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国立大式典における国旗掲揚・国歌斉唱について

2015年4月15日(水)16時現在の各紙サイトより

国内主要紙一面トップ記事、及び社説・主張

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【朝日新聞】
「朝刊一面トップ」
『高浜再稼働認めず 即時差し止め、初の仮処分 福井地裁「新基準、合理性欠く」』
「社説」
『高浜原発差し止め 司法の警告に耳を傾けよ』

【産経新聞】
「朝刊一面トップ」
『前支局長 出国禁止解除、帰国 韓国政府、8カ月ぶり』
「主張」
『前支局長帰国 重ねて起訴撤回を求める』
『高浜原発差し止め 「負の影響」計り知れない』

【東京新聞】
「朝刊一面トップ」
『高浜再稼動認めず 「緩い規制基準 合理性欠く」 福井地裁 初の仮処分』
「社説」
『国民を守る司法判断だ 高浜原発「差し止め」』

【日経新聞】
「朝刊一面トップ」
『イオン、投資6割増 今年度1600億円』
「社説」
『福井地裁の高浜原発差し止めは疑問多い』
『ふるさと納税を本来の姿に』

【毎日新聞】
「朝刊一面トップ」
『高浜再稼動差し止め 福井地裁仮処分 「新基準、合理性欠く」』
「社説」
『高浜原発差し止め 司法が発した重い警告』
『安保協議再開 対米合意優先は疑問だ』

【読売新聞】
「朝刊一面トップ」
『高浜原発、再稼働認めず 仮処分 規制基準「不合理」 福井地裁』
「社説」
『高浜差し止め 規制基準否定した不合理判断』
『産経前支局長 出国禁止措置の解除は当然だ』


きょうの注目記事

少し前の記事ですが、国立大学の式典における国旗掲揚・国歌斉唱について、
朝日・産経両紙の社説・主張を見てみます。


【11日付「朝日新聞」『国旗国歌 大学への不当な介入だ』

『「学問の自由」が保障されない社会に未来はない。「大学の自治」はその
ための原則の一つである。』

『ところが安倍首相は、国立大学の入学式や卒業式での国旗掲揚や国歌斉唱に
ついて、参院予算委員会で「正しく実施されるべきではないか」と述べた。』

『政府による大学への不当な介入と言うほかない。文科省は要請の方針を撤回
すべきである。』

『まず安倍首相である。国立大が「税金によって賄われていることに鑑みれば、
教育基本法の方針にのっとって」実施されるべきだとの考えを示した。』

『「基本法の方針」とは「我が国と郷土を愛する態度を養う」という目標を
指したつもりだろう。だが、基本法は大学について「自主性、自律性が尊重
されなければならない」と定めている。これを忘れてはいないか。』

『カネを出しているのだから、政府の言うことに従えといわんばかりの論法は
乱暴すぎる。国が補助金を出している私立大にも同じことを求めるのか。』

『文科相は要請の根拠として、国旗・国歌法を挙げた。この法律が成立する際、
政府は「国として強制や義務化をすることはない」と答弁したはずだ。』

『なのに文科省は小中高校の学習指導要領に基づき、国旗と国歌を徹底する
よう求め、実際に全国の学校での実施状況を調べた。各地の教育委員会も処分
を掲げて締めつけを強めた。』

『今回、文科省は国立大86校の卒業式や入学式を調べ、国旗掲揚や国歌斉唱
を行ったのはどこかをつかんでいた。実態を調べていたこと自体、驚きだ。』

『文科省は「大学に強制や指導はできない」として、国立大の学長が参加する
会議で要請することを検討中だという。』

『大学には当然、自主性を貫いてもらいたいが、足元には厳しい現実もある。
国立大学は法人になっても、主な収入の柱を国の交付金に頼っている。』

『そのうえ文科省は、国が用意した改革に取り組む度合いに応じて、交付金を
配分する姿勢を強めている。今回の要請を拒めば、予算に響くと大学が心配
しても不思議ではない。』

『大学は国の言いなりに教育を行う機関ではない。政府の意向や社会の価値観
など一切に縛られず、自由で多様な研究を深めてこそ学問の価値が保たれる。』

『そんな敬意もなしに介入しようとする政権の姿勢は、大学の空気を一変させ
かねない。首相と文科相は猛省すべきである。』


【14日付「産経新聞」『国旗国歌 背向ける方が恥ずかしい』

『国立大学の卒業式や入学式で国旗掲揚と国歌斉唱を適切に行うよう求める
ことに反発がある。』

『国旗と国歌に敬意を払う教育がなぜいけないのか。それを妨げる方が問題で
ある。』

『先週9日の参院予算委員会で次世代の党の松沢成文氏が取り上げた。同氏の
求めで文部科学省が各大学に聞き取り調査したところ、今年3月の卒業式で
国立大86校のうち、国旗を掲揚したのは74校、国歌を斉唱したのは14校
にとどまったという。』

『これに対し安倍晋三首相は「改正教育基本法の方針にのっとり、正しく実施
されるべきではないか」と答弁した。当然である。改正教育基本法では国と
郷土を愛し、他国を尊重する態度を育むことを重視している。』

『下村博文文部科学相は記者会見で「適切な対応が取られるように学長が参加
する会議で要請することを検討する」と述べた。文科相は「お願いであり、
するかしないかは各大学の判断」とも述べている。大学の自主性にも配慮した
要請を批判するのは疑問だ。』

『大学人にあえて言うまでもないことだが、国旗と国歌はいずれの国でもその
国の象徴として大切にされ、互いに尊重し合うことが常識だ。小学校の学習
指導要領解説書にも書かれている。』

『人生の節目の行事で国旗を掲揚し、国歌を斉唱することは自然であり、法的
根拠を求めるまでもない。まして「大学の自治」を損なうものでもない。』

『実施できないのは、国旗国歌に背を向ける一部教職員らの反発が根強いから
だろう。学長の判断で適切に行ってもらいたい。』

『小中高校での国旗掲揚、国歌斉唱をめぐっては反対する教職員との板挟みで
平成11年に広島県の高校校長が自殺する痛ましい事件が起きた。これを
きっかけに国旗を日の丸、国歌を君が代と規定した国旗国歌法が制定された。』

『国旗国歌に敬意を払う国際的な礼儀に背を向け「強制」と批判することこそ
恥ずかしい。』

『国歌の斉唱時にあえて起立せず式を混乱させる教員が相変わらずいる。自然
に敬うことを妨げる動きがあるから東京都などで教職員に起立斉唱する職務
命令が出されている。』

『祝日に国旗を掲げる家庭も少なくなっている。普段から国旗と国歌を敬う
教育を大切にしたい。』


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産経紙が、
『文科相は「お願いであり、するかしないかは各大学の判断」とも述べている。
大学の自主性にも配慮した要請を批判するのは疑問だ。』
としているのに対し、朝日紙は、
『文科省は、国が用意した改革に取り組む度合いに応じて、交付金を配分する
姿勢を強めている。今回の要請を拒めば、予算に響くと大学が心配しても不思議
ではない。』
と、事実上、政府の要請は拒めないものとの見方をしています。

また、朝日紙が、
『今回、文科省は国立大86校の卒業式や入学式を調べ、国旗掲揚や国歌斉唱
を行ったのはどこかをつかんでいた。実態を調べていたこと自体、驚きだ。』
と、密かに実態を調べていたかのように書いているのに対し、産経紙では、
『先週9日の参院予算委員会で次世代の党の松沢成文氏が取り上げた。同氏の
求めで文部科学省が各大学に聞き取り調査したところ(後略)』
と、松沢氏の求めに応じて調査したものとしています。


なお、式典時における国旗掲揚・国歌斉唱や、国旗・国歌そのものについての
私見については、以前弊誌で書いたことがあります。

興味がおありでしたら、ご覧ください。

2009年8月24日配信『国旗・日の丸について』

2009年10月19日配信『国歌不起立判決について』


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今回のテーマは、【国立大学式典における国旗掲揚・国歌斉唱について】です。


編集後記

「きょうの注目記事」コーナーで、過去記事へのリンクを載せています。

以前からご覧いただいている方にはご存知のことと思いますが、以前は結構、
自論を書いておりました。
文体まで違っていましたね。

不定期配信から復帰以降は「視点」の紹介のみにとどめ、あまり自論は展開
しないようにしております。

読む方に考えていただくきっかけを提供したいのであって、自説を主張するのが
目的ではないと考えたからです。

それにしても、私の主張。

「右」の方からは「左」と思われ、「左」の方からは「右」と思われることが
よくありました。

「心は右翼で、頭は左翼」などと、自嘲的に言っていたこともあります。

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