予定区域に隣接する臨時制限区域に、コンクリート
ブロックを投下することに問題はないとの立場を示していたという。』

『知事交代で県が許認可の判断を百八十度変えるには、それ相当の理由が必要
である。知事の主張に十分な根拠があるとはいえず、停止の指示は、行政の
継続性からみても疑問である。』

『また、普天間飛行場の危険性除去について、知事には周辺住民の安全な暮らし
を守る大きな責務がある。辺野古移設をめぐる混乱をいたずらに拡大するような
手法は避けるべきだ。』

『沖縄の島である尖閣諸島(同県石垣市)をはじめ南西諸島の安全は、中国の
軍事的台頭により脅かされている。沖縄はいや応なくその最前線になっている。』

『辺野古移設は、日米同盟の抑止力維持の観点から、沖縄県民を含む国民全体
の利益となることを理解してほしい。』

『混乱を回避する責任は、知事や県側だけでなく、政府にもあることも指摘
しておきたい。』

『国にこそ、安全保障を確かなものとする責任がある。辺野古移設に対する
沖縄の理解を広げていく不断の努力が必要である。』

『安倍晋三政権が移設工事に着手したことは評価できるが、首相や菅官房長官ら
と知事との会談が実現しないなど意思疎通を欠いている。沖縄への説得を強め
られるよう状況を改めることも急務だ。』


【24日付「東京新聞」『辺野古基地調査 県に従い作業停止を』

『それでも安倍内閣は、米軍基地の新設に向けて作業を強行するのか。沖縄県
の許可区域外で岩礁を破壊した可能性が高いという。翁長雄志知事の指示に
従い、海上作業をいったん停止すべきだ。』

『安倍内閣が名護市辺野古のキャンプ・シュワブ沿岸部で進めている米軍基地
新設に向けた作業は、あまりにも乱暴ではないのか。』

『菅氏は常々「法令に基づいて粛々と対応する」と述べているが、県の指示も
法律や県の規則にのっとった法的手続きだ。安倍内閣が日本は法治国家だと
自負するのなら、まず県の指示に従い、作業を停止させるべきではないか。』

『安倍内閣が辺野古での作業を進める根拠としているのは、公約に反して米軍
普天間飛行場の県内移設容認に転じた仲井真弘多前知事による埋め立て許可で
ある。』

『しかし、仲井真氏は昨年十一月の県知事選で、県内移設反対を掲げた翁長氏
に敗れた。前回当選時の公約を破った仲井真氏に、県民は厳しい審判を突き
付けたのだ。』

『続く十二月の衆院選でも、沖縄県内の全四小選挙区で県内移設を掲げる自民党
候補は敗北した。』

『にもかかわらず、安倍内閣は県内移設を拒む沖縄県民の民意に向き合おうと
せず、翁長氏と政権首脳との面会も拒み続けている。抗議活動中の市民を逮捕、
排除してまで作業を進めようとする。そんな法治国家がどこにあるのか。』

『翁長氏が会見で指摘したように県民の理解を得ようとする政府の姿勢は
「大変不十分」である。まずは安倍晋三首相の方から沖縄県民に歩み寄るべきだ。』

『在日米軍基地の約74%が沖縄県に集中する現状は異常だ。普天間飛行場
返還のためとはいえ、その負担を同じ県民に押し付けていいわけがない。基地
負担を極力減らし、日本国民が可能な限り等しく分かち合うために力を尽くす。
それが政治の仕事のはずである。』


【24日付「毎日新聞」『沖縄の対抗措置 政府は追い詰めるな』

『政府は直ちに作業を停止し、県との話し合いに応じるべきだ。』

『昨秋の知事選で、移設に反対する翁長知事が誕生して以来、政府と沖縄の
亀裂は深まるばかりだ。今回も両者の主張は完全にすれ違う。』

『県は前知事時代の昨年8月、辺野古の埋め立て区域内で、海底の岩石を砕いて
土砂を採取する岩礁破砕許可を防衛局に出した。しかし今年に入り、(中略)
防衛局が立ち入り制限区域を示すブイ(浮標)などの重り用にコンクリート製
ブロックを海に沈めたところ、県の岩礁破砕許可の区域外でブロックがサンゴ礁
を押しつぶしているのが見つかった。』

『一方、政府は昨年、破砕許可を得る過程で、ブイや重りの設置について県に
問い合わせたが、手続きは不要だという回答を受けた。』

『だが、政府の一連の行政手続きの前提となっている前知事の辺野古埋め立て
承認は、昨秋の知事選で県民から信任を得られなかった。』

『県から見れば、重りの設置手続きが不要という昨年の回答は、サンゴ礁を
傷つけるほど大型のブロックを想定していなかったためだ。許可区域外で
サンゴ礁の破壊が明らかになった以上、防衛局は許可を取り直すべきだという
ことになる。』

『県の岩礁破砕許可は、県漁業調整規則に基づき「公益上の理由により別途
指示する場合は従うこと」「条件に違反した場合は許可を取り消すことがある」
と規定している。県はこれに従って、許可の取り消しを検討すると説明している。』

『政府が手続き上の問題はないというのは、一つ一つの行為だけを取り上げ
ればそういう理屈も成り立つのかもしれない。だが、問題がここに至ったのは、
政府が沖縄との対話の扉を閉ざしたまま、一方的に移設作業を進めてきたこと
が背景にある。』

『政府が今のやり方を進めていっても、その先には何の展望も見いだせない。
沖縄の理解と納得がないまま、将来、仮に辺野古に代替施設が完成したと
しても、それは日米安保体制の強化につながるだろうか。』

『むしろ、いつ暴発するともわからない県民感情を抱えて、同盟は不安定化
しかねない。これ以上、沖縄を追い詰め、感情的な対立を深めれば、問題解決
は遠のくばかりだ。』


【25日付「読売新聞」『辺野古移設作業 冷静さを欠く知事の停止指示』

『必要な法的手続きに問題がない以上、政府は、米軍普天間飛行場の移設作業
を計画通りに進めることが重要である。』

『沖縄県の翁長雄志知事が、移設先の名護市辺野古沿岸部での移設作業を停止
するよう防衛省に文書で指示した。応じない場合は、昨年8月の県の岩礁破砕
許可を取り消すという。』

『工事に必要な許可を取り消し、移設を阻むのが狙いだろう。だが、この対応は、
あまりに一方的であり、疑問である。』

『防衛省は、県に事前確認し、昨年6月、アンカー設置に県の許可は不要との
回答を受けている。』

『さらに県は、那覇空港第2滑走路建設工事でも、今回と同様なアンカー設置
について、許可は要らないとの立場を示している。』

『行政には継続性と公平性が求められる。「県と十分に調整したうえで作業を
実施している」という政府の主張は、理解できる。』

『菅官房長官が、知事の指示について「違法性が重大かつ明白で、無効だ。
作業を中断する理由にはならない」と述べ、作業を続ける方針を示したのは
妥当である。』

『防衛省は、県への対抗措置として、関連法を所管する林農相に、県の指示に
対する行政不服審査請求と執行停止を申し立てた。』

『県が停止指示の根拠とする県漁業調整規則は水産資源保護法に基づいており、
農相は、県に指示の是正を促す権限があるためだ。』

『林農相は、一連の経過を客観的に検証したうえで、適切な判断を下してもら
いたい。』

『住宅密集地にある米軍普天間飛行場の辺野古移設は、住民の基地負担軽減と
米軍の抑止力維持を両立する最も現実的な方策だ。』

『移設が遅れれば、飛行場の危険な現状の長期化に加え、在沖縄海兵隊のグアム
移転など他の基地負担軽減策の実現も危うくなる。』

『1996年の普天間飛行場返還の日米合意が、様々な曲折を経て、ようやく
実現のメドが立った今、再び移設問題を迷走させる事態はあってはなるまい。』

『政府は、地元関係者の理解を広げる努力を根気よく続けながら、決してぶれる
ことなく、移設を進めていく必要がある。』

『翁長知事は、辺野古移設を阻止するため、法廷闘争も辞さない構えを見せて
いる。政治的パフォーマンスに走らず、冷静に政府との接点を探るべきでは
ないか。』


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産経紙と読売紙は工事を進めるべき、東京紙と毎日紙は停止すべきという主張
です。

『1996年の普天間飛行場返還の日米合意が、様々な曲折を経て、ようやく
実現のメドが立った今、再び移設問題を迷走させる事態はあってはなるまい。』
と、読売紙にあります。

"宇宙人宰相"の「最低でも県外」発言が余計だったと言う人もいるでしょう。
或いは逆に、あの発言で問題が顕在化されたという人もいるかもしれません。

いっそのこと米軍基地も原発も、東京湾に造ったらどうなんでしょうね。


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今回のテーマは、【辺野古移設について】です。


編集後記

昨日、Twitterで下記のツイートをしたのですが、それを宋文洲さんに
リツイートしていただいたことがきっかけとなり、けっこう拡散されて様々な
反響がありました。

「AIIBについての産経新聞主張は『肝心なのは日米の緊密な結束である』
との一文で結ばれている。産経紙のあらゆる主張の基盤が、この一文に集約
されているように感じる。」

この一文だけを見て、私を反米・親中と思った人もいるようですが、私は決して
日米同盟を否定するものではありません。

理想的な状態だとは思いませんが、少なくとも今現在は現実問題として、
アメリカと手を結んでおく必要があるものと思います。

ただ、産経紙には時として「日本国民よりもアメリカのほうが大事なのか?」
と思えてしまうことが、私個人としてはあります。

7年ほど前になりますが、弊誌でこんなことを書きました。

『クラスター爆弾についての、産経新聞の価値観』

「日本の海岸線や離島に住んでいる人たちよりも、アメリカがクラスター爆弾を
保持し続けることのほうが大事なのか?」とも読むことができる内容だと感じ
ました。

日米同盟のためなら、海岸線や離島、そして沖縄に住む人たちは涙を飲んで
くれということなのでしょうか。

まあ、あまりに危機感に乏しい、具体的な代替案のない理想論ばかりを主張
するメディアもいかがなものかと思いますが。

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