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18歳選挙権と18歳成人について

2015年3月16日(月)15時現在の各紙サイトより

国内主要紙一面トップ記事、及び社説・主張

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【朝日新聞】
「朝刊一面トップ」
『防犯・監視用のウェブカメラ、ネットで「丸見え」3割 パスワード設定せず』
「社説」
『震災と文化 記憶と伝承にも支援を』

【産経新聞】
「朝刊一面トップ」
『麻原死刑囚「今日、いいこと起きてる」 当日の立ち話 四女が明かす』
「主張」
『日中韓首脳会談 共通課題語れる環境作れ』
『マイナンバー 周知徹底で不安解消せよ』

【東京新聞】
「朝刊一面トップ」
『若い女性 届かぬケア 被災地 つらさ伝えにくく』
「社説」
『18歳選挙権法案 「成人の年齢」は熟慮で』

【日経新聞】
「朝刊一面トップ」
『中国、7%成長へ政策動員 全人代が閉幕』
「社説」
『医療の効率化へ試される都道府県の力量』
『難民に冷たい国でいいのか』

【毎日新聞】
「朝刊一面トップ」
『全国自治体調査 若い議会、政策に熱意 条例可決数に差』
「社説」
『安保法制の見直し 先走らず慎重に一歩を』

【読売新聞】
「朝刊一面トップ」
『東京五輪・パラリンピック 主要駅 バリアフリー化 政府主導で検討へ』
「社説」
『中国全人代閉幕 習政権の独善体質が目立った』
『保育士不足 賃金と勤務時間の改善を図れ』


きょうの注目記事

今回も、18歳選挙権法案の話題です。
前回の時点では掲載されていなかった、東京新聞の社説です。


【「東京新聞」『18歳選挙権法案 「成人の年齢」は熟慮で』

『スコットランドは英国から独立すべきかどうか-。昨年、話題になった住民
投票では、十六歳以上が投票した。日本でも今年二月に沖縄の与那国島で、
陸上自衛隊の部隊配備をめぐる住民投票があったが、このときは「中学生以上」
の町民に投票資格があった。』

『地域の未来を決める重大なテーマには、次世代を担う若い人々の意見も反映
させたいために条例でそう定めたようだ。』

『選挙権の年齢を「十八歳以上」へと引き下げる公選法の改正案を提案したのは、
自民、民主、維新、公明、次世代、生活の六党だ。今国会で成立する見通しだ。』

『選挙年齢は一九四五年に「二十五歳以上」から「二十歳以上」に改められて
おり、それから数えると、七十年ぶりとなる大改革となる。早ければ来年に
迫る参院選で実現する。』

『国会議員を選ぶ選挙ばかりでない。地方自治体の首長や議会の選挙、最高裁
判事の国民審査、自治体の首長や議員の解職請求(リコール)などを受けた
住民投票にもかかわる。』

『「十八歳」へと引き下げられれば、若者の政治参加を直接的に促すことに
なる。必然的に国政への関心も高まることだろう。少子化の時代でもある。
次の時代を切り開いていく若い世代の声を広く国政に反映させることは好ましい。
この意味で十八歳への引き下げには賛同できる。』

『国立国会図書館が世界の状況を調べたことがある。百九十八カ国・地域の
うち、選挙年齢の下限を十八歳としている国は、百六十七にものぼった。
国際的にみても「二十歳以上」とする日本は少数派に属するのだ。』

『だが、今回の法案は、昨年に成立した改正国民投票法を踏まえていることにも
留意せねばならない。国民投票法は憲法改正の手続きを定めた法律だ。自民党
が前のめりになっている憲法改正へと進む"布石"になるのなら、もっと吟味
が必要ではないか。』

『国民投票は十八歳以上だ。選挙権も引き下げるのならば、主権者教育をより
充実せねばならない。政治に無関心な若者に対し、国民主権や基本的人権、
平和主義を定めた日本国憲法への理解を深める教育だ。』

『権力を縛る役目を果たす立憲主義についても教育現場で徹底して教えて
もらいたい。これは改憲が大きな政治テーマになる以上、全世代で考えたい。』

『世界に目を向ければ、選挙年齢は徴兵制とも絡んできた。ベトナム戦争時に
選挙年齢を引き下げている国々があるのだ。徴兵されるのに選挙権がないのは
おかしいという議論が起こったからだ。こんな歴史も踏まえた方がいい。』

『少年法との関係もある。買収などの選挙違反があれば、成人と同様の処罰
対象とするという。少年法で定めた「成人の年齢」自体を十八歳へと引き下げる
動きさえ出ている。これは疑問だ。』

『少年法は健全育成を期待して、非行少年を矯正し、保護するのが目的だ。
人格の形成途上であるし、立ち直る可塑性に富むとされる。刑罰を科すよりも、
教育により指導・支援する方が効果的だという研究結果もある。』

『公選法と少年法は理念も背景も異なる。個別に慎重な議論をすべきだ。』

『民法上の問題も大きい。十八歳ではローン契約などは親の同意が必要になる。
自分で契約ができるのは民法上の「成人の年齢」である二十歳だからだ。二〇
一三年に内閣府が行った世論調査では「契約ができる年齢」について、十八歳
への引き下げに賛成が19%、反対が79%だった。』

『経済的に親に依存している者が多いうえ、自分で責任をとることができない
と大半の人が考えているのだ。』

『「親権に服する年齢」についても、引き下げ賛成が26%、反対が69%
だった。大学や専門学校などへ進学し、十八歳で自立している者は激減して
いる。この現状を踏まえた結果といえよう。』

『競馬法で未成年者は馬券を買えないし、飲酒や喫煙も「満二十歳」が区切りだ。
ギャンブルや飲酒まで一律に十八歳に引き下げることにはためらいがあろう。』

『政府が〇七年に調べたとき、「成人の年齢」を十八歳にすると、法律百九十一、
政令四十、省令七十七を見直す必要があることが判明した。憲法は「成年者に
よる普通選挙」を保障している。』

『日本社会は何歳を「成年」とするか、国民的なコンセンサスが必要だ。
身近で深いテーマだけに熟議が欠かせない。』


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民法上の問題や成人年齢の引き下げなど、他紙より細かく書かれています。

『権力を縛る役目を果たす立憲主義についても教育現場で徹底して教えて
もらいたい。これは改憲が大きな政治テーマになる以上、全世代で考えたい。』
との一節があります。

これに対し、前回紹介した産経紙の主張には、
『今年の日教組教研集会でも、中学の授業で「立憲主義」について「権力を
持つ者をしばる」といった説明を強調し、憲法改正を目指す安倍晋三首相を
批判するような授業が報告された。』
との一節がありました。

主要紙でもこのような違いがあるくらいですから、教師によって指導に大きく
違いが出てしまわないか心配です。


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今回のテーマは、【18歳選挙権と18歳成人について】です。


編集後記

前回の「きょうの注目記事」コーナーで、30年以上前の、私が都立高校の
生徒だった頃の話を書きました。

倫理社会の教科で、教科書を無視して「731部隊」とか「南京大虐殺」とかの
自前のプリントを配って授業をする女性教師の話でした。

ある時、その教師に「将来の進路について」だったか、そんな内容の提出物を
求められたことがあります。

私は、「自衛隊に入る」と書いて提出しました。
(実際に入るつもりはありませんでしたが)

すると、その教師。
みんなの前で「"自衛隊に入る"と書いた者がいたが、これまで私が何を教えて
きたのか、悲しくなった」と言い、嘆いておりました。

そんなエピソードも思い出しました。


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