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道徳の教科化について

2015年4月4日(土)14時現在の各紙サイトより

国内主要紙一面トップ記事、及び社説・主張

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【朝日新聞】
「朝刊一面トップ」
『イラン核、6月決着へ一歩 枠組み合意、詳細なお不透明』
「社説」
『イラン核問題 中東安定へ希望つなげ』
『黒田緩和2年 拡大続行よりやめ方を』

【産経新聞】
「朝刊一面トップ」
『総連 制裁逃れに資金持参 農業機器製造 正恩氏指示、4500万円』
「主張」
『拉致再調査 政府は毅然と圧力強めよ 協議の中断あってはならない』

【東京新聞】
「朝刊一面トップ」
『無投票当選 最悪 21%審判受けず』
「社説」
『異次元緩和2年目標未達の説明果たせ』
『イラン核問題好機生かし最終合意を』

【日経新聞】
「朝刊一面トップ」
『羽田、旅客の負担増 国際線500円』
「社説」
『郵政上場の不透明感はまだ消えない』
『イラン核開発の疑念払拭を』

【毎日新聞】
「朝刊一面トップ」
『みなし仮設家賃未請求 東電が自主避難分に難色』
「社説」
『異次元緩和2年 柔軟な政策へ転換を』

【読売新聞】
「朝刊一面トップ」
『抑留死 全地域調査へ 政府 「シベリア優先」転換』
「社説」
『イラン核合意 軍事転用阻止へ重要な段階だ』
『医療研究機構 基礎科学と実用化の懸け橋に』


きょうの注目記事

道徳の教科化について、産経新聞と赤旗紙の主張を読み比べてみます。


【3月24日付「産経新聞」『道徳教科化 「愛国心」を堂々と育もう』

『道徳の教科化に対し、相変わらず「価値観の押しつけ」などと反対意見がある。』

『しかし、道徳は、立場による価値判断の違いを知るなど物事を多角的にみる
力を養う。公共心、愛国心などを否定する偏向教育こそ改め、子供たちの心を
捉える指導を工夫したい。』

『道徳は、小学校で平成30年度、中学で31年度から教科書を使い、記述式
で成績評価が行われる「特別の教科」に格上げされる予定だ。』

『この指導指針となる学習指導要領改定案について文部科学省が意見公募
(パブリックコメント)したところ、6千件の意見が寄せられる関心の高さを
みせた。』

『賛否の割合は集計されていないが、賛成では「正直、誠実」など徳目を例示
した改定案について「分かりやすくてよい」など評価する意見があった。』

『一方、反対意見では「偏狭なナショナリズムにつながる」「国の考え方を
子供に植え付ける危険性が極めて高い」などの批判があったという。』

『しかしこうした特定の考え方を押しつけるような指導は、教科化を提言した
中央教育審議会の答申で、道徳教育とは「対極にある」と明言されたことを
知ってほしい。思いやりや正義、公正さなどを教えるのは押しつけではなく、
戦後教育に欠けていたことだ。』

『改正教育基本法で教育の目標として明示された「国と郷土を愛する態度」も、
道徳教科化に伴い重視されているが、「愛国心の押しつけ」と反発がある。』

『だが自国の伝統文化を知らず誇りを持てなければ、他国への尊敬の念も生ま
れず、国際社会で信頼も得られないだろう。』

『内閣府の世論調査をみても、「国民の間に『国を愛する』気持ちをもっと
育てる必要がある」と考える人は75%と多い。』

『これまで学校では、愛国心や公に尽くすことの大切さを教えることを避けて
こなかったか。先人の偉業だけでなく失敗も含め、社会のために苦闘した物語
などを積極的に取り上げ、考えることを通し、育んでいきたい。』

『意見公募では、道徳の授業を成績評価することについて「教師の求める発言
をする子供が増える」など懸念する意見もあった。道徳は教師の資質、指導力
が何よりも問われることを肝に銘じ取り組んでほしい。』


【4月4日付「赤旗」『道徳教育 個人の尊厳を基礎にしてこそ』

『道徳の教科化は、これまではなかった検定教科書を使用して道徳を教え、
かつ、これまで行ったことがなかった一人ひとりの子どもの心や道徳を評価
するものです。』

『従来とは次元の違う形で、子どもに「官製道徳」を押し付けるものです。
全国紙・地方紙の多くが「皇民化教育を担った戦前の『修身』を思い起こさ
ざるを得ない」(神奈川新聞)などと懸念を示しています。』

『国家権力が国民に特定の価値観を押し付けることは、憲法の定める思想良心
の自由を侵すことにほかなりません。』

『日本共産党は道徳の教科化に反対するとともに、憲法の理念に沿った市民
道徳をはぐくむ教育を進めることを主張します。』

『民主主義社会の道徳は、個人の尊厳と人権を互いに尊重することを基礎に
置いたものです。そうした道徳は、上から「こうあるべきだ」と押し付ける
ことはできません。』

『自由な雰囲気のもと多様な価値観が認められる中で、さまざまなことを経験
し学習することによって、自主的判断で選び、形成していくものです。』

『そのためには、なによりも学校や社会が、個人が尊重される場になることが
必要です。体罰や不合理な校則など管理一辺倒の学校では、子どもたちが本当
の意味で正義感や思いやりを持って人と接するようにはなりません。』

『学校で、現実に自分たちが直面している問題を解決する学級活動、子ども
自身が話し合い、つくりあげていく行事などの自治的活動も大切にしたいこと
です。』

『また自然や社会のしくみを知る日々の学習は、子どもたちの自主的批判的
精神をはぐくみます。さらに民主主義や人権の尊重には、憲法や子どもの権利
条約についての学習も不可欠です。』

『勤労の精神は、労働基準法などを学んでこそ、生きたものになります。侵略
戦争の歴史を学び、その反省にたってこそ、本当に国を愛し、他国の人びとと
連帯し、平和を守る精神を自らはぐくむことができます。』

『こうして市民道徳の形成は、学校生活全体で支えるものであり、その一つで
ある「道徳の時間」も自主性が重要です。』

『ところが文科省は教科化する前から「道徳の時間」への統制を強めています。
使用義務がないと国会で答弁している文科省作成の『私たちの道徳』の使用を
繰り返し学校に求め、15年度は「道徳」の指導法を示した教師用資料を配布
して、介入をさらに強めようとしています。』

『しかし道徳教育についての中央教育審議会答申でも「特定の価値観を押し
付け」ることは「道徳教育が目指す方向の対極にある」と述べています。国も
地方も、道徳教育への統制をやめるべきです。』

『重大なことは、道徳の教科化が「戦争立法」など「戦争する国づくり」と
同時に進められていることです。ここには国民を戦争に動員するため、教育を
利用しようという支配層の狙いがあります。そうした企てを許さず、自主的な
市民道徳の教育を発展させることを日本共産党は呼びかけます。』


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個人的には、産経紙の『自国の伝統文化を知らず誇りを持てなければ、他国へ
の尊敬の念も生まれず、国際社会で信頼も得られないだろう』には、共感する
部分があります。

ただ、『愛国心や公に尽くすことの大切さを教える』ことについては、これは
教えるものではなく、『立場による価値判断の違いを知るなど物事を多角的に
みる力を養』い、『自国の伝統文化を知』った後に、自ずと芽生えてくるもの
のような気がします。

一方、赤旗紙については『国家権力が国民に特定の価値観を押し付けることは、
憲法の定める思想良心の自由を侵すことにほかなりません』の一節に共感する
部分があります。

しかし、本日の赤旗紙の主張や、昨日の当コーナーで紹介した主張を読むと、
国ではなく特定の政党ならば、特定の価値観を押し付けてもいいのかという
疑問も生じます。


ちなみに道徳の教科化については、以前、
『道徳の教科化「多様な個性」か「規範意識」か』
として、東京新聞と産経新聞の社説・主張を読み比べたことがあります。

ぜひ、こちらも参考にしてください。


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今回のテーマは、【道徳の教科化について】です。


編集後記


今回は、記事の更新を休ませていただきます。

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