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安倍首相の施政方針演説について


2015年2月13日(金)14時現在の各紙サイトより


国内主要紙一面トップ記事、及び社説・主張


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【朝日新聞】
「朝刊一面トップ」
ウクライナ停戦合意 15日から 4首脳、徹夜で決着 親ロ派も署名』
「社説」
『ウクライナ 停戦の実現が最優先だ』
『施政方針演説 「戦後以来」の行き先は』

【産経新聞】
「朝刊一面トップ」
『首相施政方針演説 成長戦略・経済成長を重視 「戦後以来の大改革」着々』
「主張」
『施政方針演説 改革断行の実を語る時だ 勇気もち「痛み」に理解求めよ』

【東京新聞】
「朝刊一面トップ」
『高浜3・4号機 意見公募 答えず「適合」』
「社説」
『高浜・審査適合 「地元」とはどこなのか』
『施政方針演説 安保、憲法語らぬ不実』

【日経新聞】
「朝刊一面トップ」
『車・通信の「稼ぐ力」でけん引 日経平均高値』
「社説」
『有権者に痛みの分かち合いを説くときだ』
『社会全体で高齢者虐待防ごう』

【毎日新聞】
「朝刊一面トップ」
『ウクライナ停戦合意 親露派の自治拡大』
「社説」
『施政方針演説 首相こそ合意の努力を』
『高浜住民説明会 行政の都合で見送るな』

【読売新聞】
「朝刊一面トップ」
『ウクライナ15日から停戦 4首脳合意 重火器を撤収』
「社説」
『施政方針演説 「大改革」の成果が問われる』
『対「イスラム国」 オバマ氏は地上戦に道開くか』


きょうの一言

施政方針演説について、各紙が社説・主張を掲載しています。
各紙の考え方が表れていると思われている部分を抜粋しました。
主要紙の他、赤旗からも見てみます。


【「朝日新聞」『施政方針演説 「戦後以来」の行き先は』

『かつて「戦後レジームからの脱却」と繰り返していた首相が唱え始めた
「戦後以来の大改革」。きのうの演説を聴く限りでは、その最終的な狙いに
ついては不透明なままだ。』

『戦後社会で形づくられてきた様々な制度を、時代や環境の変化に応じて改めて
いくのは当然の姿勢だ。そのために、指導者には決断力や突破力といったある
種の「力」が求められるのも理解できる。』

『だとしても、改革には熟慮や合意形成への努力もまた欠かせない。きのうの
演説で気になったのは、「国会に求められているのは、単なる批判の応酬では
なく行動だ」などと野党への牽制(けんせい)を繰り返したことだ。』

『それ自体は間違っていないにせよ、圧倒的な数を誇る首相が強調すれば、
異論を封じてもやりたいことをやるという宣言と受け取られても仕方あるまい。』

『首相が最後にめざすところをただし、問題点を明らかにするのは野党の役割だ。
(中略)数の力に押されるばかりでなく、緊張感ある議論を通じて立法府と
しての存在感を発揮しなければならない。』


【「産経新聞」『施政方針演説 改革断行の実を語る時だ 勇気もち「痛み」に理解求めよ』

『日本が内外の危機を克服するため、諸課題への取り組みから「逃れることは
できない」という首相の認識は妥当だ。改革断行への決意を評価したい。』

『大改革には「痛み」が伴い、その実現には国民の支持と理解が不可欠だ。
改革の先に日本がどのような姿に生まれ変わるのか、具体的かつ丁寧に説明
すべきだ。』

『その点、演説が踏み込み不足だった点は否めない。今後の国会質疑を通じ
議論を深めてほしい。』

『首相はすでに、(中略)憲法9条改正の必要性にも言及している。演説でも、
自衛隊による邦人救出の態勢を整えることを、明確に訴えてほしかった。』

『国際テロの封じ込めは、日本人の安全確保に直結する。日本として具体的に
取り得るぎりぎりの手段を考え、実行に移すべきだ。』

『自衛隊の活用を含む有志連合への後方支援は選択肢から外しているのだろうか。
1990年の湾岸危機に際し、日本の支援は資金、物資面にとどまり、国際
社会から批判を受けた。そのような状況に逆戻りしてはなるまい。』

『首相は演説で、安保法制の具体的なあり方や意義について踏み込まなかった。
(中略)だが、首相が自ら日本に必要だと考える内容を、国民に率直に訴える
ことこそ重要だ。』

『憲法改正について、国民的な議論を深めることを呼びかけた。一国の指導者
として、国の基本法をどう改めていきたいかを、さらに具体的に語ってほしい。』

『経済全体を底上げする成長戦略の具体化が急務であることは論をまたない。
「改革断行」は、成長路線を加速する決意表明とも受け止めたい。』

『首相は農協改革について、強い農業を創り、農家の所得を増やすためだと
訴えた。(中略)
改革の断行、TPP妥結により、国民生活がどう改善するかを説明すべきだ。』

『教育や労働改革を通じて貧困の固定化阻止を目指す方向性は理解できる。』

『だが、演説からは社会保障改革も含め、勇気をもって痛みに理解を求める
姿勢がうかがえなかった。衆院選で与党大勝を得たばかりである。今、語らず
していつ語るのか。』

『経済成長に伴う税収増に期待するだけでは、財政再建を果たすことはできない。
歳出効率化を含む政権の基本的な姿勢を、国民に示すことが求められる。』


【「東京新聞」『施政方針演説 安保、憲法語らぬ不実』

『安倍晋三首相は外交・安全保障や憲法問題で、どんなメッセージを発するのか。
戦後七十年の今年は特に、国内外が注視する。施政方針演説で自身の言葉で
語らねば、議論の始めようがあるまい。』

『首相は演説で「改革」という言葉を三十六回繰り返し、日本史上著名な人物
の言葉を引用した。』

『演説冒頭で言及した農協改革をはじめ、電力、雇用などの分野で「岩盤規制」
打破に挑む自らを、歴史上の偉人に重ね合わせ、奮い立たせているようでもある。』

『ただ、改革と名付ければ、何でも通るわけではあるまい。国民の暮らしを
豊かにするのか、という観点から、改革の妥当性は徹底的に議論されるべきだ。』

『必要な改革は果敢に断行すべきだが、改革を批判封じの免罪符とすべきでは
ない。』

『改革は冗舌に語る半面、安全保障や憲法問題では口をつぐむ。』

『憲法も「改正に向けた国民的な議論を深めていこう」と呼び掛けてはいるが、
具体的にどんな改正を何のために目指すのか、演説からは見えてこない。』

『いずれも与党内や与野党間の調整が必要で、踏み込んで語れないという事情
はあるにせよ、首相が何を目指すのか明確にしなければ、議論のしようがない。』

『国論を二分する問題でも具体的なことを語らなければ言質を与えず、異論
封じができると考えているわけではあるまい。首相演説では全く触れず、成立
を強行した特定秘密保護法の前例もある。語るべきを語らぬは不誠実である。』


【「日経新聞」『有権者に痛みの分かち合いを説くときだ』

『安倍政権は昨年12月の衆院選に勝利して目下、盤石である。この政治の安定
を何に生かすべきか。今こそ国民に痛みを伴う改革に着手する絶好の機会では
ないだろうか。』

『演説の終盤では、東京オリンピック・パラリンピックを催す2020年を一つの
国民的な目標にして「戦後以来の大改革」に進んでいこうとの呼びかけもなさ
れた。長期政権への意欲との見方が出ることを承知の言い回しだろう。』

『首相は今回、冒頭に農業改革を据え、演説のほぼ1割を費やした。与党内に
議論の先送り論もあったが、首相官邸は「施政方針演説に盛り込むには今決める
しかない」と押し切った。政治主導のお手本といってよい。』

『このほか法人税の実効税率の引き下げや、医療分野での混合診療の拡大など
首相のイニシアチブで実現した成果を列挙した。「日本は変えられる」との
発言は掛け声ではなく、本音だろう。』

『他方、議論を呼びそうな課題はさらりと通り過ぎた。』

『とりわけ残念なのは、財政再建への熱意があまり感じられないことだ。演説
に出てくるのは歳出増を伴うものばかりで、歳出カットはほとんど見当たらない。
痛みを避け、耳によい話だけをしていては予算規模は膨らむ一方だ。』

『高齢化による社会保障給付の増大に歯止めをかけなければ財政再建はおぼつ
かない。それには世代を超えた痛みの分かち合いが必要だ。経済成長と財政
再建を両立させてもらいたい。』


【「毎日新聞」『施政方針演説 首相こそ合意の努力を』

『吉田松陰、吉田茂らの言葉を盛り込み、明治維新や戦後になぞらえて日本の
「自信回復」を訴える首相には一種の高揚感があるのかもしれない。だが、
変化の方向は首相や与党だけが決めるものではない。』

『揚げ足取りのような議論は別にして、野党はそれぞれの立場から政策を主張
している。選挙で自民党が掲げた政策に有権者が全て賛成し、野党による主張
を全て否定したわけでもない。』

『「変化」の中身も問われる。後半国会の焦点となる安全保障法制に関しては
「あらゆる事態に切れ目のない対応を可能とする」と述べるにとどめた。』

『国会での幅広い合意形成を図るのであれば、少なくとも論点と基本的な見解
を提示すべきだ。戦後70年にあたり首相が公表する新談話についても目的と
趣旨をより踏み込んで説明してほしかった。』

『イスラム過激派組織「イスラム国」(IS=Islamic State)の人質殺害事件
を踏まえ首相は(中略)、人道支援の継続を強調した。日本が果たす役割を
今後どう考えていくのか、国の針路に関わる問題である。』

『首相の足元には急を要する課題が山積している。(中略)税や社会保障で
広範な国民合意を形成していくこともリーダーの重要な役割のはずだ。』

『政権運営で見直すべき点は見直し、首相こそ批判に耳を傾け、着実な合意
形成に努めるべきだ。』


【「読売新聞」『施政方針演説 「大改革」の成果が問われる』

『昨年末の衆院選圧勝でより強固になった政権基盤を生かし、多くの困難な
政策課題に取り組む決意は伝わってくる。国民の期待に応えるには、具体的な
成果を出すことが従来以上に求められる。』

『全中の組織改編は、岩盤規制の打破の象徴ではあるが、農業再生の出発点に
過ぎない。生産性の向上など、様々な農業政策を同時並行で進めることが大切
である。』

『首相が「出口が見えてきた」とする環太平洋経済連携協定(TPP)交渉の
妥結に向け、農業の国際競争力の強化を急ぐべきだ。』

『財政再建策への言及は少なかった。(中略)財政悪化の主因である社会保障費
のどこに、どう切り込むのか。負担増や給付抑制など痛みを伴う改革の道筋を
国民に正面から語る必要がある。』

『自衛隊の国際的役割を拡大し、迅速な海外派遣を可能にする恒久法の制定を
目指したい。』

『首相は、今夏に発表予定の戦後70年の首相談話を念頭に、従来以上に世界
の平和と安定に貢献する「強い意志」を発信する、と力説した。どんな未来
志向の談話とすべきか、政府・与党や国会での議論にも耳を傾けてもらいたい。』

『中長期目標を設定し、努力を続けることは重要だ。そのためにも、目の前の
懸案を着実に処理することが欠かせない。』


【「赤旗」『首相施政方針演説 力で通す暴走を国民は許さぬ』

『安倍晋三首相の第3次政権発足後初の施政方針演説を聞きながら、怒りが
湧き上がる思いでした。』

『すべて昨年末の総選挙で示された「国民の意思」にもとづくというのですから
恐れ入ります。安倍政権が力で押し通そうという暴走を、国民は決して許しは
しません。』

『施政方針演説の冒頭、「この道を、さらに力強く、前進せよ」というのが総選挙
で示された国民の意思だと強弁しました。総選挙での審判をたてに、内政・外交
など、「戦後以来の大改革」を進めていくという、まさに国民への総攻撃宣言です。』

『総選挙で自民・公明の与党が議席を維持しても、その結果が安倍政治を積極的
に信任したものでも、安倍首相に白紙委任を与えたものでもないのはいまさら
いうまでもないことです。』

『自民党は政党の力関係を示す比例代表選挙ではわずか有権者の17%しか
得票していないのに、小選挙区と合わせ議席全体では61%を確保しました。
選挙制度のゆがみによるものであり、その結果で国民の信任を得たといいはる
ことはできません。』

『首相は「国民の意思」といいますが、首相が進めようとしているのはどの
問題も、国民のなかで批判が渦巻いている大問題です。国民の不安や批判に
向き合う姿勢は首相にありません。』

『首相の演説は、(中略)まさにウソとペテンに満ちたものです。』

『原発事故で脅かされる国民の生存と電力会社の経営をてんびんにかけること
は許されません。沖縄に最新鋭の米軍基地を押し付けながら「負担軽減」など
とはよくいえたものです。ウソでごまかさなければならないほど評判の悪い
政策なら、強行ではなく、中止・撤回こそ政府の責任です。』

『安倍首相が、今度の国会で焦点になる集団的自衛権行使容認などの安全保障
法制の見直しについてまともに説明しなかったのは、まさに都合の悪いことは
国民に語らない、非民主的な姿勢そのものです。』

『首相は今年が「戦後70年」であることにかこつけて「積極的平和主義」の
推進を語っていますが、日本が再び「戦争する国」になることは戦後の反省とは
正反対です。「被爆70年」を口にしながら首相は決して核廃絶とはいいません。』

『戦後の歴史に反し国民の意思を踏みにじる暴走が、国民との矛盾を深めるのは
確実です。国民のたたかいがいよいよ重要です。』

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