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将来の電源構成について

2015年4月13日(月)14時現在の各紙サイトより

国内主要紙一面トップ記事、及び社説・主張

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【朝日新聞】
「朝刊一面トップ」
『10知事選、現職全勝 道府県議選、自民が前回上回る 統一選前半戦』
「社説」
『低調な地方選 すくむ政党、細る自治』
『NHK経営委 任免権持つ責任自覚を』

【産経新聞】
「朝刊一面トップ」
『与党「対決型」知事選制す 自民過半数 民主は後退 道府県議』
「主張」
『統一地方選 「選択肢」不足が水差した』
『米・キューバ会談 歴史的転換を歓迎したい』

【東京新聞】
「朝刊一面トップ」
『山手線 線路に柱倒れる 9時間半不通』
「社説」
『与党知事選勝利 国民の声に耳澄まして』
『将来の町づくり 東京圏と地方の連携を』

【日経新聞】
「朝刊一面トップ」
『米キューバ、国交正常化へ弾み 59年ぶり首脳会談』
「社説」
『地方政治の活力が低下していないか』
『LCCの普及を後押ししよう』

【毎日新聞】
「朝刊一面トップ」
『米キューバ首脳会談 正常化へ59年ぶり 大使館再開で合意』
「社説」
『地方銀行 存在意義が問われる』
『野球観戦失明 臨場感と安全の両立を』

【読売新聞】
「朝刊一面トップ」
『米キューバ歴史的会談 両首脳、断交後初』
「社説」
『統一選前半戦 安倍政権は地方創生加速せよ』
『医療事故調査 教訓を現場で生かせる制度に』


きょうの注目記事

将来の電源構成について、昨日の毎日・読売両紙社説を見てみます。


【12日付「毎日新聞」『電源構成 原発回帰が透けている』

『あの原発過酷事故をなかったことにしたいのだろうか。経済産業省が20
30年の日本の電源構成について、「ベースロード電源6割」を打ち出した。
自民党の調査会も同様の提言をまとめている。』

『政府によればベースロードは発電コストが安く安定して発電できる電源で、
原子力、石炭、水力、地熱を指す。経産省は現時点で原発比率を明示して
いないが、水力・地熱が簡単には拡大できず、石炭は温暖化対策の観点から
抑制が必要であることを考えると、引き算で「原発20%以上」となる可能性
が高い。』

『この数字が原発回帰を示していることは明らかだ。』

『事故後に決まった「原則40年廃炉ルール」を守れば、国内の全原発を再稼働
させたとしても30年の原発比率は15%程度。20%以上とするには、多く
の老朽原発の稼働期間を60年まで延長するか、原発の建て替え・新増設が
必要になる。』

『統一地方選への影響を考慮し、ベースロードを隠れみのに原発比率を決め
ようとしているのだとしたら、姑息(こそく)な話だ。』

『そもそも、「ベースロード6割」に特段の意味があるわけではない。欧米では
今後、その割合が低下していくとの予測や、ベースロード電源という考え方
自体が時代遅れとの指摘もある。』

『欧米では、まず再生可能エネルギーを優先的に活用する流れができてきて
いる。ひとたび事故が起きれば何年も動かせない原発を、「安定供給できる
電源」と言えるのかという疑問もある。』

『経産省は再生エネの比率についても20%台半ば(水力を含む)を検討して
いるというが、これも政府方針の「最大限の導入」からはほど遠い。』

『太陽光や風力の拡大には送電網の増強などに高コストがかかるためというが、
まずは、既存の送電網を再生エネのために有効活用できるよう制度を改善する
ことが先決だ。』

『将来に向けては、事実上破綻している核燃料サイクルや、温暖化対策に逆行
する石炭火力への投資分を送電網の拡充にふり向けられる仕組みも考えるべきだ。
負担が増えても再生エネを選びたい国民はいるはずで、それを可能にするため
にも透明性のある議論が不可欠だ。』

『環境省は30年の再生エネの割合を最大35%まで拡大できるとの委託研究
の試算を公表している。この試算をめぐっては技術的制約やコストなどの検討
が十分かについて見方がわかれているが、経産省は門前払いするのではなく、
公の場で議論してほしい。』

『原発にしても再生エネにしても、正面からの議論を避けているとすれば、
政府が決める電源構成に国民の理解は得られない。』


【12日付「読売新聞」『将来の電源構成 安定供給と料金抑制が優先だ』

『2030年時点の望ましい電源構成比率の目標策定に向けた議論が、大詰め
を迎えている。』

『自民党の原子力政策・需給問題等調査会が、原発や石炭火力など昼夜問わず
発電できるベースロード電源の比率を、現在の約40%から60%に高めるべき
だとする提言をまとめ、安倍首相に示した。』

『国民生活の安定と経済成長の確保には、「経済の血液」とも言われる電力の
安価で安定した供給が不可欠だ。それを支えるのがベースロード電源である。』

『東京電力福島第一原子力発電所の事故前、原発は全体の30%近くを占め、
安定供給の要だった。原発の活用を含め、ベースロード電源の再構築を求めた
自民党調査会の提言は妥当である。』

『首相は提言を踏まえ、「エネルギーミックス(電源構成)の構築は、こうした
考え方を基本に進めていきたい」と述べた。政府の審議会は今月中に具体的な
電源構成案を示す予定だ。』

『自民党は電源別の内訳を示していないが、計算上、60%のうち原発が20%台
前半、石炭火力が20%台半ば、残りの10%程度を水力と地熱で賄う想定と
される。』

『その場合の電源構成は、火力全体で50%程度、太陽光などを含む再生可能
エネルギー全体では20%台半ばとなる。政府も、こうした比率を軸に詰めると見られる。』

『30年以降も20%台の原発比率を維持するには、老朽化した原発の更新が
欠かせない。政府は電源構成を示す際、原発の新増設を進める方針を明示すべ
きだ。』

『政府のエネルギー基本計画は、太陽光や風力などの再生エネを30年に
20%以上とする方針を示している。地球環境の保全や電力の国内自給の観点
から、再生エネは伸ばしたい。』

『だが、再生エネの固定価格買い取り制度で電気料金に上乗せされる負担金は
15年度で総額1・3兆円に上り、前年度の約2倍に増えた。家計や企業の
負担が膨らみ続ける事態は避けねばならない。』

『天候などによって発電量が急激に変動する欠点も、克服されていない。
過度な期待は禁物だ。』

『疑問なのは、環境省が最大13兆円の費用をかけて送電網を強化すれば、
最高35%まで再生エネの比率を高められるとする独自の試算を公表したこと
である。』

『電力料金上昇が産業界に与える悪影響は織り込んでいない。技術的な制約や
コスト面の課題を度外視した試算を示すのは、あまりに無責任ではないか。』


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『福島第一原子力発電所の事故前、原発は全体の30%近くを占め、安定供給の
要だった。』
『(再生エネは)天候などによって発電量が急激に変動する欠点も、克服されていない。』(読売紙)
に対し、
『ひとたび事故が起きれば何年も動かせない原発を、「安定供給できる電源」
と言えるのか』(毎日紙)
という意見。

また、
『再生エネの固定価格買い取り制度で電気料金に上乗せされる負担金は(中略)、
前年度の約2倍に増えた。家計や企業の負担が膨らみ続ける事態は避けねば
ならない。』(読売紙)
に対し、
『負担が増えても再生エネを選びたい国民はいるはず』(毎日紙)
とする意見。

どこに価値を置くのか、また、現状から将来をどのように考えるのか、それぞれ
見解が分かれています。

原発推進派の主張が、真に国家国民のためを思ってのことならばよいのですが、
時に一部関係者の利得のためじゃないかと勘繰りたくなることもあります。


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今回のテーマは、【原発について】です。


編集後記

東京周辺は昨日久しぶりに晴れましたが、それ以外はすっきりしない天気が
続いております。

月形半平太の「春雨じゃ、濡れてまいろう」のセリフではありませんが、多少
の雨なら風情もあっていいですが、今年はちょっと雨の日が多くないですか?
こうも続くといい加減、嫌になります。

また、春雨というと柔らかく包み込まれるような雨という印象がありますが、
雨脚もけっこう強かったりします。

寒暖の差も激しいですので、体調管理にはくれぐれもご留意ください。

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