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高浜原発差し止めについて

2015年4月17日(金)15時現在の各紙サイトより

国内主要紙一面トップ記事、及び社説・主張

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【朝日新聞】
「朝刊一面トップ」
『中学生も医療費助成65% 1134自治体、10年で100倍 厚労省調査』
「社説」
『自民党と放送 「介入」は許されない』
『バスケ統合 出直しをチャンスに』

【産経新聞】
「朝刊一面トップ」
『「消滅可能性自治体」の悪循環 人口減「このまま朽ちるしか...」』
「主張」
『G7と海洋安保 結束して対中圧力強めよ』
『AIIB 惑わず冷静な対応を貫け』

【東京新聞】
「朝刊一面トップ」
『首相、沖縄知事 きょう会談 翁長氏「辺野古反対伝える」』
「社説」
『大学と国旗国歌 自主自律の気概こそ』
『安保法制考(1) 武力行使緩める新要件』

【日経新聞】
「朝刊一面トップ」
『シャープ支援、大筋合意 主力2行が2000億円出資』
「社説」
『安売り規制では町の酒販店を救えない』
『中台関係を占う総統選の始動』

【毎日新聞】
「朝刊一面トップ」
『安倍政権下で格差拡大 地域別所得 最大6.5倍』
「社説」
『海洋安保宣言 紛争を生む「砂の長城」』
『テレビ局聴取 政権党は介入を控えよ』

【読売新聞】
「朝刊一面トップ」
『船員装い入国 難民申請 バングラデシュ15人 上陸許可を悪用』
「社説」
『G7外相会合 海洋秩序維持へ連携を強めよ』
『山手線支柱倒壊 危険の芽を摘む意識に欠ける』


きょうの注目記事

「高浜原発差し止め」について、ここ数日の主要紙社説・主張から見てみます。

仮処分決定に賛成するのは、
「朝日新聞」『高浜原発差し止め 司法の警告に耳を傾けよ』
「東京新聞」『国民を守る司法判断だ 高浜原発「差し止め」』
の2紙。

反対するのは、
「産経新聞」『高浜原発差し止め 「負の影響」計り知れない』
      『高浜異議申し立て 迅速に決定を覆すべきだ』
「日経新聞」『福井地裁の高浜原発差し止めは疑問多い』
「読売新聞」『高浜差し止め 規制基準否定した不合理判断』
の3紙。

毎日新聞は『高浜原発差し止め 司法が発した重い警告』と表題されていますが、
『私たちは(中略)、できるだけ早く原発をゼロにすべきだと主張してきた。
それを前提に最小限の再稼働は容認できるとの考え方に立っている。』
『それに対し、決定が立脚しているのは地震国・日本の事情をふまえると、
原発の危険をゼロにするか、あらゆる再稼働を認めないことでしか住民の安全
は守れないという考え方のようだ。』
『原発再稼働の是非は国民生活や経済活動に大きな影響を与える。ゼロリスク
を求めて一切の再稼働を認めないことは性急に過ぎるが、いくつもの問題を
先送りしたまま、見切り発車で再稼働をすべきでないという警鐘は軽くない。』
と、必ずしも反対一辺倒ではないようです。


賛成派からは、下記の意見が挙げられます。

『①基準地震動の策定基準の見直し②外部電源等の耐震性強化③使用済み核燃料
を堅固な施設で囲む④使用済み核燃料プールの給水設備の耐震性強化-の必要性
をあげ、4点が解決されない限り脆弱(ぜいじゃく)性は解消しないと指摘した。』
『原発コストは、(中略)今回の決定に則して対策の上積みを迫られれば、
費用はさらに上昇しかねない。』
『普通の人が素朴に感じる疑問を背景に、技術的な検討も加えたうえで「再稼働
すべきでない」という結論を示した司法判断の意味は大きい。裁判所の目線は
終始、住民に寄り添っていて、説得力がある。』
『政府や電力会社の判断を追認しがちだった裁判所は、「3・11」を境に
変わりつつあるのではないか。』(以上、朝日紙)

『なぜ差し迫った危険があるか。第一の理由は地震である。』
『日本は世界で発生する地震の一割が集中する世界有数の地震国である。国内
に地震の空白地帯は存在せず、いつ、どこで、どんな大地震が発生するか分か
らない。だから基準地震動の考え方には疑問が混じると判じている。』
『司法は次に、多重防護の考え方を覆す。』
『福島第一原発事故で、最も危険だったのは、爆発で屋根が破壊され、むき
出しになった4号機の燃料プールだったと、内外の専門家が指摘する。』
『つまり、安全への重大な疑問はいくつも残されたままである。ところが、
「世界一厳しい」という新規制基準は、これらを視野に入れていない。』
『命を何より大事にしたい。平穏に日々を送りたい。考えるまでもなく、
普通の人が普通に抱く、最も平凡な願いではないか。』
『政府は、(中略)経済という物差しを振りかざし、温暖化対策なども口実に、
原発再稼働の環境づくりに腐心する。一体誰のためなのか。』
『原発立地地域の人々も、何も進んで原発がほしいわけではないだろう。
仕事や補助金を失って地域が疲弊するのが怖いのだ。』
『三権分立の国である。政府は司法の声によく耳を傾けて、国民の幸福をより
深く掘り下げるべきである。』
『原発のある不安となくなる不安が一度に解消された未来図を、私たちに示す
べきである。』(以上、東京紙)


また、反対派からは以下の意見が挙げられます。

『そもそも現在の司法の体制で、高度に科学的、技術的な分野の判断に踏み込む
ことには無理があろう。知財高裁に相当する専門対応力を備えた「科学高裁」
設立の検討が望まれるところである。』
『原子力発電は、先端科学技術を総合したものであり、火力などとは一線を
画する発電システムだ。それゆえ、ベースロード電源としてだけでなく、国の
エネルギー安全保障上も重視されている。』
『仮処分という措置で原発の再稼働に遅れが生じると、電力会社の経営を圧迫し、
電気代のさらなる値上げが不可避となる。中小企業は耐えられなくなっていく。』
『原発の活用を封印されると、世界が足並みをそろえて取り組む二酸化炭素の
排出削減計画にも乱れが生じる。』
『電力会社と規制委などの取り組みで、原発事故のリスクは、ゼロではないが、
最小化されている。司法は、その現実と努力を正しく認識すべきである。』
『ゼロリスクを求めては、車は走れず、航空機も飛べない。一方で決定は、
再稼働を認めないことによる経済的リスクや地元への影響などには言及して
いない。』
『(裁判長は)原発の運転停止で多額の貿易赤字が出ても「これを国富の流出
というべきではない」とし、「豊かな国土に国民が根を下ろして生活できる
ことが国富である」と定義していた。』
『国富とは国の総資産のことであり、経済力のことである。思想家や哲学者の
素養まで、裁判官には求めていない。司法が、暴走をしていないか。』
(以上、産経紙)

『安全性について専門的な領域に踏み込み、独自に判断した』
『原発に絶対の安全を求め、そうでなければ運転を認めないという考え方は、
現実的といえるのか。』
『国内の原発がすべて止まり、家庭や企業の電気料金は上がっている。原発ゼロ
が続けば、天然ガスなど化石燃料の輸入に頼らざるを得ず、日本のエネルギー
安全保障を脅かす。』
『安全性、電力の安定供給、経済への影響などを含めて総合的に判断するのが
司法の役割ではないか。』(以上、日経紙)

『最高裁は1992年の四国電力伊方原発訴訟で、原発の安全審査は、「高度
で最新の科学的、技術的、総合的な判断が必要で、行政側の合理的な判断に
委ねられている」との判決を言い渡した。』
『規制委の結論を覆した今回の決定が、最高裁判例を大きく逸脱しているのは
明らかだ。』
『福島第一原発の事故後、原発再稼働に関し10件の判決・決定が出たが、
差し止めを認めたのは樋口裁判長が担当した2件しかない。偏った判断であり、
事実に基づく公正性が欠かせない司法への信頼を損ないかねない。』
(以上、読売紙)


以下は、個人的な感想です。

産経紙に『ゼロリスクを求めては、車は走れず、航空機も飛べない』との一文
がありますが、ひとたび事故が起こった時の重大さは、車や飛行機の比では
ないでしょう。

原発周辺に住む方々が、リスクをでき得る限りゼロに近づけたいと願う気持ち
は理解できます。

また、差し止め賛成派の主張に、
『普通の人が素朴に感じる疑問を背景に』(朝日紙)
『普通の人が普通に抱く、最も平凡な願い』(東京紙)
と、あります。

そうであるなら、たとえ最小限の再稼動だとしてもそれを必要と考える人は、
「普通の人」ではないということなのでしょうか。


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今回のテーマは、【高浜原発差し止めについて】です。


編集後記

「ロバくん」と言って、どのくらいの方がお解かりになるでしょうか。

「三船くん」と呼びかける覆面レーサー。
「ニャンパラリン」のニャンコ先生。
「それからどしたの」のおじさん...。

いっぱい楽しませていただき、ありがとうございました。
慎んでご冥福をお祈りいたします。

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