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昨今の景気後退・不況について

【国内主要6紙の本日の社説】

2008年11月19日

(以下、掲載順は日々変更)

日経新聞】 『メガバンクは守りも攻めも手を抜くな』
       『卑劣極まる元厚生次官宅襲撃』

【毎日新聞】 『国会も迷走 「政局より政策」がむなしく響く』
       『高齢者の犯罪 刑務所が老人施設でよいか』

【読売新聞】 『小沢民主党 安全保障を政局の具にするな』
       『元厚生次官襲撃 テロは断じて許されない』

【朝日新聞】 『飲酒運転―魔の誘い断ち切るために』
       『オバマ時代―中東政策への期待と現実』

【産経新聞】 『海賊被害続発 日本は傍観者でよいのか』
       『拉致家族 これ以上時間稼ぎ許すな』

【東京新聞】 『混沌国会 首相の『決断』が必要だ』
       『飲酒ひき逃げ 殺人にも等しい犯罪だ』


独断と偏見はご容赦!【最近の社説の、ここに注目】

主に昨日の社説から、景気後退・不況といったことについて見てみる。


朝日。
『世界不況の長いトンネルの入り口を、日本もくぐってしまった。(中略)
米国も欧州もマイナス成長に陥っている。世界中が景気の後退局面に入った。』

『年率0.4%減と、下げ幅こそ前期より縮まった。しかし、戦後最長の景気
を支えた日本経済の「強み」が、そのまま「弱み」に転じた構図はいよいよ
鮮明になった。』

『これまで成長を先導してきた企業の設備投資が不振だ。金融危機や世界的
な資源・エネルギー高で、輸出向けなどの設備増強が鈍っている。輸出自体は
ややプラスだが、勢いはない。外需頼みの景気回復は完全に終わった。』

『さらに大変なのはこれからだ。今回のGDP統計には、9月中旬のリーマン・
ブラザーズ破綻(はたん)によるショックや、その後の円高・株安の影響は
ほとんど織り込まれていない。』

『GDPの半分を占める個人消費はプラス0.3%だが、北京五輪や猛暑など
の追い風が吹いた割に振るわなかった。』

『ただ、なお多くの企業で黒字を保っているだけでなく、利益水準もまだ高い。
その点は心強い。』

『日本の企業はかつての不況時のように過剰な債務、設備、雇用を抱えていな
い。当面は苦しくとも、次の回復期をにらんだ攻めへの布石を打てるゆとりは
ある。実際、日本企業が国内外で合併・買収(M&A)の主役になる例が目立
つ。今こそ先を読んだ経営に打って出るときだ。』

『グローバル企業にとっては、米国市場にばかり頼る体質を改め、均整のとれ
た国際戦略へと立て直す好機だ。中国など新興国で、次を見通した基礎固めを
しなくてはならない。』

『麻生政権の政策は迷走を深めている。』

『次世代を担う環境分野などの新産業や、医療・福祉など内需関連の有望産業
を政策的に刺激していくことこそが必要だ。歳出構造の思い切った転換や大胆
な規制緩和など、構造転換に向けて明快なメッセージを発しないままでは、
政治が景気の足を一層引っ張ることになる。』


東京。
『この先は一段と悪化する可能性が高い。麻生政権の対応が遅れ気味な点が
気がかりだ。』

『企業が景気の先行きに慎重な様子を示している。物価も弱い。』

『しかも、足元の景気は、はるかに悪いと覚悟しなければならない。(中略)
急激に進んだ金融危機や世界的な景気後退を織り込んでいないからだ。』

『家計は敏感に自己防衛に動いている』

『金融危機の震源地である米国や欧州も景気後退が鮮明になっている。』

『好材料もなくはない。原油価格が反転し、最高値から半分以下に下がった。
円高効果もあって、電力など公共料金や企業の原材料コストは今後、下がる
はずだ。』

『だからといって、とても自律反転を期待できるような情勢ではない。ここは
政府と日銀の政策対応が鍵を握っている。』

『政府は景気対策をまとめたが、肝心の第二次補正予算案は臨時国会に提出
しない空気が与党に強い。それではなんのための対策か、と問う声が出るのも
当然だろう。』

『中小零細企業の資金繰り支援や雇用対策など待ったなしである。政府はでき
ることから手を打つべきだ。日銀も一層の金融緩和を視野に入れる必要がある。』


日経。
『世界的な景気冷え込みの深刻さが一段と鮮明になってきた。』

『政府は地球温暖化への企業の対応を税制面から後押しするなど、中期的な
需要創造につながる措置を積極的に考えていくべきだ。』

『減少が目立ったのは企業の設備投資である。(中略)資源価格の高騰や外需の
低迷で企業収益が急速に減少したことが背景にある。個人消費は前期のマイナ
スからプラスに転じたものの、勢いは弱い。』

『世界的な景気冷え込みによるマイナス効果は、燃料や原材料費低下のプラス
効果をはるかに上回りそうだ。(中略)厳しい環境が当面続くと覚悟せざるをえ
ない。』

『経済の落ち込みを最小限にとどめるとともに、中長期の経済活性化につなが
るような政策を積極的に打ち出すべきだ。たとえば、新エネルギーの利用・
開発や一段の省エネに結びつく投資を財政支出や税制優遇によって促すことは
有益だろう。』

『地球温暖化対策に熱心な欧州諸国がすでに積極的に進めているこうした施策
は、新たな需要を刺激するとともに産業の構造転換にも役立つものであり、
日本も検討に値する。』


毎日。
『これは世界経済の安定的な発展の上からも好ましいことではない。影響は
新興国にも徐々に表れている。』

『80年代以降、先進国の間では経済政策における政府の役割は最小限にとど
めるべきだとの論調が主流を占めてきた。財政による需要追加は小さな政府に
反するという主張だ。緊急サミットは経済を市場にのみ任せるだけでは、複雑
な問題の解決は不可能と認めたといっていい。』

『だからといって、減税でも、公共投資でも実施すれば、直ちに経済が回復
するわけではない。どのような財政出動が効果的なのか。』

『減税に代表される家計所得の増える施策が浮上する。定額給付金もその一種
だが、社会政策なのか、景気対策なのか不明確だ。』

『では、公共投資はどうみるべきなのか。(中略)「土建国家」という言葉に
示されているように、建設業界や族議員の食い物にされてきた経緯がある
(中略)。その意味で公共投資の削減は正しい政策だ。』

『ただ、高度成長時代に整備した社会インフラの老朽化は放置できない。
必要な更新投資は着実にやらなければならない。予算は増やさなくとも、大胆
な事業の組み替えや改廃などで、効果の出方は大きくなり得る。』

『国民的ニーズが高く、需要が今後とも高まることが確実な介護を円滑に進め
るため、報酬の引き上げは広い意味での社会資本投資ととらえることができる。
有益な公共投資の出番が来ているのだ。』


読売。
『政府は、低成長による税収減を前提に、経済・財政運営の戦略を練り直さ
ねばなるまい。』

『頼みの海外需要が落ち込み、それを消費や設備投資などの国内需要でカバー
できなかった。』

『企業心理も一段と冷え込んだ。将来の生産につながる設備投資は3期連続の
マイナスで、しかも落ち込み幅の拡大が続いている。』

『前期に急減した輸出も、円高や海外景気の悪化を背景に回復は緩やかだった。
7~9月期は、日米欧がそろってマイナス成長となり、世界同時不況の様相は
一段と強まった。外需頼みの回復は望めず、先行きは厳しい。』

『米リーマン・ブラザーズの破綻をきっかけとした金融市場の混乱や海外経済
失速の影響が顕在化するのは、むしろこれからだ。』

『景気の悪化を「長く」「深く」しないため、政府・日銀が政策を総動員する
ことは、いわば国際公約と言える。
まずは、27兆円規模の追加景気対策の実現を急ぎ、追加措置の必要性も検討
すべきである。』

『そろそろ経済の実情に沿う現実的な目標に仕切り直したうえで、景気対応や
将来の社会保障財源について考えるべきではないか。』


赤旗。
『財界やマスメディアは大企業の利益が減ると騒いでいますが、景気悪化で
最も深刻な被害を受けるのは、内需の大半を占める庶民の家計であり中小零細
企業です。』

『トヨタが減益だといっても、まだ六千億円もの利益を見込んでいます。中小
企業は原料が高騰しても価格に転嫁できず、親企業・銀行には締め付けられ、
存続そのものが危機にさらされています。』

『とりわけ今回の不況では、アメリカ発の金融危機が本格化するはるかに以前
から、家計は冷え込み続けてきました。(中略)大企業は労働分配率を大きく引
き下げています。家計には増税や社会保障の改悪が押し付けられてきました。』

『中小企業は上からは大企業の下請け単価たたき、下からは国内需要の低迷に
挟み撃ちに遭っています。さらに自公政府が昨年十月に強行した、中小企業の
資金繰りの"命綱"である信用保証制度の改悪によって、早い段階から貸し渋
りに苦しめられてきました。』

『こんな状況にもかかわらず、財界をリードする大企業が先頭に立って、派遣
や期間社員の大量解雇に動いています。大銀行が率先して中小企業への貸し渋
りに走っています。』

『見過ごせないのは麻生太郎首相が明言した三年後の消費税増税の方針です。
不況の逆進的な影響で最も深刻な被害を受ける庶民と中小企業を、最も逆進性
の強い税金の増税によって将来まで痛めつけることになるからです。』

『庶民の家計と中小企業は内需の主役です。大企業・大銀行の身勝手を許し、
消費税増税に頼る姿勢では外需頼みのぜい弱な経済を変えることはできません。』







各紙社説を見る限り、当面厳しい状況が続きそうだ。
というよりむしろ、今以上に悪化さえしそうだ。

そのための対策などを各紙主張している。
それぞれ、独自の視点・価値観があって面白い。

特に赤旗。
実に赤旗らしい主張だ。

大企業優遇を批判しているのだが、無論、この反対の意見もある。

日本の法人税が他国に比べて高いことなどを例に挙げ、もっと世界の企業から
見て魅力ある国にするべきだという考え方だ。

大企業が潤えば、その関連会社やそこで働く人たちも恩恵にあずかることが
できるというわけだ。

しかし、この数年。
大企業はそこそこ利益をあげていたが、それが末端の従業員にまで行き渡って
いたかというと、どうもそうは思えない。

このところ、職に恵まれない若い世代の日本共産党支持者が増えているとも
聞くが、そうした人たちからすると、確かに赤旗の主張には説得力があるかも
しれない。


【今日の雑感】

「関西独立リーグ」の球団に、女子高生が選手として入団することになるよう
です。

話題集めという気もしなくもありませんが、トライアウトを受け合格したとの
こと。
実力も備わっているようです。

どこまで活躍するのか、私も楽しみです。

この吉田えり投手。
大リーグ・レッドソックス、ウェークフィールド投手のナックルボールを見て
それを習得しようと思ったとのこと。

実は私も、ウェークフィールド投手のナックルボールを見て、「これをマスター
すれば、俺も今からでもプロ野球選手になれるかな」などと考えておりました。
(無理?)

プロ野球の女性投手でアンダースローといえば、水島新司先生の漫画「野球狂
の詩」に登場する水原勇気。
得意とするボールは、魔球「ドリームボール」でした。

それがまさか現実になろうとは...。

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