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国籍法改正について

【国内主要6紙の本日の社説】

2008年12月5日

(以下、掲載順は日々変更)

【朝日新聞】
『教科書検定―密室の扉がわずかに開く』
『道路予算―幻と消える一般財源化』
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【産経新聞】
『元次官宅襲撃 動機解明し迅速な公判を』
『クラスター禁止 抑止力維持に万全を期せ』
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【東京新聞】
『集束爆弾禁止 この流れ定着させたい』
『石油2社統合 和製メジャーに育つか』
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【日経新聞】
『大幅利下げでも懸念ぬぐえぬ欧州経済』
『資源・環境にらんだ石油再編』
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【毎日新聞】
『雇用保険 国庫負担の廃止には反対だ』
『石油会社統合 和製メジャーにつながるか』
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【読売新聞】
『道路特定財源 「一般財源化」はどこに行った』
『内定取り消し 就職戦線を襲う景気の激変』
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独断と偏見はご容赦!【最近の社説の、ここに注目】

国籍法改正について見てみたい。

この件について、産経以外の主要紙は社説として取り上げていないようだ。

国内の地方紙でも、ざっとではあるが見渡したところ、取り上げている新聞はないように見受けられた。


この法改正のきっかけとなった出来事が、今年6月上旬にあった。

覚えている方もいらっしゃるだろうが、
「日本人とフィリピン人との間に婚姻関係なしに生まれた子供の日本国籍取得裁判で、最高裁大法廷が違憲判決を出した」
というものである。

この時、産経は社説でどのような主張をしたのか。
振り返ってみる。


6月5日付
「産経新聞」『婚外子国籍訴訟 時代の流れくんだ判決だ』の社説。


『多様化する現代の親子関係などを十分に考慮し、社会の流れに沿った判断と言えよう。』

『訴えた子供と同じような境遇の子は全国に数万人いるとされ、日本国籍取得に道が開けたわけで、今回の最高裁の判決を歓迎したい。』

『現行の国籍法によると、出生の時に父母のどちらかが日本人なら、(中略)結婚の有無にかかわらず、子供は日本国籍を取得できるとされる。』

『今回の訴訟のように、日本人の父親と外国人の母親との間に生まれた子供は、(中略)母親が妊娠中に父親が認知した場合は、国籍取得できるが、出産後に認知されたときは、父母の婚姻が取得要件となっている。』

『大法廷判決は、父母の婚姻の有無を国籍取得の要件としていることについて、「合理的な理由のない差別で、憲法14条1項に違反する」と明確に憲法違反との初判断を下した。』

『多くの裁判官が、子供の人権に最大限配慮し、また諸外国の動向なども参考にしている点は、今後の民事訴訟にも影響を与えよう。』

『国籍法は昭和25年7月に施行され、59年に改正された。判決では争点となった婚姻有無の要件規定はその時点では合理的だったとの認識を示した。』

『しかし、その後のわが国の家族生活や親子関係に関する意識の変化に言及した点は、国民にとってよくうなずける。子供の利益を最優先した判決と理解したい。』


ちなみに、この時は多くの他紙も社説として取り上げ、そして産経と同様に「良いことだ」としている。

これは全くの私見だが、今回他紙がこの件について社説で取り上げなかったのは、6月時点で「改正は歓迎」と主張して、それが実現したからではないだろうかと思っている。

つまり、既に主張済のことなので、改めて主張し直すこともないだろうというわけだ。

或いは、改正国籍法が成立してから主張しようとしているのかもしれないが。

ならば、産経はどうだろう。

6月時点では、婚姻関係なしに生まれた子供の日本国籍取得を『社会の流れに沿った判断』とし、同じような境遇の子の『日本国籍取得に道が開けたわけで、今回の最高裁の判決を歓迎したい』としている。

しかし、11月末になると、
『6月の最高裁判決でこの婚姻要件が違憲と判断されたことから、改正案は両親が結婚していなくても出生後に父親が認知すれば、届け出により国籍が取れるようにした』。

そして、
『国籍は就職など社会生活上の重要な意味を持つだけでなく、選挙権など国民の基本的な権利にもかかわ』り、『改正案には不正な国籍取得を排除できるのかといった懸念が残って』いるとしている。

なんだか、解りにくくい。
パッと見る限りでは、矛盾しているかのようにも感じる。

これも私見だが、要するに産経は、
「既に生まれている子どもを救済することを主とした法改正であるべきで、こうした境遇の子どもの増加を助長することにつながってはならない。そして、国籍取得にあたっては、不正を防ぐためのしっかりとした方策が必要だ」
と、言いたいのだろうか。

6月の時点で、国籍取得に婚姻を条件としないという流れに、知り得る限りの社説は全て賛成との論調だった。

そして、その点については、産経も同じだったはずだ。

今回、これまでの流れに逆らうようにも取られかねない形で問題提起するのであれば、これまでの経緯、そして6月時点の主張と現時点のそれとの差異について、もう少し明確にすべきではなかろうか。

どうも、改正是非の論点がはっきりとしない。
論点がわかりにくいから、盛り上がりにも欠けてしまうという側面があるようにも思える。

改正自体は「是」なのだろうから、ならばどの部分が「非」なのか、そしてそれについてどのようにすべきだと考えているのか。

そのあたりが、ぼやけてしまっているように感じる。


以上、或いは私の受け取り方が間違っているのかもしれない。

改正国籍法が成立した今となっては遅きに失したかもしれないが、この件について、読者の方々はどう考えているのだろうか。


【今日の雑感】

先日、このコーナーで、「風呂に防水型のCDプレーヤーを持ち込んで、入浴中に音楽を聴いている」という話を書きましたが、音楽の他に、自己啓発系のCDを聴くこともあります。

先日は、京セラの創業者・稲盛和夫氏の「経営のこころ」というCDを聴きました。

「限定メンバーに語り明かした」というだけあって、『掃除のオバチャンも...』などという言葉も飛び出すような、堅苦しさのないざっくばらんな語り口という印象です。


『頑張っているのは誰でも同じ。「誰にも負けない」と言えるほど頑張っているのか?』

...。
「頑張りすぎない」「癒し」などという言葉が持てはやされる昨今、稲盛氏の言葉は強く胸に響きます。

しかし、その厳しい言葉の裏側には、人生という長距離レースを必死で走っている後輩に対する思いやり・暖かさがあるように感じました。

当たり前のことですが、いい思いをしたかったら努力しなければならないということでしょう。

今の時代、その当たり前のことが、意味のないこと・無駄なこととさえ感じられてしまうような風潮になっているような気もします。


学歴もなく、さしたる技能もなく、20代後半までのほとんどをフリーターとして過ごしてきた、この私。

最初から正規雇用者として採用されたことは、これまで一度もありませんでした。

はるか先をゆく同年輩に追いつき追い越すべく走り続けている私にとっては、稲盛氏の言葉の数々は、今の時代、貴重な叱咤激励となりました。

このCDでは、いわゆる「稲盛経営12ヶ条」について語られています。

しかし、経営者だけにとどまらず、今、そしてこれから、人生のマラソンを走り出そうという人にも、きっと得るものがあると思います。

毎日辛い思いをして頑張っている方にとっては、ヘタな癒しの文句よりもずっと癒されるかもしれません。
【稲盛和夫の「経営のこころ」】


【本日、あなたが最も共感しなかった社説は?】


2008年12月5日













締切:2008年12月06日18時00分
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